無人島生活福袋　毎週ショートショートnote

今年の福袋には妙な物が入っていた。まあ『お楽しみへの第一歩』と書いてあるペラペラの紙、チケットのような物が一枚。品物が入っていないのは損した気持ちだ。ま、良いか。この紙袋は綺麗だから何かに使おう。

チケットをよく見たら裏に
『このチケットと引き換えに別のチケットを差し上げます』と書いてある。
即、チケットの交換をした。

店の人が『無人島生活福袋』の抽選に一度だけ参加できますと説明してくれた。
僕はガラポンを回した。別に無人島に行きたかったわけではないが。欲が無かったからか当選してしまった。
「おめでとうございまーす」の声に囲まれた。
「あのぉ。私、すでに無人島に一人で住んでいるのですが」
店の人は言った。
「あなたが住んでおられるなら、その島は既に無人島ではありませんよ」
みんなに派手に祝福され、僕は断ることができなくなってしまった。

そして今、私は新たな無人島にいる。私の無人島にはいつ帰れるのだろうか。迎えはいつ来るのか不明だ。

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