山の自然と我が身の安全(Part2)
2022年12月、自然環境リテラシー学並びにみえアウトドアヤングサポーターの活動の一環として、三重県大台町に2回にわたって行かせていただきました。2回目は、12月17日(土)〜18日(日)です。前回に引き続き、大台町の観光会社Verde大台ツーリズム様にお世話になりました。1日目は山の散策とキャンプ、2日目はサイクリングとロープワーク実習をさせていただきました。
1日目 12月17日(土)
直前の天気予報通り、あまり優れない天候の中でのスタート。前回の忠告を受け、これでもかという程防寒対策を整えて挑みました。ヒー〇テック、トレーナー、裏起毛のロングコート、ネックウォーマー、手袋、帽子を身に着けていてもなお、肌寒く感じました。ちなみに、寒くて震えるというのは、すでに低体温症の第一段階だそうです。皆さんも気をつけましょう。
焚き火を囲んで、ガイドさんの野田さんから山の観光ガイドというお仕事に関するお話を聞かせていただきました。Verde大台ツーリズム様の元には、毎年数千人の人が訪れます。特に大台町の中でも大杉谷を目当てにやって来る人が沢山います。しかし、大杉谷周辺には滑りやすい急な崖が多く、命にかかわる事故が起こることも少なくありません。そのため、お客さんが来る一週間前の天気予報が少しでも悪天候であれば、中止と判断する場合もあるそうです。幸いこの日は実施可能とのことで、まずは山林の散策に向かいました。
雨に濡れて綺麗なオレンジ色になっている幹の木が沢山あります。この木はヒメシャラといって、この地域に自生しているそうです。冬なので葉も無ければ花も咲いていませんが、幹と枝だけでも十分な天然の造形美です。また、緑の葉が生い茂る低木も沢山生えていますが、こちらはアセビです。大抵の木の芽や低木の葉はシカに食べられてしまいますが、アセビはシカには食べられないため、ここ最近は他の低木を差し置いて数を増やしているそうです。見た目は美しくとも、生態系にとっては多少厄介者ですね。さらに、写真には写っていませんが、茎が赤い大きな葉を持つ背丈が中くらいの木もちらほら見かけました。この木はユズリハといって、春に古い葉と新しい葉が入れ替わることが名前の由来だそうです。見た目も綺麗で生態も面白いので、今回の活動で見つけた生き物の中ではユズリハが一番好きです。
本来はこの後キャンプ場に移動してテントを設営する予定でしたが、雨天のためVerde大台ツーリズム様の拠点にある倉庫内でテント泊させていただくことになりました。雨の寒さは免れましたが、もちろん倉庫の中も相当寒いです。
テントを立てる前に、夕食の時間です。今回は参加者がそれぞれ自分たちで決めたメニューを作りました。和風パスタ、チーズフォンデュ、高そうな肉など、各々が美味しそうな料理を楽しんでいました。私は、「キャンプ飯 おすすめ」で検索して出てきたレシピのミラノ風ドリアを作ってみました。焚き火で温めたアツアツのご飯、美味しかったです。
そんなこんなで夜は更けて、テントを立てて寝る時間になりました。そんな時間にも関わらず、信じられない量の肉を焼いて食べている人達がいて度肝を抜かれました。
それはさておき、就寝時こそが寒さ対策の本番です。今回私が用意したものはこちらです。
・「これが無いと〇にます」と先輩に言われた断熱マット
・-7℃まで対応の冬用寝袋
・先輩オススメの湯たんぽ
先述の防寒具を全て着たまま、さらにこのセットで眠りました。そして…
2日目 12月18日(日)
翌朝。なんと、これまでの自然環境リテラシーの活動史上一番の快眠から目覚めることができました。テントを片付ける際、以前何回もやったことがあるはずが、やはり戸惑ってしまい先輩や同期に手伝っていただいてしまいました。面目ないです。朝食は、前の日に炊いておいたお米でお茶漬けです。倉庫の中が寒すぎて冷蔵庫いらずなのは良いのですが、熱湯を注いでもすぐに冷水になってしまう程冷えていました。冷やし茶漬けではないただ単にヒエッッッヒエのお茶漬けは正直今回だけで十分です。
午前の活動は野田さんに案内していただく、eバイク(電動自転車)でのサイクリングでした。なんとこの日、大台町での初雪が降りました。とは言え活動が中止になる程度ではなく、途中で晴れたのでサイクリングでは雪景色や雪遊びを楽しむことができ、本当に運が良かったと思います。特に見られて良かったのは、木々に積もった雪が風に飛ばされ、それが日の光に照らされているところです。言葉では言い表せない美しさがあります。
電動自転車は想像以上にスピードが出るので始めは少し怖いですが、慣れるととても楽しいです。上り坂で全く疲れないのが爽快です。
サイクリングから戻り、昼食。地元のイタリアンレストランのサンドイッチ弁当をいただきました。どのサンドイッチも美味しかったですが、特にスクランブルエッグがふわふわでたまらなかったです。
午後の活動は、ガイドさんの森さんご指導のロープワーク実習でした。前回学んだ結び方を応用し、参加者たちで協力して、実際に山で事故があったときに使えるレスキューに挑戦しました。まず、15mほど離れた木と木の間に大きな崖があると想定し、その間をロープで渡します。ロープは木の幹のなるべく上の方に括り付ける必要があるのですが、なかなか届かなかったり枝に引っかかったりしてもうすでに大変でした。また、向こう岸にロープを投げて受け渡すのですが、これもまたなかなか届かず、とても時間がかかってしまいました。次に、滑車を使って荷物を向こう岸に渡します。滑車やカラピナを取り付けるのにはコツが必要で、結局森さんに任せっきりになってしまいました。ここまで色々なロープワークを学んできましたが、実際に山で事故があったら全て他人任せにしてしまうと思います。情けないです。
一日の最後に、森さんから山での人命救助に関するお話がありました。軽く内容をまとめてみます。
①救助活動をするにあたって、安全を確保すべき優先順位は、
1、自分
2、仲間
3、要救助者
です。どれだけ急いで助けようとしても、自分の状態が万全でなければ何もできません。
②救助活動に求められる4要素は、
訓練、練習、経験、判断 の繰り返しです。
③救助方法を選ぶ基準は、
Simple 簡単
Speedy 早い
Safety 安全
の頭文字をとってSSSと呼ばれます。
④自分自身の安全を確保するための合言葉は、STOPです。
S it 落ち着く
T hink 考える
O bserve 観察
P lan 計画行動
また、森さんご自身の印象に残っている山での出来事についても聞かせていただきました。自然の中で活動する危険性、人の命の儚さを思い知らせてくれるお話でした。
こうして、自分にとって今年度最後の自然環境リテラシーの活動を無事終えることができました。解散時間が遅くなり帰りの電車に間に合わなくなったところ、野田さんと先生が車で多気駅まで送ってくださり非常に助かりました。
今回の活動の感想を一言でまとめるなら…「大台町が大好きになった!」です。3日間にわたり大台町の自然に全身の感覚で触れる中で、命を救うことについても学び、自然への理解をとことん深められた場になりました。
最後になりますが、ここまで大変お世話になった先生方、先輩方、参加者の皆さん、そしてVerde大台ツーリズム様の野田さんと森さん、本当にありがとうございました!
そして、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!皆さんもぜひ大台町にいらしてみてはいかがでしょうか?
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