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不妊治療と保険適用
子どもの頃から自分は結婚しないかもしれないと思っていました。
出産願望がなかったからです。
お母さんになりたい、赤ちゃんのお世話がしたいと思ったことは結婚するまで一度もありませんでした。
子どもの頃から自分より年下の子どもが苦手でした。
弟も妹もいなかったこと、自分が親戚の中で最年少だったことが大きいです。
どう声をかければいいのか、どう扱えばいいのかが全く分かりませんでした。
さらに子どもというのは幼いほど我が強いものです。
お世話をされることが当たり前で自由気ままな生き物を「めんどくさい存在」だと思っていました。
そんな本音を同じく子どもな私が隠せるわけがないので、学校行事をはじめあらゆる場面で年下の子に懐かれたことはありません。
自分は絶対にお母さんになりたいわけじゃない。
子どもがいない人生でも全くかまわない。
だから"絶対に子どもが欲しい人"とは結婚しない。そんな人がいればいいけど。
私が運良く結婚した相手は"できたらいいけどできなくてもいいよ"という、そんな人でした。
人間というのは環境が変われば考え方もかわるもので、実際に夫婦として家族を形成したら絶対に変わらないと思っていた考えも変わりました。
やっぱり私はお母さんになりたいとは思わない。
でも夫のことはお父さんにしてあげたい。
口には出さないけど、この人は子どもが好きだ。
だからこの人の子どもが欲しい。
お父さんになって欲しい。
排卵日がいつかもよくわかってなかった私はとにかく調べて妊娠の流れを勉強しました。
どれだけの確率を乗り越えて1人の人間が世に産まれるのか。奇跡なんて大げさな、と思っていてごめんなさい。
奇跡でした。
母性のカケラもない出産願望が実ったのはただ運が良かったとしか思えません。
2人の子どもたちにはとても感謝しています。
よくぞ我が家へ来てくれた。ありがとう。
不妊治療における人工授精が2022年度から保険適用になります。
より高額な体外受精の保険適用についても議論が進んでいるそうです。
人工授精は1回あたり平均約3万円。
体外受精や顕微受精(平均約50万円)に比べれば安いですが、簡単に手を出せる値段ではありません。
それでも子どもが欲しくて治療に通っている人は沢山います。
その1回数万から数十万かかる治療で妊娠できるかどうかはもちろん、無事に産まれてくるかも保証されていないにも関わらず。
女性にいたっては沢山の薬とホルモン剤の影響で妊娠する前から精神的にも肉体的にもかなりの負担を強いられます。
子どもが欲しいという願いのためだけに、あらゆる"辛い"を飲み込むのです。
体外受精、顕微受精になると妊娠するまでに100万円単位はザラ、場合によっては1000万円かけて子どもを得る人もいます。
単純に出生数を上げるためなら第一子の不妊治療よりも第二子第三子の不妊治療、出産や教育補助を手厚くした方がいいという意見もあります。
要は産めるかどうかもわからない人よりも、産んだ実績のある人にもっと産んでもらおうということです。
理屈は分かります。
少子化は国家の衰退に直結します。
集団を維持する為にはとにかく数を増やすことが優先されることも理解できます。でも、
1人でもいいから子どもが欲しい。
そんな個人の願いすら後回しにされるような国って幸せなのかな。
子どもを産むっていうのは、家族が増えるっていうのは効率とか生産性とかとは対極の話だと思うのです。
保険適用になるのは人工授精代たった約3万円分。
でも不妊治療の一部が保険適用になったという意味では3万以上の価値があります。
出生率とか少子化とかそんなのはどうでもよくないけど、正直どうでもいい。
産みたい人が産みたい時に産みたいだけ産む助けになりますように。
こんなことを言うと「大した出産願望もないまま何の苦労もなく妊娠した人に一体何が分かるのか」と言われても仕方がないです。
だから膨大なnoteの片隅でこっそり書きます。
結婚しなくても、子どもがいなくても幸せになれます。
でもできれば、欲しいと思っている人のところに来てくれますように。