どこもお遍路 毎週ショートショートnote
世界の指導者にどういうわけか、まともでない者がいなくなった。
歴史的にも最初で最後の完璧な平和。それなのに喜びの事態であるにも関わらず世界の人々は退屈色に染まり始めた。退屈は時に良からぬ事のきっかけとなる事がある。それを憂いたのか世界の指導者たちは『聖地巡礼』を奨励した。奨励というより義務を課したといった方が良いであろう。
日本でいえば、一生に一度はお遍路に行かねばならない。御朱印帳は菊花紋章のついたパスポートのようなものを申請して手に入れる。もちろん、老若男女それぞれに事情は考慮された。
それで私達老夫婦も、何度かに分けて出かけた。私たちは高齢者であり、夫は頭が、いえ、足が悪いので交通機関の利用が認められたバッチを付け、半分は旅行気分で楽しんでいた。
が、平和ボケの地球に宇宙人がやって来て、あっという間に地球を征服した。
平和も永遠の幸福を保証しないようだ。
私達は天国でお遍路を続けている。天国はどこもお遍路で満員だ。
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お遍路さんが着る装束は、死に装束と同じだと知った時は驚きました。
今は死に装束で最後の旅立ちをすることはほとんど無いと思います。
夏の怪談でお目にかかるくらいですかね。
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