されど
2023年。年が明けてから1,2週間してひとりで行った初詣で引いたおみくじは「凶」だった。
毎朝のテレビの占いに左右されてしまうタイプなので、占いの時間になると目を瞑り耳を塞ぎ、万一順位が低かった場合を想定して自分を守る。
そんなわたしは自らおみくじを引くべきではなかったのだろうが、勝てなかった。もし大吉なんて出たときには、それだけで明るい1年が保証される。正月ムードに乗られ、その希望だけを信じておみくじを引いてしまった。
そんな自分のした行動に苦しめられ、とことん「凶」に揺さぶられまくっている2023年。ちょっとしたツイてないことが溜まりに溜まっている。
、、たかが2023年。されど2023年!!!ありがとう!!!!!
2023年、わたしはとてつもなく大きくてすてきな出会いをしたのだ。
忘れもしない2023年3月。なんのアーティストの曲を聴いていたのかは生憎忘れてしまったが、AppleMusicの有能機能のひとつ、「同じタイプのアーティスト」欄に突如として現れた「Khaki」というバンド。
まず、スーツを着る5人の男性のアー写に惹かれた。古そうで古くない、新しそうで新しくない、蚤の市できれいに磨かれたいつの時代のものかわからないアンティーク品を見つけたような気持ちだった。
そんなアー写に連れられて、アーティストページに飛び、直感で気になった曲を選んだ。そこで選んだのが「眠りの午後」という曲だった。今ではプレイリストの常連だ。
「眠りの午後」という曲だけあって、眠りに引き込まれるときのような、はたまた午後の昼寝から現実に引き戻されるような、生温い微睡みの中に連れて行かれてしまう、そんなイントロから始まる。
わたしはこういう類が好きなのだ。眠りをうたう文が愛おしくてたまらない。吉本ばななさんの「白河夜船」、それを歌ったかのような羊文学の「白河夜船」、江國香織さんの「ぬるい眠り」、そしてこの「眠りの午後」。あぁ、だいすきだ。
午後と言っても、わたしは18時くらいに起きてしまう寝過ぎた昼寝を想像してしまうが、22時や23時の本睡眠のことを指しているのかもしれない。わからない。わからないのだ。歌詞がわたしには難しい、古典のようで。「ばかでわからないんだよ、ごめんね」難しくてわからないけど、いい文章だとはわかる。いい歌詞だとはわかる。選ぶ言葉がすごく愛おしい。
「明日のシャツにアイロンをかけるようにしたい」
しわしわだって着れるけど、ピンとしたシャツを着たい。明日のシャツは明日の朝アイロンをかければいいのだけど、朝はバタバタしてそんな時間がない。結局アイロンをかけないまま寝てしまい、明日の朝もバタバタして、まぁいっかと皴のあるシャツを頭から被るのだろう。
そんな少し不器用なところを想像して、離れられなくなってしまった。
曲の解釈なんて自由でいいとは思うが、Khakiを聴くほかの人の考えを聞いてみたい。ぜひ語ってください。
ここでKhakiについてわたしの知る情報を皆様にお届けします。
バンド名:Khaki(カーキ)
結成:2018年
きっかけ:早稲田大学の軽音サークル
メンバー:中塩博人(Vo,Gt )、平川直人(Vo,Gt)、橋本拓己(Dr)、黒羽広樹(Key)、下河辺太一(Ba)
事務所にはまだ入ってないが、”(ァ)柿印”という名でグッズやアルバムを出している。グッズやMVからウェブサイトまで、デザインや企画は主にドラムの橋本さんが執り行っている。橋本さんのセンスが本当にどストライクで、、、気になった人はぜひ見てみてください、、
このバンドの特徴は、なんといってもボーカルが2人いること。コーラスではなく、ボーカル。ふたりでハモって歌うというわけでもなく、パートを分けて歌う曲もあるけど、基本は曲によってメインボーカル(あと作詞作曲)が変わる。二人とも脱力感のある歌声がクセになるが、どちらかというと平川さんの方が脱力感強め。どっちの方が好きとかはない!どちらの作る曲も歌声もだいすき!
そして、Twitterでも少し話題になったので届いている人には届いていると思うが、Khakiの最新リリース曲があまりにもいい。
「Undercurrent」というタイトルのシングルで、3曲入っている。そしてポイントなのが、3曲で1つの曲が成り立つということ。この3曲にはそれぞれUndercurrent#1、#2、#3というタイトルがつけられている。1~3まで順番に聴くのはもちろん、シャッフル再生をすることで6通りのパターンの曲を楽しむことができるのだ。音楽をサブスクで楽しむ人が多くなった変化をうまく使った技に感服だ。革命が起きてしまった。
ここで私事ですが、4か月越しに7月16日のつくばロックフェスで初めてKhakiにお目にかかってきました。
クソみたいに暑いなかだったけど、気怠い暑さが心地よいとさえ思えるほどにKhakiの音楽は最高でした。逆に気怠さが彼らの良さを引き立てていたように思います。画面やイヤホンを通して聴いていただけでは伝わり切れなかった、彼らの情熱が暑さと共に伝わってきて、それはもう、最高でした。整いました。
8月13日、次は初めてライブハウスでKhakiを浴びてきます。
ふう、悲しいかなわたしの文章力ではここまでしか彼らの良さをお伝えできません。でも聴いたら、観たらわかります。ぜひ、、ぜひ!!
8月19日のサマソニの「出れんの?!サマソニ?!」枠に彼らが出ます!どうか!わたしの代わりに彼らの音楽を味わってきてください!そしてお話聞かせてください!
では、明日のシャツにアイロンをかけてから眠りたいと思います。