「耐震性の問題が見つかったが売主に補修してもらえた」~ご利用者の声~
「耐震性の問題が見つかったが売主に補修してもらえた」
不動産業者が所有していた木造戸建住宅を購入したAさん
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何が潜んでいるかわからない家では…
ホームインスペクターの存在は知っていたし、消費者にとっては非常に頼もしい存在だと感じていた。どのような問題や欠陥が潜んでいるか、わからないまま中古住宅を買い、不安を抱えて住み続けることだけは避けたかった。
本来、ホームインスペクションは契約前に行うべきだったが、私が依頼したタイミングは、すでに契約を済ませたあとの段階だった。売主(不動産業者)に急かされた都合上、契約の意思を伝えるまでに10日ほどの猶予しかなかったためだ。
ホームインスペクションを依頼するまで、少し悩んだ。
これから住む家の本当の姿を知りたい気持ちと、診断結果によっては物件購入を決めたこと自体を後悔するかもしれないという不安が相半ばした。ただ、少なくとも、何も知らないまま住み続ける不安からは解放されると思い、依頼に踏み切った。
一次診断の際、耐力壁を木の柱(スタッド)に留め付けているビスの間隔が規定より広すぎることがわかった。
「中古は現物優先だ」と、はね付けられた
報告書にはこう書かれていた。
「2×4(枠組壁工法)のビスピッチが規定値よりも広いため、家全体の強度が不足しており、耐震性に問題あり」
これには衝撃を受けた。ホームインスペクターの方々が、基本的には契約前に行うべきとおっしゃっている意味がよくわかった。
ところが、肝心の不動産業者からは、「中古なのだから現物優先だ。補強工事には対応できない」と言われてしまった。
担当していただいたホームインスペクターの方に最小限の補修方法を提案してもらい、その提案を報告書と一緒に不動産業者に見せたところ、結果的には構造にもともと耐震基準を満たさない施工不良部分が隠れていたことをわかってもらえた。
結局、不動産業者側の全額負担で、診断結果どおりの補強工事をしてもらえることとなり、円満に解決した。
終わってみれば、「割安」だった
住宅購入には多額の資金が必要だ。診断を依頼する前、多少なりとも必要資金が増えることにやはり抵抗はあった。
だが、購入にかかった費用に比べれば、ホームインスペクションの料金はごくわずかだと思い直した。
ホームインスペクションだけでなく、補修など引き渡しまでをサポートしてもらえたこと、報告書が今後のリフォームの際のアドバイスにもなっていたことまでも含めると、結果的に割安だったと思う。
今では、中古住宅を買う際、ホームインスペクションは必要不可欠だと考えている。
トラブルを経験して、とにかく建築業界の常識を知らなければ、売主との交渉はできないのだなと痛感した。
残念ながら、ホームインスペクションが実施済みの中古住宅はまだまだ少なく、売主も不安を抱えたまま転売している――そんな実情も知った。
現在、省エネルギー問題や地球環境問題に注目が集まっている。環境負荷が高い新築住宅ばかりではなく、すでに立っている中古住宅も適切に売買されるような業界になってほしい。