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第三惑星をふたつ繋げると?

このページを開いているということは、2024年3月6日に発売された、ときのそらちゃんのミニアルバム『STAR STAR☆T』に興味があり、尚且つ2曲目に収録されている『スタースタースタート』について知りたい、ということでよろしいですね?

ありがとうございます。
それでは改めて、本曲の感想を書いていこうと思います。



02.スタースタースタート(完全版)

作詞・作曲・編曲 ナユタン星人

『スタースタースタート』はボカロP・ナユタン星人さんが制作された楽曲であり、本アルバムのリード曲になります。アルバム発売の同日に投稿されたMVにも彼女の魅力が詰め込まれており、この先ずっと愛される楽曲になってほしいと心から願うばかりの、最強で最高のチューンです。
ここからはいくつかの項目に分けて、本曲の魅力をまとめます。


1) 過去最高音域のハイトーンボイス!

ビクターエンタテインメントのリリースによると、本曲の最高音域は"hihi D"まで達するとのこと。サビ直前の部分がそれに該当すると思われますが、トレーラーで初試聴した時点でその高さにビビってしまったそらともも大勢いることでしょう。
そもそも音域とは「人または楽器で出すことのできる最低から最高までの音の高さの範囲」(引用元:精選版 日本国語大辞典)を指しており、A~G までの記号及び数字、または mid や hi などの英単語を用いて表します。例として、ピアノの音階でいう中央のドは「C4 または mid2 C」と表します。ボカロが好きな方なら木村わいPさん制作の『高音厨音域テスト』を思い出す方もいらっしゃるかと思いますね。また、女性が出せる音域の平均は"mid1 F ~ hi D"(引用元:うたてん)とされており、地声が高めな方でも限度があることが分かります。

そんな中で、改めて、『スタースタースタート』の最高音域は"hihi D"です。音階でいう2つ上のレに相当し、D6 とも呼ばれる位置です。そらちゃんは高音を武器としており、これまでもナユタン星人さんの楽曲をはじめ、たくさんのハイトーンな曲を歌ってきたことはもちろん存じていますが、いざ音域という形で表されるとなると驚愕です。日々の鍛錬はここまで進化してしまうのかという驚き、そして制作者が本気を出してしまうほどのコラボへの想いの強さが伺えます。我々も頑張って挑戦しましょう。笑


2) ナユタン色全開の魅惑のメロディー!

そんな高音をしっかりと支え、彩りを加えているのがオリジナリティーの強い、中毒性のあるメロディーです。本家のボカロをずっと聴いてきた身としてはやっぱり外せない要素ですね。
ここ最近のナユタン星人さんは他の方への楽曲提供を多くなされており、その方の個性に適したメロディーラインに合わせてくる印象を持っています。ホロライブだと百鬼あやめちゃん『かわ世』兎田ぺこらちゃん『ララララビット!!』等のオリ曲に携わられたことがあり、最近ではAZKiちゃん『ω猫』やSorAZの『ハジメノイッポ』の制作を担当されています。個人的にずっと推しているのはミライアカリちゃん『ミライトミライ』ですね。

これらの楽曲と『スタースタースタート』を聴き比べると、前者はナユタン星人の色が入りつつもあくまでその人のキャラクター性が主張されているよう感じられるのに対し、後者は明らかにナユタン星人自身の音楽が前面に向けられているように感じられました。勿論良い意味で。Vocal:初音ミクでアンドロメダ子さんが踊っている動画が作成されてもそんなに違和感が無いような感覚があります。曲の進行は『エイリアンエイリアン』『太陽系デスコ』に近く、「デデデ電波を送信」から始まる高速パートのバックを彩るギターからは『アンドロメダアンドロメダ』の雰囲気も感じられました。Aメロのこぶしの効いた歌い方は昭和歌謡テイストを持たせた『彗星ハネムーン』『明星ギャラクティカ』を意識しているのかなとも考えたり。パパヤ。活動初期の楽曲を踏襲した、オーソドックスなナユタンサウンドで作曲していただけたことが何より嬉しかったです。


3) 愛に溢れた直球のフレーズ!

