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レモン シロクマ文芸部

レモンから漂う爽やかな香りを思い出してみる。
もう何年もレモンを手にしたことは無い。手軽な濃縮還元レモン果汁を使っているから。

ファーストキスはレモンの香り、初恋はレモンの味、そんな風に言われていた少女の頃。本当なのか。その答えを知るのはまだまだ先の事だった。

幼い頃、レモンが果物屋さんで売られていたか記憶に無い。ひどくオシャレなイメージがあった。レモンというものを初めて意識したのは、外国のお話だったような気がする。

外国の児童書と出会ったのは、10歳くらいの頃。
「小公女」「アルプスの少女」「母をたずねて三千里」「オズの魔法使い」などの物語を読み出した頃、レモンでつくられたレモネードなる飲み物が度々登場した。
レモネードと言われるものに憧れのようなものを感じたが、母に聞いても友達に聞いてもそれを知る者は無かった。一度飲んでみたいと願った。

簡単に言えば、レモン果汁に甘味料と水を加えた飲み物。
それを知った時は拍子抜けした。

大人になって梶井基次郎の『檸檬』を読んだ。
レモネードのレモンとは全く違う梶井基次郎の『檸檬』の世界。

私にとって、明と暗の両方のイメージを持つことになった檸檬でありレモン。おかしな言い方だけれど人生の裏と表の短縮形のような気もした。
これからもレモンのイメージは変わっていったり増えていったりするかもしれない。それもそれで楽しみではあります。

久しぶりに本物のレモンを買って来ようと思います。
書いていたら甘さ控えめの本物のレモネードを飲みたくなりましたから。





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