資格(個人的見解)
小山田圭吾氏の問題で調べてはじめて、いわゆるサブカルチャーの住人だとわかった時にふと思い浮かんだのが、昔読んだことのある漫画『ギャラリーフェイク』/細野不二彦のある話だった。
かなり昔ではあるし、手元にはもうないので、内容が違っていたら申し訳ないのだが、こんな話だった。
とある世界的に有名な椅子の職人。日々、座り心地のいい木の椅子作り目指して精進し、いい椅子を作るにはいい木が必要と、椅子に最適な木を探してもいた。そんな経緯からか、森林の育成や保護などを推奨しているある非営利団体の名誉会長か何かにも就任していて、そちらの運動も熱心にやっていた。
この人がある椅子に魅入られていた。その椅子に座ると大変ゆったりとした、誰が座っても優しく受け止め、癒やしてくれるような、最高の椅子。その椅子を理想として日々精進していたか、あるいはその椅子に遭遇し、いてもたってもいられず大金はたいて購入したか、その辺りは忘れてしまった。
この椅子職人が、この椅子の素になった木の経緯を知る。それは現地の人が、神と崇めたてていたほどの大切な、それはそれは立派な大樹だった。それが開発か何かの都合で、大反対を押し切って強引に切り倒された木で作った椅子だった。その事実を知って、この著名な椅子職人は「私には森林保護を訴える資格はありません」と、その団体の名誉会長の座を降りてしまうのである。
資格。似つかわしい。あるいは分相応。サブカルチャーの者がオリンピックという世界を舞台にした公の場で活躍するのは似つかわしくないのでは?と思ったのである。やってはいけない、と言いたいわけではないが、フィールドが合っていないというか。
あの問題で任命した方も又引き受けた方もわきまえていないというか、そんな居心地の悪さがあったのである。(どうせ利権が絡んでいたのであろうが)
野村萬斎氏ならば似つかわしかった。資格があった。そんな思いがよぎった。
ところで、日本は核兵器禁止条約に参加していない。もちろん米国の核の下に守られているからその資格がない、というのがその理由である。殺傷が目的で原爆を落とされた唯一の国であるけれど。
確かにこれが一番誠実な対応である。今の状態では資格がない。
そんな考えもふと頭に浮かんだ。
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