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ひと夏の人間離れ 毎週ショートショートnote

夏休み。

「ねえねえ」
足元で声がした。
ボクが振り返ると白い犬が。
隣で最近飼われ始めた『シロ』だ。
「今、喋ったよね?」
「うん、頼みがあるんだ」
「何?って言うより、喋れるの?」
「私は宇宙から来たんだ。私は地球の岩盤の調査をしている」
「嘘だろ?」
「君に頼みたい。少しの間、君の体を貸して欲しい。地球のためでもあるんだよ」

「困るよ、宿題だってたくさんあるし」

「犬になっていたって出来るさ」

断る間もなく、僕は白い犬になった。
僕になったシロは、あっという間に僕の視界から消えた。

シロは策を講じたようで、家族はボクの変化に気づかないし、お隣の人もシロを探している様子も無い。

ボクは犬になったまま夏休みの宿題をやり始めたけれど、何の不都合もなく宿題は捗った。旅行にも行ったし、友達とも遊んだ。

シロは8月31日に戻って来てボクと入れ替わり、そしてシロは僕に言ったんだ。
「君は地震学者になりなさい」と。

夏休みの作文に書けるかな。書けないよな。


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