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ぼくはくま 青ブラ文学部
ぼくはくまになんかに生まれたくなかったよ。
もう何度同じ言葉をつぶやいただろう。
森の仲間たちのはずのみんなは僕を見ると逃げだす。
中には従順の態度を見せる者もいる。
違うよ、ぼくはみんなと仲良くしたいだけなんだよ。
僕は寂しい。
こんな時、僕は小さな川に行くんだ。
川には小さな生き物たちがたくさんいる。特にカエル達。
とてもきれいな声で歌うんだ。カジカガエルって言うんだって。
その中に友達がいるんだ。だけど今は冬眠中。春になるまで会えない。早く春にならないかな。
ボクも冬眠しないといけないのだけれど、眠く無い。きっとまだまだお腹がいっぱいになっていないからなんだ。
今年はドングリも少なかったしね。
冬眠なんてなんであるのかな?本当はね、冬眠なんてしたくないよ。
ボクは今度生まれ変われるのならカジカガエルになりたいな。カエル達と一緒に歌いたいな。だったら冬眠も良いかも。
ボクは歌が上手だと、母さんに言われたことがあるんだ。母さんとはもう一緒に住んでないけれど。母さんに教えてもらった歌、今でも歌えるよ。それと、カジカガエルに教えてもらった歌も。
くまは歌を歌い出しました。お母さんとカジカガエルに教えてもらった歌を。会いたいなと思いながらね。
すると森の仲間たちが少しずつ集まって来ましたよ。
くまがこんなに良い声で、素敵な歌を歌えるなんてみんな知らなかったのですね。
くまが歌い終わると大きな拍手が広がりました。
「くまさーん、もっと歌ってー!」「くまさーん、ブラボー!」
アンコールの拍手が止まりません。
いつの間にか、森の仲間たちも一緒に歌っていましたよ。
了 666文字
山根あきらさんの #青ブラ文学部 『ぼくはくま』に参加させて頂きました。よろしくお願いいたします。