2023/6/8 『 住吉 』
その音楽はしゃべっている
たこ焼き屋の店主のように
くるくるとかきまわして
絶望した世界のアイデンティティそのもの
焦げ付くことによって心もかろく
住吉の太鼓橋のからころと
本格的なジーザスクライスト・スーパースター
ダンスもミュージックも殺人も
本所長屋の落慶法要
すむべくしてすむのである
アンリルソーの言葉のように
白楽天の湯飲み茶碗のように、しぶい
このような天下の名物は、性悪、性悪
この二畳の茶室にて〈たこ焼き〉をめせ
若い娘もきっちりと足を崩してごらんなさい
天下一の〈たこやき〉にてござそうろう
熱くて熱くて唇が焼けてしまうよ
そのようなときには、アイスクリンを
仏閣はこのようにして菩提樹のもとに
ブッダはこのようにして悟りを構える
住吉の浜に来てみれば
松風はさらにすずし
つるは来たりて、つーと来て、るっととまる
それはペリクルトスの言葉のように
浜辺の貝の白きほほえみ
ダージリンのお茶の時間におわします
住吉の浜は静かに波の来て
ほーれ、ほーれ、ほーれ、
なつかしき人はしのばれる
ほーれ、ほーれ、ほーれ、
波は来る。