凍った星(シロクマ文芸部)
凍った星をグラスに。
やっと手に入れた凍った星。
これからは私のためにだけ光って欲しい。
そう思ったけれど星は凍ったままで私を受け入れてはくれない。
もう何年も待ったけれど星はピカリとも光らない。
グラスの中でただ佇んでいる。
泣いているのか、怒っているのか、諦めているのか。
空に帰してやりなよ。
もう一人の私がささやくけれど。
いいんだ、星が心を閉ざしているとしても私の側にいて欲しい。
グラスから星を取り出し両手で包み込む。
凍っているけれどそれほど冷たくはない。
そのことで救われているの。
それだけでいい。