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"「私」"と"あなた"の違いを紐解いてみた

8/30に配信された「in the pocket」

「Mr.Childrenってやっぱすごいな」

と語彙力皆無な当たり前のことを再認識させられました。


自分が注目したのは

誰に向けての曲なのか

ということです。


一番のサビ

去年の上着のポケットに迷いは置いてきたんだ
今日からまた新しい「私」が始まる
心はまだ不安定でカーテンのように揺れるけど
吹き抜ける風の心地よさを感じる

に対し、ラストのサビは

昨日のシャツのポケットに悲しみを置いていくんだ
今日からまた新しいあなたが始まる
心はずっと不安定でカーテンのように揺れるけど
吹き抜ける風の心地よさを感じて
ただ今を楽しんでいたい

となっています。

人称に注目すると、

1番の 今日からまた新しい「私」が始まる

に対し、

ラストは 今日からまた新しいあなたが始まる

となっています。

歌詞を見ない段階で聴いた時点では、一人称が「わたし」が珍しいなと思った程度でした。

(Mr.Childrenの主人公は多くの曲が男性であり、ぱっと思いつく女性主人公の曲といえばデルモくらいでしょうか?パッと思いつかなかったのでほかにあったら是非教えてください!)

やはり、『きみの色』の主人公も女性であるため、映画に寄り添った曲なんだなと思いました。

しかし、全体の歌詞を見てみると、この「私」という歌詞に、「」がついていることが分かりました。

つまり非常に限定的な誰かを差していることがうかがえます。

ここでサビ前の歌詞に注目すると、「あの日、叩き付けた鍵盤の音は教えてくれた」とあります。

予告編を見る限り主人公は映画の中でキーボードを担当していることがうかがえるため、この「私」は『きみの色』の主人公である可能性が高いのではないかと解釈しました。

一方、ラストのサビの同一場面の人称は「あなた」になっています。

この「あなた」には「」はついていておらず、つまり不特定の誰かであることがうかがえます。

同様にサビ前の歌詞に注目すると、ラストサビ前の歌詞は、

「昨夜掻き鳴らした六弦の音は教えてくれた」

となっています。

そう、この場面の人称はギターを弾く桜井さんではないかと解釈できると思います。

「あの日」と「昨夜」、「去年」と「昨日」、「置いてきたんだ」(過去)と「置いていくんだ」(未来)との対比からもラストサビの方が歌い手(桜井さん、Mr.Children)からの距離の近さを感じます。

つまり、1番のサビでは映画に寄り添った歌詞になっており、2番はリスナーに寄り添った歌詞となっているのだと解釈しました。

これに気付いた時、幸せなため息が漏れました。

誰に向けての曲なのか

そう、映画の主人公に向けてもリスナーに向けても成立している曲になっていると気付いたとき、

「Mr.Childrenってやっぱすごいな」

そう思わずにはいられませんでした。

「ただ今を楽しんでいたい」

という歌詞からも、なんだか昨今のMr.Childrenの充実度が伺えるようで

ファンとして嬉しくなりました。


今日からまた新しい「あなた」が始まる

「in the pocket」

これからの人生で大切な一曲になると確信しています。


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