寮歌の作り方 -作詞の過程を解説!後編-
前回の前編(?)から時間が経ってしまったが、後編もお届けしよう。
前編では、「寮歌の作り方」についての質問に改めて答える。という体で、寮歌作成の一部を表してみた。前編は、こちらから。↓↓↓
今回の中身はこんな感じを予定しています。
では、さっそく今回の本題に。
2,テーマ
これは主に1で集めた要素を1つのストーリーとして膨らませていく作業だと認識してもらえればと思う。諸説あるとは思うが、僕は1つの寮歌の中に全体を通じたストーリーを作るのが好みだ。(実際にそうしたものも多くあるように感じる。)ストーリーを作ることで、1つの寮歌としてのまとまりを生むことができるし、なにより作詞しやすかった。笑
しかし、ここでいきなり完成形の詞を作るわけではないので、長さや完成度、量にはひとまず目を瞑ってよい。どんなに短くても構わないので、1つの流れのある物語に仕立て上げていくことをひたすらに意識したい。
どんなストーリーができたのかも紹介しておこう。
3,構成
構成についてだが、大きく分けて2つの作業を行っている。
まず、番構成を考えること。そして、詞の概形を考えることの2つである。
3−1,番構成
まず詞を作る前に考えるのは、全体の番編成(全部で何番まであるのか)くらいのものである。各番の長さや全体の文量はここでは特に考えていない。あとは、2で考えた内容を必要に応じて膨らませつつ、各番に割り当てていく。
ここまでで、各曲の経過をみてみよう。
さて、ここで曲調をイメージしておきたい。
予め作曲者とコンタクトを取っているか等によって様々なやり方、パターンがあるだろう。始めから共同制作の形をとっている場合は、相談しながら進めることもできるだろうから、今さら特別に話すことではないだろう。
少なくとも僕は作曲を誰かに依頼するつもりは始めからなかったので、その想定で話を進める。ここでは仮にでいいので適当に自分の中でイメージを作っていた。別に難しく考えることはなくて、アップテンポがいいとかしっとりめがいいなぁとかその程度で十分である。
自分で作曲するつもりがないのに曲調を考える理由は、詞を作るときの指針にするためである。簡単にいうと、アップテンポなら詞は短く、語気に勢いがあったほうがリズミカルにしやすいだろうし、しっとり目がいいなら語りかける感じの詞や文章チックな詞も選択肢に入ってくるといった類のことである。
3−2,詞の概形
ここまで済んだらいよいよ実際に詞を作っていく。
と言っても、1番の冒頭から順々に作っていくのでは難しすぎるので、手始めに簡単なところから進めていく。
まずサビである。「えっ!?」と思われたかもしれないが、ここまでの準備があればサビの概形を描くことはそれほど難しいことではない。なぜならサビとは基本的にはその詞で最も伝えたいことを乗せる部分であるからだ。あとはそれをイメージする曲調に乗るように口調や語句の長さを整えるだけである。こうしてまずは仮サビを完成させてしまおう。
サビに目処がたったら次は、歌い出しの部分から順に詞を組み立てて並べていく。この段階では途中が歯抜けになっていても全く問題ない。いきなり完成されたものが出来上がることはないと思って、とにかく概形を組むという意識で進めよう。
では、実際に3曲の方はというと…
4,補完・調整
ここからは3で考えた詞の概形にできた隙間をひたすらに埋めていく作業である。とは言ってもこの段階では作られている部分と空白の部分が半分ずつなんてこともあるだろう。
そこで意識したのが、語数である。素人作成ということを勘案するに語数は各番で揃えるのを前提とすると都合が良いだろう。また、寮歌の特徴として七五調や五七調が非常に多いことが言える。俳句や和歌などからもわかるように古くから日本人の感性に馴染み深いこれらを参考にしない手はなかった。是非活用してみてほしい。
あとは、1−3までで出した要素やピース、フレーズの断片をジグソーパズルのように地道に並べ替えていく作業である。
そして最後に、こうしてできた寮歌は必ず一晩は寝かせた方がよいだろう。寮歌作成の性質上、できたものをすぐに他人に見せることは少ないとは思うが、すぐに応募するのもおすすめはしない。なんせ、完成直後は良いか悪いかの両極端に見えてしまいがちだ。一旦距離をおいて少しでもフラットな視点でみることを心がけたい。
また、納得が行かない部分や腑に落ちない部分が残ってしまうことも少なくない。そんなときも時間をおいて、2,3個の候補をあげて全体との馴染み方を踏まえて比較していくのが良いと思う。
終わりに
前後編と、寮歌の作り方と題してはなしを進めたが、はっきり言ってどうだったのだろう。正直、伝えたいことの100%を言葉にできてはいない。それは、複数個の寮歌の共通項だけを寄せ集めて今回のはなしを進めてきたことの影響もあろう。もちろん、それ以上に語彙力や表現力が足りてない部分も感じた。まあ3割くらい「あ、この人こんな感じのことを言いたいんだろうなぁ」と伝わってたら嬉しい。
そもそも寮歌をモノみたいに扱って、その作り方を解説しようという姿勢は嫌われるのかもしれない。現に、僕が寮生のときにこれを見たらそれほどいい気分はしなかったように思う。
では、なぜ書いたのか。形にしなければ失われるものもあると感じるからである。正解がある類の話でもないので、後々これを見返したときに自分でも「ちがうじゃん!」ってなることもある気がする。でも、それでいいと思う。違うならそのときにまた新たに思ったことを書き残せばいいだけなのだから。
では。