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かもしれない弁天 毎週ショートショートnote
木花咲耶姫は弁天様に会いたいと願った。
弁天様は七福神の中で唯一の女性。福を自分に授けて欲しいと思った。自分も神だけれど自身に福を授けるのは憚れる。
そんなある日、偶然に琵琶を抱えた弁天らしき神に出会った。
まさかこんな所で弁天様に出会うはずはないと思いながらも声をかけた。
「あの、私は木花咲耶姫と申します。失礼ですが弁天様であられますか」
琵琶を抱えた美女は
「そうとも言えますし、違うとも言えます」と応えサッサと通り過ぎてしまった。
ある日、木花咲耶姫は姉の磐長姫と温泉に出かけた。
たまには神様だって温泉に入りたい。
そこでまた弁天様らしき神に出会った。
木花咲耶姫は彼女に福を授けて欲しいと頼んだ。
温泉の効果か、弁天様らしき神は気持ち良く願いを聞いてくれ、姉妹に同じ福を授けた。
この後、姉妹は一緒に同じ神、ニニギノミコトに嫁いだ話はよく知られている。
残念ながら、多分彼女は偽物弁天かもしれないと温泉に浸かる度に二人は思うのだった。
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たらはかにさんの今週のお題『かもしれない弁天』です。
神話の世界では結婚のありようも人間とは違いますけど、やはり女としては嫌ですよね。
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