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月の色 シロクマ文芸部(512文字)

「月の色がね、おばあちゃん。赤、青、緑とか色々に毎日変わるといいのになって私思うの」

昨晩、孫のマリが言った言葉を思い出す。子供って面白いことを思いつくのよね。今頃は隣町の自分のベッドで眠っている頃かしら。それとも私と同じ月を眺めているかしらね。

先日、マリのスケッチブックに描かれていたのは夜空に輝くピンク色のお日様?
星が出ているのに月ではなくて、お日様を描いたのはなぜだか分からなかったけれど、合点がいったよ。

私がマリの年頃には、大きくなったら月にロケットに乗って行けるようになると聞かされ信じていた。月にはかぐや姫やウサギがいてお餅を御馳走してくれると楽しみにしていた。
私はおばあさんになってしまったけれど、あの頃の願いはまだまだ叶いそうもないね。まあ、その分夢を続けて見られるということだよ。それも楽しい事かもだね。

それにしても今夜の月は大きいねえ。今迄で一番大きく美しい月のような気がするよ。そろそろ私にもお迎えが来るのかね。お知らせのような気もするけど。かぐや姫のお迎えのように月の都から来てくれたら嬉しいんだけれどね。

ねえマリちゃん。その時の月の色は何色だと想うかい?マリちゃんと私の好きなピンクだと良いけどねぇ。



了 


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