ことば
出版社に勤めていた事がある。
ほんの半年間のみであるが、言葉を操る仕事に就けた事は、今になってみればかなり貴重な経験であった。
当時の上司に言われた言葉で、今でも印象に残っている言葉がひとつ。
「言葉を扱う時、嘘つかない、誇張しすぎない、貶さない。」
入稿する時にこの言葉は必ず思い出すようにしていたが、至極当たり前に思えるこの3つを守るのが意外と難しかったりする。
特に、「貶さない」については間違う事が多かったように思う。
他と自分を比べた時、他を貶す(下げる)ような言い回しをしていないか、というのはもちろんだが、自分の事を貶す言葉は案外簡単に使ってしまっていた。
SNSが普及し、誰でも簡単に情報発信ができるようになった今、誹謗中傷のような明らかな悪意以外にも、ディベートと称した悪口の言い合い、ちょっとした言葉の使い方ですら、他者を傷つけたり、不快にさせる言葉が転がりまくっている。
もちろん、全方位に良い顔はできない。
だからこそ、せめて自分の手の届く範囲や意識できる範囲の人は傷つけないようにしたい。
もちろん自分で自分を傷つけるような事も、できるだけ無くしていきたい。
ところで皆さんは、普段TikTokやInstagram等のSNSを利用しているだろうか。
単なるコミュニケーションツールの一種であるが、今や生活に密着した情報の源である。
私は暇さえあればそれらにへばりついて、情報を流し見ているのだが、少々気になる事がある。
若者向けに有益な情報を発信している“インフルエンサー”と呼ばれる人々がこぞって使う「〇〇しないと損する」とか「まだ知らないの!?」と言うような、煽り文。
これが、どうにも、受け入れがたい。
なぜ損得勘定を他人に測られなければならぬのか、
なぜ知らない事を蔑むのか、
もっとマシな言い回しがあるだろうに、なぜ、、、
〇〇で買わないと損する!って言われても必要ないから買わないだけだし、、、、
あのマンガまだ読んでないの!?って言われても興味湧かないだけだし、、、
そうやって煽られるとますます手を出しにくくなるじゃんか、、、
と、自分の中の天邪鬼と戦わなければならないことが地味に苦痛なのだ。
結局は自分のとらえ方次第。
煽られたと思うか、教えてもらったと素直に受け入れるか、言い方はもちろんだが、受け取り方にも選択肢がある事を常々忘れずにいたいものだ。
まぁ、嫌なもんはイヤだけどね!!ふん!!!