穴の中の君に贈る 毎週ショートショートnote
私の心の中の穴に落ちていった男達はどうなるのか。その穴は浅いのか、底無しなのか。
まだ誰も這い上がってきた者はいない。挙句、殆どの者は忘れ去られてしまうのだ。
可哀想な男達。
そう思う事で、少しは気が晴れる。
全て私が愛した男達。
彼らの誰一人として、差し伸べた私の手を取ってくれた者はいないのだ。なぜに。
子どもの頃、落とし穴を作った事はあるだろうか。もしかしたら落ちた事がある?あなた。
昔作った私の落とし穴は、私の心の穴に繋がっている。
気の毒な男達。私を恨まないでね。
その落とし穴は、私の過去の世界の産物。けっしてそこからは逃げ出せない。特にあなたは。
ねえ、逃げる事を考えないで。あなたには私の手を振りほどいて欲しくはなかった。残念だわ。だからずっとそこにいて。愛はそこにあるのだから。
穴の中であがいているあなたも素敵だわ。これからもずっと一緒よ。
それが穴の中の君に贈る、私からの贈り物。受け取ってね。
愛に満たされていくでしょ。
410
ちょっと怖い話を書いてみようと思いましたが…。むむむ。