そして、個人的に一番楽しみにしていたのが歌詞です。とあるインタビュー記事にて、「一聴した時は頭空っぽにしてノれる曲だけど、何度も聴くうちにいろんな解釈が出てくるような歌詞を書きたい」とナユタン星人ご本人が語るように、彼の歌詞には多くの魅力が詰まっています。中毒性のある音作りが目立ってしまうのは承知ですが、一ファンとして、フレーズの面白さをもっと知ってもらいたいと感じています。個人的解釈を含め、気になった点を2つほど紹介しますね。

1番:「めっちゃ飛んじゃいたいっ!」
2番:「めっちゃ飛んじゃったっ!」

気になったフレーズ①

『スタースタースタート』を1番と2番に分けるとした場合、上記のフレーズから時間の経過を感じ取ることができます。
1番には「宇宙のはじまり」「二度ともとに戻らない大爆発」とあり、「あなたと出逢った」という二人称が登場することから、一番星(ときのそら)が誕生し、まだ見ぬあなた(そらとも)に対する当時の心情を指していると読み取りました。"あなたにどうにか知ってもらいたい、超新星(後述)から憧れの一等星になるために!"といった彼女の気持ちから、「めっちゃ飛んじゃいたい」渇望が生じたのではないかなと。その気持ちが捉えられると、SNSでのやり取りを彷彿とするような高速パートが面白く感じられます。そらちゃん視点でもそらとも視点でも、好きな人の一挙手一投足は「めちゃくちゃ待機」しちゃいますよね笑
それに対して2番には「我らの星の活動は わりと続いてムムムムム!」とあり、星の活動=VTuber活動 を始めてしばらく経過したことを表していると読み取れます。「わりと」と歌っている辺り本人も予想していないくらいの大きな世界になったことが伺え、「めっちゃ飛んじゃった」と驚きつつも嬉しい気持ちが感じられました。いやぁ~、これはスゴいな!(小並感)

あぁ、スタースタースタートしたこのラブは
あなたがいなきゃいまごろ超新星
してた…… してたが!
ほら、今日まで続いたーー!

気になったフレーズ②

そしてサビに登場する「超新星」「一等星」について。先ほど触れたように「一等星」はそらちゃんにとって憧れであり目標の存在。活動初期で考えると先輩のバーチャルYouTuberのみなさんが思い浮かびます。それでは「超新星」とは何を指すのでしょうか。「新星のうち、急に明るさを増して数日間に約一〇〇〇万倍にも達し、その後1~2年のうちに暗くなっていくもの。」(引用元:精選版 日本国語大辞典)との説明があるように、一時的に大爆発を起こして光輝くものの、後に消えていく存在と考えることができます。これを2017~18年頃のVTuber界隈に照合させると意味が理解できるのではないでしょうか。あなたがいなきゃ超新星になっていた=今はもう… のような世界線もあったはず。あなたがいたから「今日まで続いた」。あなたのおかげでより一層光度を増して輝く一等星になれた。感想本文にて後述する『Keep Shinin'』というライブタイトルにも繋がる、強い感謝が刻まれているように感じました。
一等星となったそらちゃんと地球ぐらいに膨らんだそらともの愛、この2つが揃った時、どんなビックバンが待っているのか、4月6日を楽しみにしていましょう。


4) MVが良すぎる!

上述した通り、本楽曲はこれほどの魅力が詰まっているのですが、そのグレードをさらに引き立ててくれるのがMVです。過去にそらちゃんが投稿した歌ってみた動画をオマージュした要素が散りばめられており、私が見つけたものを一部紹介しようと思います。

エイリアンエイリアンの謎ダンス
ダンスロボットダンス「ときめく心のモーションは~」の部分
太陽系デスコのコール。みんなでやりたいね(๑╹ᆺ╹)
太陽系デスコ「スターウォーズ」パロディ。芸が細かい。

他にも多くのネタが仕込まれていると思いますし、『惑星ループ』『彗星ハネムーン』の要素も含まれている気がします。そもそも赤背景で、コーポレート・ロゴのフォントを使っている時点で本家リスペクトがなされているので嬉しかったですね。何より動くそらちゃんがほんとうにかわいい。すき。

また、3月19日までビクターエンタテインメント企画の「Music Videoシェアキャンペーン」が開催されています。『スタースタースタート』MVのお気に入りシーンを撮影し、Xにてポストすると抽選で特製ステッカーが当たるそうです。私もみなさんの好きなそらちゃんのポーズを知りたいので、エゴサするのを楽しみにしています!


