2023/2/14　『モンスーン』

すっかり情操は音楽のひだを持ち
豪雪地帯になだれを呼ぶ
それでもひるむことなく湧き出す
温泉地帯の熱い湯につかっている心情
それらはまだアツケシソウのあかい頃
とつぜんわたしの前にあらわれて
かきまわす、湯をかきまわす
ぐるぐると眼がまわる
好きな時にきてくださいと言うけれど
こぼれ咲く花たちはマチルダ
そして疾駆するサラブレッドたちは
地面から立ち上がりとんがった山岳地帯へと
必然的な葉脈の時間を待たず
野生の感覚を遊戯する《トロール》
トロール、ひずみ車のはねとびて
もっともっともっと
沈思黙考するトビゲラの背中のすじは
ひるむことなく、ぐらっと、ぐらっと、ぐらっと
中心地域の温度は下がり続ける
硬質の岩石帯は果てしなく伸びている
ピラルク、それから横たわるレッドビル
モンスーン気候はすでに雨を期待できない
探し求める地球儀のように
ころがる天と地との
問題はすでに海溝に沈むだろう
やすらかに、そして心配性の
僕等はいっぱしの怪盗です
君たちもすみやかに解答を与えたまえ
この紋切り型の新国劇はやすい
総会ははじまるのだが
それでもモンスーンはまだまだである。