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答志島 シーカヤックリベンジの旅

はじめに

お久しぶりです、キノコです。
今回は、2023年9月29日から9月30日※まで、NEL crewの活動の一環として、三重県鳥羽市の答志島に行かせていただいた時のお話をしようと思います。
答志島に行くのも、シーカヤックを漕ぐのも実に一年ぶりでした。一年前は自己管理が上手くできず、残念ながら途中で体調を崩しリタイアしてしまいました。今回は、果たして一年前に比べて自分はどう成長できたのか、一年前と違って最後までやり切ることができるのか、などと考えながら旅に挑みました。(※本来は10月1日までの3日間の活動でしたが、結局最終日までやり遂げられませんでした)
それでは答志島シーカヤックリベンジの旅の始まりです。

1日目(2023年9月29日)

清々しい晴天に恵まれたとすら言わせてくれないような、ちょっとやり過ぎな程の晴天。気温は35℃に差し掛かり、おまけに風も吹き荒れており、シーカヤック日和かどうかは疑わしい天候でした。それでも、この日は予定通り答志島に向けて出艇することになりました。

まずは近鉄で池ノ浦駅へ。駅からほど近い、鳥羽商船高専の港から出艇しました。桟橋の近くで小さな魚が水面に集まり、なぶらになっていました。ガイドさんの柴田さんによると、このなぶらを目印にカヤックを進めようとしたところ、風が強かったため諦めたそうです。目印にすることでどの様な利点があるのかなど詳しいことは分かりませんでしたが、本物の船乗りさんを見ているんだなぁという実感が湧きました。

さて、一年ぶりのカヤックでしたが、時間が経っても体が覚えていたようで、思っていたより問題なく漕げました。とは言え、もちろん思っていたより上手くいかなかったこともありました。一番苦戦したのが、海流が激しくなっている場所でした。いくら前進しようと、漕いでも漕いでも、どうしても右へ左へとカヤックが曲がってしまいます。この苛立ちは実際にシーカヤックを漕いでみないと体感できないと思います。これだけならまだどうにかなるのですが、おまけに波の高いことときたら…!カヤックがぐわんぐわん上下に揺れて、文字通り体が波に踊らされます。人生で初めてジェットコースターに乗った時(志摩スペイン村のピレネー)のトラウマが蘇り、あと少しで走馬灯が見えるところでした。それでもなんとか答志島まで海を渡り切りました。この達成感も実際に漕いでみないと分からないと思います。皆さん、一漕ぎの価値ありですよ…漕ぎ終わってしばらくはめちゃくちゃ腕が痛くなることを除けば本当にいい経験ですよ…

答志島サンビーチ。この日はここにテントを建てました。

16時頃、答志島に到着。そしてまずはテント設営です。こっちはそこまで久しぶりでないにもかかわらず、支柱の立て方など色々忘れていました。やはり頭だけで覚えてることに比べて、体が覚えていることってなかなか忘れないんですね。

先程とは打って変わってこの辺りは波が穏やかです。海に入って水の中を見てみると、大ぶりの魚が沢山いました。昨年9月上旬に答志島を訪れた時はクラゲばかり沢山いたのですが、今年はほとんど見当たりません。季節が違うからでしょうか。
答志島の自然の豊かさは海の生き物だけに留まりません。浜辺には塩生植物が自生しています。浜辺を少し離れると、これまた個性豊かな植物たちが競い合うように生い茂っています。いずれも地元名古屋では滅多に見かけない草木で、見ているだけで心踊らされます。

見たことの無い不思議な形の花がありました。何の花か調べても全然分からなかったので知ってる方いらっしゃいましたら教えてください。画質悪くてすみません。

日が暮れ始めた頃、夕食の材料や翌日の朝食を調達しに町に出かけました。自動車がギリギリ通るか通らないかくらいの狭い路地が入り組む、まるで迷路のような町並みです。こんなひっそりとした町でのんびり暮らせたら何より幸せだろうなと思います。

答志島サンビーチから眺めた夕焼け。

材料を調達し終え、続いてははお待ちかねの夕食。参加者たちが思い思いの食事を用意します。私は栄養を摂取することしか考えていなかったので、すぐできるレトルトの麻婆茄子とお米、そして焼き鳥缶をいただきました。ここで、シーカヤックに続くもう一つのリベンジを決行しました。それはメスティンでお米を炊くことです。というのも昨年は、メスティンでお米を炊こうとしたところ、カチカチな上えげつなく味の濃い炊き込みご飯(?)ができてしまったのです。もう二度とこのようなことは繰り返さないと決意し、人生でここまで真面目になったことは無いくらいの気迫で炊飯に挑みました。
結果は…なんと、成功しました!あまりにも完璧すぎるご飯ができました。一緒に参加した友人の助言があったおかげです。この場で食べた麻婆茄子丼を超える美味しいものには生涯巡り会えるかどうか分かりません。
そうそう、友人と言えば、自分が前回に比べて成長できたなと思うところがもう一つあります。それは沢山の人と楽しく話せるようになったことです。大学に入学したてだった昨年の自分は人からどう思われるか気にするあまり、同じ学部学科の同期と話すことすらままなりませんでした。それが今こうして大学の同級生や後輩にまで気軽に話せるようになって、本当に良かったなと思います。そんなわけで夕食や片付け中は、その場にいた大学の同級生や後輩と趣味やバイトのことについて語らいました。後輩が私の好きな崎山蒼志を知っていたので一緒に盛り上がりました。

