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毎週ショートショートnote 月夜の寝ぐせ

僕は空のお星様を黙って頂いた。

あの夜。森で一番高い木のテッペンからお月様を見ていた。
何度もお月様に話しかけたけれど、お月様はいつだって返事をしてはくれない。
その時、お月様の側で光っていた小さな青い星が僕に言ったんだ。
「私を連れてって」と。
空の星を黙って連れて帰るのは泥棒だ。僕だって知っていたさ。
でも連れて帰ってしまった。だって青い星は僕にこう言ったんだ。
「寂しい」と。
僕も寂しかったんだもの、仕方ないよ。

青い星は昼間は寝ていて夜に起きる。僕と同じだから一緒にいろんな話ができたし夜空の散歩もした。一人ぽっち同士だったからとても楽しかった。
青い星は寝相が悪いんだ。梟の僕の頭の毛の中に潜り込んで寝るので夜起きると僕の頭はとんでもない寝ぐせがついている。それがおかしくて目が覚める度に二人で笑った。

ある日ついに青い星は空に戻された。

青い星がいなくなっても、美しい月夜になると僕の頭の寝ぐせは青い星がいた頃と同じになるんだ。


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たらはかにさんの今週のお題『月夜の寝ぐせ』です。
よろしくお願いいたします。
何のひねりもありませんが💦


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