5) ときのそらとナユタン星人

ここまで『スタースタースタート』の魅力を伝えてきましたが、そらちゃんはナユタン星人さんの提供楽曲を歌うことを「夢」と話していました。彼とのコラボが念願だった背景とはどのようなものだったのでしょうか。

私が観測した限り(間違っていたらすみません)、ナユタン星人さんの楽曲に対し初めて意識して触れたのは上記のポストになります。ここから約4ヶ月後、大ヒットカバー『太陽系デスコ』が投稿されました。確か、ある程度知名度のあるバーチャルYouTuberの中でナユタン星人さんの楽曲をカバーしたのはそらちゃんが最初の人物だったと思います。MMDを駆使して当時の技術を詰め込んだ集大成的なMVであり、そらちゃん初の投稿動画が100万再生を突破した際には記念のショットが作成されましたね。ホロライブ3期生の白銀ノエル団長がこの時のそらちゃんに憧れ、NSSにて『太陽系デスコ』を歌唱したのも懐かしい話です。

その後、『エイリアンエイリアン』、『ダンスロボットダンス』、『惑星ループ』、『彗星ハネムーン』『猫猫的宇宙論』、(『インスタントヘヴン』、『チューリングラブ』(feat. 富士葵))とナユタン星人さんが制作された楽曲を次々とカバーしたそらちゃん。他の多くのVTuberも彼の楽曲をカバーするようになった中で、彼女の歌ってみたはとにかく原キーで押しまくるアイデンティティがあり、どの動画も人気を集めていました。本家を忠実に再現したダンスを踊ったり自らイラストを描いて動かしてみたりとリスペクトの気持ちもしっかり表現しており、「ナユタン星のときのそらは原キーで歌って踊る」という再生リストを作成するほど、そらちゃん自身がナユタン星人さんの楽曲を愛している気持ちがよく伝わっていました。そらちゃんを知る前からナユタン星人さんが大好きだった私は本当に嬉しかったです。

そんなある日、事件が起きました。

2020年7月30日当時の再生リスト(スクショ)

2020年7月30日、ホロライブメンバーのYouTubeチャンネルに掲載されている動画や生放送アーカイブが次々と非公開にされました。ときのそらチャンネルもその影響を受け、ナユタン星人カバー楽曲は一時期全て消えてしまいました。ここでは非公開の理由については割愛しますが、そらちゃんは紛れもなく被害者側であると考えています。その後ホロライブ公式が尽力し、チャンネルはある程度復活したものの、ナユタン星人カバー楽曲を含む多くの動画及び生放送アーカイブ、彼女との思い出が未だ陽の目を見ずに埋められています。上記の再生リストも非公開の影響を受け消滅してしまいました。
以降、そらちゃん単体でナユタン星人さんの歌ってみた動画を投稿することはなく、私は寂しい気持ちを抱いていました。あの事件の後遺症は今も続いているのか…。カバーも難しいし、オリジナル楽曲でのコラボなんてほど遠いのか…。と成長を続ける彼女には見せられない、どこにも投げられない感情が残留していました。

だからこそ、だからこそなんです。
ときのそらちゃんとナユタン星人さんが初めてオリジナル楽曲でコラボした『スタースタースタート』は私にとっても念願であり、大きな意味があるんです。初めてMVを見た時、いつもの赤い背景で、そらちゃんが踊っているのを見て涙が出てしまいました。夢を叶えられて、夢を叶えてくれてありがとう。


まとめ

アルバムの一曲に対してめちゃくちゃ語ってしまいましたね。でもそれだけ、本曲『スタースタースタート』は私に深く刺さり、大切にしていきたいと感じさせてくれた楽曲でした。そらちゃんと、ナユタン星人さんに改めて感謝を伝えます。ありがとうございます。

また、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。私の感想から『スタースタースタート』を好きになっていただけると幸いです。また、本曲を含むミニアルバム『STAR STAR☆T』は全6曲で構成されています。不躾なお願いで恐縮ですが、アルバム全体の感想の方もご一読していただけると大変喜びます。笑




2024.3.8
そらとも れーよん31

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