夕食後は、参加者全員で一日の振り返りを行いました。「bgmでも流す?」と誰かが提案したので、迷わず私のお気に入り楽曲から流しました。完全に自分の趣味の曲ばかりでしたが、参加者の皆に好評だったようなので良かったです。

トラックリスト
1, cero「outdoors」
2, 大貫妙子「4:00A.M.」
3, んoon「Gum」
4, サカナクション「月の椀」
5, 坂本龍一「Calling From Tokyo」
Spotifyプレイリストはこちら ↓

https://open.spotify.com/playlist/6FWJ2B7knDLR4hKw5eQk6H?si=wzHfDVQURWGTi-lR6BNRrg&pi=a-5e7UCQ3xQEiG

そんなこんなで時刻は21時30分ごろ。まだ早いですがカヤック疲れで相当眠くなっていたので、この辺りで就寝しました。

2日目(2023年9月30日)

この日も早朝から太陽が照り付ける暑い日になりました。風は少し弱まったようで、余計に耐え難い暑さに。
朝食(ツナのランチパック。これといったコメントは無し。)を終え、まずは牡蠣の養殖を行っている方の元へ。この季節は牡蠣の種付け作業を行っていました。牡蠣の幼生が付着した帆立の貝殻に穴を開けて、ロープに通して固定する作業です。牡蠣の幼生は大きいもので手の親指くらいの大きさしかありませんが、きちんと牡蠣の姿かたちをしています。そんな牡蠣の幼生は自らの貝殻を作り出すために必要な炭酸カルシウムを、帆立の貝殻から手に入れるのです。帆立の貝殻にドリル穴を開けたり、それを釘でロープに固定したりする作業は音が大きくて怖かったので、私は延々と貝殻をロープに20枚ずつ通していました。触った感触があまりにも固く無機質なので、これから私たちの食卓に出されるあの白くて柔らかい牡蠣の身ができていくと想像するのが難しいです。私は牡蠣が大好物なのですが、今まで牡蠣を食べる時にはそれがどのような姿で生まれてどのように今の姿になったのかあまり考えたことがありませんでした。今回のように養殖され成長する過程を知ることで、真の意味で食材に感謝できるようになるのだろうと感じました。ところで私は幼い頃何を思ったか、胡麻は溶岩から採れる特殊な鉱物だと思っていました。つまりそれまで胡麻を食べていた時は胡麻の命を頂いている感覚が無かったということなので、それについては反省しています。

作業を終え、11時頃にカヤックで出艇…のはずが、なんとここでリタイアしてしまいました。今回は体調を万全に整えていたはずなのに、またしても熱中症になってしまいました…。一時は出艇したものの、出艇して間もなく、私の様子がおかしくなるとすぐに引き返し、答志島に戻ることになってしまいました。一旦全員で戻る判断をしてくださり、その後荷物をまとめてくださるなど、最後まで色々と助けてくださった他のメンバーの皆さんにどれほど感謝しているか、言葉では言い表せません。自分なんかがこんなに助けられていいのかという不安すら感じます。
12時30分頃に鳥羽行きのフェリーが出るということで、それまで船着場で待機することに。他のメンバーは全員出艇し、気がついた頃にはもう彼らの姿が見えなくなっていました。フェリーを待っている間、まさに知らない島で独りぼっちの状態です。しかし不思議と孤独感は感じず、むしろ何だか安らかな心地でした(体調は悪いですが)。これが大人になるということでしょうか。そんなゆったりした時間も束の間、フェリーがやって来ました。乗り込んで席に座ると、誰かが大急ぎで駆け付けて来るのが見えました。
「ほら、保冷剤持ってきたから使って!」
そう言ってビニル袋に入った大量の保冷剤を渡してくださったのは、一度も見たことも会ったこともない女の人でした。そう言えばフェリーを待っていた時に、先程の牡蠣の養殖をされている方が声をかけてくださいました。この女の人はおそらく、その人から話を聞いて来てくださったのでしょう。その時頂いた答志島直送の大量の保冷剤は、未だに送り主に返せずに家の冷凍庫に入ったままです。これからは保冷剤を見る度に、答志島の人々の暖かさを思い出すことでしょう。

おわりに

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!答志島は自然が美しく人々も暖かい、とても素敵な場所なので、皆さんもぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか?もちろんシーカヤックで!


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