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『正体』そして「正体」

 染井為人『正体』を読んで、何とも言えない虚しさを覚えた。モヤモヤ感というのか、救われない感というか。しかし、そのエンディングも「あり」なのかな、との思いが、読後しばらくして湧いてくる。『正体』はある意味、読者の期待を裏切る小説だが、それだけ感情移入させるストーリーであるとも言える。

 そして映画「正体」を観た。藤井道人監督、横浜流星主演。映画について知っているのはそれくらいで、『正体』をどのように描いたのか、興味を持って映画館へ。新宿ピカデリーは満席だった。

 いやぁ、やられた。そうきたか!! 
 映画を観て良かった。
 僕は救われた。

 原作に忠実の映画も良いが、やはり映画化するからには、何か違う捉え方が必要である。もちろん、長編小説を2時間にまとめるのだから、ある程度の取捨選択は必要なのだが、それにしても藤井道人は大胆な解釈をしたものだ。そして、映画館ではあちらこちらですすり泣きが聞こえた。全身全霊を捧げて主役を演じき切った横浜流星は素晴らしい。

 小説⇒映画
 映画⇒小説

 順番で感じ方が大きく違うだろう。
 小説、映画ともにオススメです。

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