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50歳からの学生生活で得た財産

 

前書き



この記事は、2023年4月の投稿企画、
 『会社員に終止符を打った後に映った世界』
の、続編となります。

 2023年10月に職業訓練校に入校し、32年ぶりの学生生活がスタートした。

 現代社会では、パソコンが普及し、必需品となっている。
 恥ずかしながら、前職では工場の作業をしていたため、パソコンスキルがほぼない状態であった。
 自宅で購入してスキルを学べば良かったのだが、経済的困難により、簡単には手が出せない。
 再就職に向けて、パソコンスキルが重要と考えたのが入校の目的である。


入校式

 10月20日入校式
 狭いビルの1フロアに教室あり。
 トイレの数も少なく、小ぢんまりとした殺風景な場所。後で話を聞いたところ、元は学生寮だったらしい。
 入校前に学校見学に3校候補があったが、失礼な話、この場所は最後の候補だった。(第一候補に落選した)
 しかし、結果的にこの訓練校こそ大当たりであったのである。

 9時15分から授業が始まるのだが、9時までは施錠してあり、職員以外はフロアに入ることが許可されないシステムになっている。
 入校式当日、すでに3人の生徒の方が待機していた。
 挨拶と会話をしたところ、気さくで話しやすい方々だったので救われたのを覚えている。

 そして、いざ入校式

大柄で貫禄がある校長
しかも、35歳という若さでいかにも営業マンという風貌。
頭の回転が早く、指導能力が高いが、やはり就職活動に関しては厳しいお言葉がかかる。

眼鏡をかけた真面目そうな講師の先生。
滑舌も良く気さくで話しやすい方。
とにかく、指導が丁寧で頭に入りやすい。
40歳とのことだが、実年齢より若く感じた。

クラスメートは計6名
男性2人と女性が4人
35歳~62歳までの方々が集まっている。

 挨拶と自己紹介

前職の職種は様々で、介護関係、幼稚園の先生、営業職、事務職等の方々が集まっている模様。


先生の説明と各種手続きで、1日目は終了する。

1ヶ月目

 授業開始後、ブラインドタッチの練習。
初回はキーボードの一段ずつをミスをせずに打つことを目標とし、クリアしたら次の段を練習。
すべての段をクリアしたら、スピードアップの練習を実践。
朝の15分がブラインドタッチの練習の日課となる。
スピード関係なく、習得するのに一週間もかかってしまったが、今では日常的になり、スピードも上がってきた。

1ヶ月目の授業では、本格的なパソコンスキルは学ばず、主に以下の内容を受講した。

自己分析
コミュニケーション能力
労働基準法
メール作成
面接対策
履歴書、職務経歴書の書き方

月に1回小テストあり。

この期間では、グループやコンビで課題を考えるというテーマが多かった。
人柄の良い人が揃っており、話し合いもしやすく、新たな視点を発見することが多かったので楽しく学ぶことが出来た。

2ヶ月目

 いよいよ、Wordの実践が始まる。
テキストのカリキュラムが決まっており、1日に3種類ほどの内容を学んでいく。
日常的にパソコンを使っている方には、簡単にこなせると思うが、パソコン初心者にとってはついていくのが困難なのだ。
出来れば、馬鹿にしないで頂きたい。
ちなみに、授業でやりきれなかった課題はネットカフェに通いつめ、理解出来るまでこなす。
前述に記した通り、貧困のためパソコンの購入が出来ないからだ。
実践編に入ってからは、1分1秒でも時間が惜しくなり、授業の内容を完全に習得することに必死であった。

 Wordのテキストがひととおり終了後、MOS試験の授業が始まる。
資格取得自体は任意なのだが、授業は全員受講。
授業は提供された模擬試験アプリを使用。
試験は5種類用意されており、制限時間は50分、約35問中7割で合格となる。 
 講義を受講後、各自試験開始。
 説明を受けた後の問題は頭に入っていることもあり、合格ラインに入ることもあるのだが、新たな問題はほぼ低得点であることが多い。

3ヶ月目

 テキストを用いて、Excelの実践開始。
一番難解だったのが、関数である。
1文字でも記号を間違えると成り立たない。
何回も苛立ちながら、ようやく習得出来た状態だ。
こればかりは、回数をこなして慣れるしかない。
しかし、関数はパソコン業務で、必要であることが多いので、習得しておくべきである。

