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最近、感動したこと

 大学生の次男が崇拝しているアーティストがいる。
 僕も影響を受けて聴くようになったのだが、なかなかいい。
 
 その人は心を病んでしばらく休んでいるのだが、先日、部数限定で特製版書籍が発刊された。装丁から紙質まで相当にこだわっているので、けっこうな値段がするのだけれど、部数限定なので抽選となり、息子は運良く購入することができた。その後、特製版の三分の一ほどの価格で通常版が発売された。当たり前だが、内容は同じである。写真はほとんどなく、文章が中心なので、装丁と紙質の違いが主であり、崇拝まではいかない僕は通常版でいいかな、と内心思う。

 やはり、熱烈なファンとしては特製版が欲しいよなぁ。
 抽選に当たって良かったね。

 おめでとう、という意味で声を掛けたら、予想外の反応があった。

 今、俺にできることはこれくらいしかないし。
 やっぱり、アーティストって才能と神経をすり減らして大変だから。
 苦しいだろうけど、また聴きたいからね。
 少しでも応援できればいいかなって。

 どう考えても、大学生よりも崇拝しているアーティストの方がお金を稼いでいるのだが、心を病んで休んでいる彼をとにかく「応援したい」という息子の気持ちに何だか感動してしまった。所謂「推し活」というものなのかもしれないが、僕にはそういう対象がいないので、素直に「関係性が美しいな」と思った。

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