心お弁当 毎週ショートショートnote
昔むかし、お転婆なばあ様と心優しいじい様がおった。昔のことなれど、じい様は優しいうえに料理上手だったそうな。
ばあ様は家事より山仕事に精を出し、じい様に家事と田んぼを任せ、忙しい時だけは二人で協力して働いた。長い間二人はこうして暮らしたと。
ばあ様はいつも山の祠に寄ると、じい様がこさえてくれた弁当の握り飯の一つを神様にお供えしていた。
ある日祠に行き、お参りしをしていると突然白い霧がばあ様を包んだ。
これまた突然神様が現れなさった。
「いつも旨い握り飯をありがとう。じい様の握り飯がうまいのは、ばあ様のことを心から大切に思っているから、心をこめて握ってくれた心弁当だからだよ」
そう言われると、神様は消えてしまわれた。
ばあ様はハッとした。
今までじい様に甘えてばかりだったと。
それから、うまい米の炊き方からじい様に教えてもらい、心をこめて握った握り飯をこさえ、頑張って心お弁当をつくれるようになったそうだよ。めでたしめでたしだね。
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たらはかにさんの企画です。
今週のお題は『心お弁当』ですが、『お』の字が邪魔っけでした。