 Excelのテキスト終了と同時に年末に突入。
 正月休み明けに、Wordの時と同様の流れで、MOS試験Excelを講義。

MOS資格のスペシャリストは、合格率が80%と高い。
普段パソコンを使用している方なら、特別な資格ではなく意味はないという方もいるそうだ。
しかし、私からすれば侮れない。
機械で操作する仕組みのため、解答する過程が僅かでも違えば答えが不正解となる。
いわゆる、引っ掛け問題が多いので、問題を読み込んで慎重に解釈しなければならない。
話を聞けば、いくらパソコンに長けている人でも解釈違いで不合格になる方もいるそうだ。

 先生からの丁寧なアドバイスを頂き、ネットカフェに通いつめ、模擬試験アプリで納得いくまで復習。
さらに、動画での勉強。

 緊張感と重圧でいざ本番。
模擬試験アプリと問題の言い回しが違い、頭が真っ白になったが、とにかく深呼吸して心を落ち着かせて、問題を解いていく。

 結果はExcel、Wordともに合格。

帰り道は、雨はふっていたものの、心が晴れやかだったのはいうまでもない。
スペシャリストという、難易度の低いものではあるが、必死に学んだことで応用を活かす事ができる。
自分個人としては、資格という肩書きより、合格に至るまでの過程が財産として残るものではないかと考えている。
人それぞれ個人差があるので、笑わないで頂きたい。

 訓練最後の2日間で、PowerPointの受講。
最後の授業で、悪戦苦闘したのがこれだ。
1日だけ受講し、2日目で、即発表となるのだから。
いわゆる、ぶっつけ本番である。
全体を理解していないうちから、各自でテーマを決め、発表しなければいけないのは困難だ。
前日はネットカフェで遅くまで資料作成、当日に校正。
上手くまとまらず、発表も時間を過ぎてしまう始末。
他の方々は、上手にまとめあげており、非常に羞恥を感じることになった。

修了式

 ハプニングがありながらも、翌日には、いよいよ修了式となる。
1人1人の挨拶では、良き先生、良き仲間に恵まれて、非常に有意義な3ヶ月間だったという言葉が多かった。
私も同感であった。
先生方には丁寧で分かりやすい指導を頂き、人柄の良い仲間に恵まれた。
同じ志を共有し、良好な関係を得られたことは、感謝してもしきれない。
先生からは、
『良いクラスメートだった』
とお言葉を頂き光栄である。

さて、ここで、締めの挨拶をするところなのだが、実は訓練はここで完全に修了というわけではない。
規定の期間は3ヶ月で修了となるのだが、希望者だけ、応用コースで受講することが出来る。
 私は申し込みをしたので、もう1ヵ月通うことになるのだ。

おまけの応用コース



 8人中、4人が応用コースで、再び学びを共有にすることなる。
しかも、昼御飯を共にしていた仲間なので、気心が知れており有難い。

 テキストを使用してExcel、Wordの応用編を習得。
基礎編のときとは、別の講師の先生に指導を頂く。
内容が難しくなり、やはり授業についていくのに悪戦苦闘。
関数の種類も増え、一筋縄ではいかない。
宿題や小テストがないのが救いであった。
しかし、事務作業では活用することが多いので、身になる学びと気付きが得られたのは間違いない。

 1ヵ月の受講を修了し、いよいよ卒業。
最終日は、先生方や事務員さんに感謝の気持ちを込めて、お仲間とお菓子を贈呈。
 この学校で学んだことは、貴重な財産となった。
パソコンスキルだけではなく、素晴らしい先生や仲間と濃厚な時間を過ごすことが出来た。

先生方、クラスメートの皆様、有り難うございました。

訓練で得たもの


 2024年5月に非正規ではあるが無事就職。
航空関係の検査業務だ。
パソコンも日常的に活用することが多く、訓練校で学んだことを活かすことが出来る。
もし、パソコンスキルを学ぶことがなかったら、今頃、頭が真っ白になり、悪戦苦闘していたことだろう。
50歳を過ぎてからの学生生活は、後に成果を出すことが出来たのだ。

これからも、これらの学びや気付きを通じて、新たな発見を出来るよう、祈っている。


長文を最後までお読み頂き有り難うございました。




 
 



 

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