仕事辞めたしちょっと留学してくる。3日目②「買い物の難易度がハードモードすぎて相当な覚悟が必要だった件」
無職、ついに布団を買いに行く
張り紙の数々を訳し終わらないまま、お昼になった。
さっきの共同キッチンに行って、日本から持ってきたプラスチックの皿にご飯を盛る。
それを部屋に持ち帰って、これまた日本から持ってきた「のりたま」をかける。食べる。安定の味。
専門学生時代の貧困一人暮らし生活がなんとなく頭をよぎる。
あの頃は、料理の「り」の字も知らず、そのくせレシピを見ない調べないドラゲナイ上に、好奇心旺盛なアレンジャーのメシマズ人間をやっていた。
何かの拍子に買ったであろう、片栗粉で作った具なしもんじゃ焼きは食えたもんじゃなかった。
(というか液体だった。でも全部飲んだ。まずすぎてしんだ。)
とりあえず、のりたまご飯を平らげ、身支度をし、さくらちゃんの部屋に向かった。
ノックをすると、準備OKな彼女が出てきた。
さくら「じゃあいきますか!」
私「お願いします!」
先日部屋を訪れたとき、彼女は部屋で座っていたので身長差があんまり気にならなかったが、並んで立ってみると、とてつもなく足が長い。
そしてスラリとしていて細い。
少し見上げる格好をしなければ、目が合わないことに気づく。
さくら「そういえば、お姉さんはなんで韓国に?語学留学ですよね?」
私「あ、はい。まあ、その。この年になって防弾少年団にハマってしまって……」
さくら「え?!そうなんですか?!え、でもちょっと待ってください!」
私「なんですか?」
さくら「今、バンタン、ここ(韓国)にいなくないですか……」
そうなのだ。
私が留学するこの1ヶ月の間、バンタンくんたちはアメリカでツアーをしているのだ!
私「あっいや!別に!彼らの住んでいる国を知りたかったっていうか……今彼らがいなくても、彼らの使う言葉とか、彼らの見てきた景色が見たかっただけでさして問題はないです……」
さくら「えー!もったいない!私の隣の部屋のオンニもバンタンのために留学来てますけど、今アメリカですよ?」
私「まじすか」
さくら「本当に文字通り『追ってる』みたいです」
私「すげぇ」
さくら「ですね」
そうやって、10分くらい歩きながらお話していると、近くの商店街に差し掛かった。
八百屋やら携帯ショップやらがずらーっと両脇に立ち並んだ一本道だ。
それとなく賑わっていて、おばちゃんたちの会話や店員さんの声が飛び交っている。
さくら「ここで買いましょうか!」
私「え、ここですか?!」
てっきり、イトーヨーカドーみたいな大きなショッピングモールにでも行くのかと思っていた私。
でも、近くで済ませられるなら持ち帰りも楽だ。それに見るからにショッピングモールより安く済みそう。ただ、いい品物があるかどうか……
私たちは、一つの雑貨屋さんに入ってみた。
一応、布団屋さん(?)を探してはみたが、全面的に寝具を売っているお店は残念ながらなかった。
さくらちゃん曰く、「前に来た時はあったと思うんだけどな……」だそう。
お店の中は、なんだか家の物置みたいだった。
壁のようにいろんなものが積んであって、何屋さんなのかさっぱり分からない。個人経営のリサイクルショップみたいな印象だった。
そこに円テーブルがあり、二人のおばちゃんが話している。
私たちに気付いた亭主らしきおばちゃんが「オソウセヨ」と言った。多分。
私は尻込みをした。
一歩下がる。いや、もっと下がったかもしれない。
聞き慣れない韓国語ががーっと浴びせられたからだ。
しかし、私が下がる一方、さくらちゃんは私の前に出て、流暢な感じでなにかを言った。
おばちゃんもそれに返す。
二言、三言、重ねていくうちに、さくらちゃんがこちらを見た。
さくら「布団、あるそうなので付いて来てって言ってます」
私「ありがとうございますっっっ……!!」
