ワインは白が良い。
田中光です。
実はちょっと前にお世話になった人を亡くしたんです。
その人は僕にとって”ほぼ”お母さん。
実のお母さんだからこそ話せないコトって結構あるじゃないですか。
そんな時にお世話になったのが、この「ほぼお母さん」
この人には嬉しいことも、苦しいことも何故か話せました。
僕に肩の力を抜くってことを教えてくれた存在だったんです。
ほぼお母さんは癌でした。余命は5年。
でもなんでか癌が見つかった時、一番最初に報告してくれました。
検査のその時にただLINEしてただけだからなのか。僕だったからなのか。
それはもう分かりません。
そこからの数年は僕の青春でした。
旅行に行ったり。誕生日を祝ったり。何もない日に白ワインで乾杯したり。
「ただただ楽しいってこういうことか」って。
でもそんなほぼお母さんと、ちょっとしたすれ違いで疎遠になっちゃったんです。最後に話したのは恵比寿の路上でした、ちょっとした電話。
それから1年くらいして、ほぼお母さんの実の娘さんから危篤の連絡が来ました。
お葬式の日、親族の方から聞いたほぼお母さんの最期の言葉は
「満遍なく生きた」でした。
嗚咽が出るほど泣いた後に、ふと笑ってしまいました。
ほぼお母さんらしいなって。
人生を満遍なく終えられるって素晴らしいじゃないですか。
最期に、自分の人生を謙虚に称賛できるって素敵じゃないですか。
激動じゃなくて良いんだ。肩の力を抜いて満遍なくで良いんだ。
最期にまた気付かされました。
でも出棺するその時、斎場でロックがかかったんです。
ほぼお母さんが好きだった曲。
心の中で「どっちだよ!」って文句を言いました。
「その曲が耳に残ってるうちは満遍なくなんて生らんねえよ!」って。
だから、やっぱり頑張ろうと思います。
自分の人生の最期に満遍なかったって、謙虚にロックをかけれるくらい。
ほぼお母さんから22歳の誕生日にもらった、ちょっと良い北海道産の白ワインは、自分が満遍なく生きれたその日に飲もうと思います。
心からありがとうございました。