コソ泥の独り言 ショートストーリー
ガキの頃からコソ泥の俺は、何度か強引に別荘にも招待された。三度の飯も宿泊もロハだから悪くは無いが、少々飽きた。顔なじみのお世話係も増えたが、友達にはなれなかったのは残念だったな。
この仕事を悪く言う者は多いが一度やってみるとハマる。スリルと言う意味では俺のレベルでも満足感を得られる。
制服は、コソ泥は職業ではないと言うが。
働くということは金を手に入れることなのだから同じだ。盗みを働くっていうだろ。銀行に振り込まれる数字よりも、現ブツ、現ナマを手にできるのだから喜びも大きい。これは親方の受け売りだがな。
働くことは尊い。仕事に貴賤は無い。道徳の教科書にも書いてあったさ。だから俺は一生懸命働いた。
コソ泥に入られた者はどう思うかって?泥棒に入られるほど金持ちに見られたことを喜ぶさ。違うかい?
なあ、そこのあんた。
あんたの家、目を付けてるんだよ。ごく普通の家だけどな。匂うんだよ。
人に言えないブツ、あるだろ?大丈夫、任せなって。悪いようにはしないからさ。
なあに、相見互いってヤツさ。
了
◆あとがき
これはフィクションです。
泥棒は犯罪です。
推奨しているのではありません。
一応、念のため。
私の家は遠い昔(私が2歳のころ)泥棒に入られた事があります。捕まったのは元警察官でした。
幼かったですが、私は部分的に覚えています。当日、警察の方が数名家に来られたのを。
私も両手の指紋をとられました。(これは、私が望んだらしい)
「お嬢ちゃん、悪い事をしたら、指紋ですぐわかるよ」
私はお巡りさんにそう言われたそうです。
この話はいつか記事にしたいと思っています。 めい