そう言って案内された先に、薄めの毛布があった。お値段5,000ウォン。
枕もあるか聞いてもらったところ、クッションならあるとのことで、それで妥協。お値段3,000ウォン。
商品は壁や天井に擦れて、さらには埃もかぶっていたが、洗濯すればなんとかいけそうだったので、購入を決意。合計8,000ウォン。
亭主おばちゃん「〜〜〜〜〜〜!」
さくら「え、ほんとですか?」
私「ん?おばちゃん何て?」
さくら「値引きしてくれるそうです」
私「わお!」
結局、全部で5,500ウォンにしてくれた。550円って……すげぇなこの店。
本来、留学エージェントに頼んでたら8,000円〜10,000円してたものを550円で手に入れた。
ゴミ袋みたいな大きくて青いビニール袋に全部突っ込んで、ひとまとめにしてもらう。
そして最後。
亭主のおばちゃん「ありがとうごじゃいます〜〜〜」
日本語で見送ってくれた。
私は、袋を前に抱えながら頭を下げ、「カムサハムニダ〜〜〜」とお礼を言った。
頭もいっぱいだったが、胸もいっぱいになった。
帰り道。
私「さくらちゃんは、韓国語聞き取れるし答えられるし凄いね……結局頼りきっちゃった……」
さくら「私は、韓国ドラマが好きだから、多分その分耳が肥えてるだけですよ。それに、あのおばちゃん、簡単な韓国語で話してくれてましたし」
私「そういうものなのかなぁ……」
さくら「そういうものですよ!」
改めて、頑張らないとなぁという気持ちが湧いた瞬間だった。
ほんの1時間ほどの冒険。だけども、とても濃い時間だった。
無職、韓国の洗濯事情を知る!
さくらちゃんと別れて部屋に戻ると、さっそく洗濯について調べ始めた。
どうやら韓国の水は、日本の水とは違い、硬水らしい。
なので、柔軟剤が必須みたいだ。
それから、洗濯機のモードは「ウール」にして洗った方がしわくちゃになりにくいらしいとも書いてあった。
ということは……。
私「柔軟剤を、買いにいかなくてはいけないッ……!!」
私は時計を見た。
まだ昼だ。十分に買いにいける。
だかしかし、問題はそこじゃない。
『ひとりで買い物ができるか』だ。
一度立ち上がった私は、再び椅子に座った。
私「明日野郎は馬鹿野郎だが、私は馬鹿野郎なのでそれでよし……」
なんかもうどっと疲れて何もやる気が起こらなかったのだ!
そんな自分もよし!
今日は布団と枕もといクッションが買えたんだ!頑張ってる頑張ってる!
私は、今できることとして、午前中に撮影した洗濯機の翻訳をし始めたのだった。
布団で寝られない日は、まだまだつづく!
明日から使える韓国語
どーーーーーーん。
当時コシテルの屋上に置いてあった洗濯機。
粉洗剤は自由に使えるようになっていた。
전원 (電源)
동작 (動作)/일시정지 (一時停止)
・물온도 (水の温度) - 온수 (温水)/냉수 (冷水)
・물높이 (水の量) - 고 (高)/중 (中)/저 (低)
・세탁 (洗濯) - 세탁 (洗濯)/불림 (ふやけさせる→ひどい汚れの時)
・헹굼 (すすぎ) - 헹굼 (すすぎ)
・탁수 (脱水) - 탁수 (脱水)
・코스 (コース) - 표준 (標準)/쾌속 (快速)/울/섬세 (ウール/繊細)/강력 (強力)/통세척 (桶洗浄)
当時、これを必死に訳して使ってた(笑)
こういうのはほぼ「漢字語」なので、それを意識すると一気に読むのが楽になるし、たとえその単語を知らなくても想像しやすい。
漢字語とは。
漢字を韓国語読みしたもの。って感じ。
日本語と違って音読み/訓読みがなく、一文字一種の読み方だからきっと日本語読みより覚えるの楽。
例えば、下のように「会社」を覚えたら、自ずと「社会」も読めるようになる!素敵っ
「会」→「회」、「社」→「사」
「会社」→「회사」、「社会」→「사회」
漢字を意識し始めると、単語を覚えるスピードが格段に早くなるので、やってみてね!ではでは。