販売機
自動の販売機。
世の中、便利になったもんだ。昔はお店でしか替えなかったジュースなんかも
今ではこの販売機で買うことができる。タバコだってそうだ。
お金さえ入れれば、この販売機に並べられてるものを買うことが出来る。
田舎に行くと、お米が買える販売機なんてのもあったっけ。
小さい頃に通っていたスイミングスクールには、アイスクリームの販売機なんてのもあったし、
ゲームセンターにはお菓子が買える販売機ってのもあったっけな。
なんでも自動化の時代だ。
どうしてこんなことを考えたかというと、
今日は久しぶりに販売機で買い物をしてみようと思ったから。
小銭はちゃんと持ったかな?
念のために、お札も持っていっておくか?
懐かしさを感じながら、家を出る。
おっと忘れちゃいけないのが、カードだった。
この前、会社帰りの電車の中から、販売機の前でカードをかざしてから
購入している姿をみかけたな。携帯でも良いみたいだ。
いつの間にやら販売機にお金を入れずに買うことも出来るようになったのはすごいことだ。
販売機の前に着いた。
さて、何にしようか悩む。
認証機器に保険証のカードをかざすと、購入ボタンの色が光った。
金額は1万円〜5万円。ピンきりがあるんだな。
販売機の隣には、高さが腰ぐらいまでのサイズの箱が置かれていて、
1つ1つ取り出せるようになっていた。
その箱に書かれているメモを読んでみた。
「購入された商品が冷めないように、こちら箱に入れてお持ち帰りください。
箱で保温してから1時間後、すみやかに開封してください。」
その箱を1つ取り出し、もう一度、販売機に並んだ商品群を見比べる。
『くせっ毛なし・B』10,000円
『足が速め・B』 20,000円
『身長が高め・B』 30,000円
『活発・B』 50,000円
『控えめ・B』 50,000円
『くせっ毛なし・G』10,000円
『足が速め・G』 20,000円
『身長が高め・G』 30,000円
『活発・G』 50,000円
『控えめ・G』 50,000円
決め兼ねていえると、ランドセルを背負った学校帰りの少年が近づいてきた。
「おにいちゃん、この販売機は何が売ってるの?」
ぼくは、こたえた。
「これは、児童の販売機だよ。」