恥ずかしがり屋の立方体｜#毎週ショートショートnote

ハルト君の今日の宿題は、一辺が5㎝のサイコロを作ること。

展開図は描けた。あとはハサミで切って糊付けだ。

ハルト君は、ハサミを取り出し深呼吸をする。どうもハサミを使うのは苦手だ。　
まあ宿題ができれば良い。

ハサミを紙に入れようとした時、待ったがかかった。

ハルト君は辺りを見回しましたが誰もいない。「？」

手元を見ると、さっき描いた展開図が怒っている。

ハルト君が驚きの声をあげる前に、展開図の方が先に声をあげた。

「綺麗に切る自信、無いよね？」

ハルト君は思わず「うん」と答えた。

「だったら、少なくとも練習してから切ってくれ、僕は綺麗な作品になりたい」

ハルト君は少しムッとしたが、こう尋ねた。

「何で？　綺麗に切らないと痛いの？」

展開図は答える。
「痛くなんかは無い、せっかく工作用の厚紙に生まれたんだ。綺麗な作品になれないと恥ずかしい」

なるほどと思い、ハルト君は練習を繰り返しサイコロを作り終えた。

サイコロは二度と文句を言わなかった。

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🎲

恥ずかしながら、参加させて頂きました。
ありがとうございます。