日本BLドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」第1話を本気で見た

最近のアジアがBLに対して本腰入れすぎていて、各国で良作をバンバン生み出してくるので目も脳もお金も色々と足りていない今日この頃。
そして、市場にオタクは愛するコンテンツには惜しみなく投資するタイプであるとついに気付かれてしまった感がある。
……いや、むしろ、やっと気付いてくれた。オタクはだいたい愛するコンテンツに関するものはとりあえず売ってくれたら買うんだから、変に出し惜しみとかしないでほしい。私くらいになると全然コンテンツと関係ない概念まで買いはじめるから。
そして特に頼まれてもないのにコンテンツの末永い繁栄を願って裾野を広げようとしがち。コンテンツ独り占めして母数増えずに衰退されると困るので、良いものは共有。ハマった時点から布教するしかない。よくTwitterとかで布教シートが回ってきたりするとすぐ誘われます。取り柄はフッ軽。そして自分で言うのもちょっとどうかな?と思いますけど、オタクって健気。

なんか調子に乗ってうっかり主語が大きくなりすぎたオタクの話はさておき、新しい日本BLドラマが始まりました。イェーイ。
放送局はテレビ東京。もうこの時点で勝ちです。
何を隠そう私は、テレビ東京がもし開宗しようものなら親に一言も相談せずにドンと入信するような、そこそこ敬虔なテレビ東京信者になれるタイプの人間なので、特に懸念することもなく勝ちを確信しました。
タイトルは「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」。略して「チェリまほ」と呼ばれており、原作も既にすごく人気ある。

そしてキャストをご覧いただきますと、テレビ東京ってだけでも勝ちなのに、キャストも勝ちですよ。だって町田啓太がいるもん。勝ちです。ありがとうございます(ただのファン)
テレ東は木曜深夜1時から、BSでは10月13日火曜の深夜0時から放送です。そしてこの第1話は期間限定でYouTubeでも見られます。大盤振る舞いじゃん。

さっそく本編を本気で見ていきたいと思います。イェーイ!
急な坂道を自転車で駆け上がろうとしたり、とにかく爆走するシーンから始まります。
「(30歳になるまで考えてもみなかった。平凡な俺の人生に……いや、俺自身にこんな魔法がかかるなんて)」
一瞬自転車で爆走する男を見送って歩き出したのが主人公の安達清(29歳と364日目)。地味なスーツ姿にモサいを具現化したような髪型と大あくびというスリーコンボで横断歩道を渡る。

会社につけば資料片手にスッ転ぶというパッとしなさの極み。
その奥ではシュッとしたを具現化したような男性社員の黒沢優一が転んだ物音を聞いて立ち上がる。するとカワイイ後輩を具現化したような男性社員の六角祐太が「黒沢さん!資料出来たんでみてもらっていいですか!」と駆け寄ってきます。
安達は謝りながら資料をかき集め、自席に戻って仕事を始める。
すると突然、先輩風を具現化したような男性社員の浦部健吾が「今まで誰とも付き合ったことないってガチ?」と声をかけてきます。
「な、何ですか急に……」「いや、お前どうなんだよ~!」「まぁ、はい……」
素直に答えた安達に対し「エッ、じゃあ安達って童貞?!」と、デリカシーのかけらもない先輩風の浦部。「ちょっと、声大きいですって……!」「え~~~~本当に~~~?ああそう……」と半笑い。童貞に笑う者は童貞に泣くから気を付けてほしい。
「セクハラですからね、それ」「だってお前いまいくつよ?」「明日で30ですけど」「マジ?藤崎さーん、こいつ明日誕生日だって」と通りすがりの女性社員に声をかける。律儀に祝ってくれた藤崎さんに「なんかすいません……」とぺこぺこしてしまう安達。誕生日なのに。
浦部は「藤崎さんとかどうなの?俺調べでは藤崎さん彼氏いないから俺が間取り持ってやろうか?」「そういうのいいですって……」「もっと危機感持てよ!30過ぎても童貞だと魔法使いになっちまうんだぞ」「魔法使いって、そんな都市伝説信じてるんですか」「いや?でも、あったら面白いじゃん」「もう分かりましたから、仕事してください」とあしらわれてようやく仕事に戻る。

「(好きで童貞でいるわけではない。今までに好きになった子はいたし、藤崎さんだっていいなって思う。……けど、思うだけ。それだけ。自分から動くなんて絶対無理だ。上手くいくわけないし、その後の事を考えると気まずすぎる。そしたらもう会社にいられない)」
分かります。私を含め、陰の者はその辺しっかりと分かり合える。
一方、先ほどのシュッとしてる黒沢は女子社員にキャッキャと囲まれて飲みに誘われている。
しかも彼は営業部のエースで5年連続成績トップを死守しており、上司受け、女子受けも共に最高の爽やかイケメン。学生時代も水泳かサッカーか野球か忘れたけどインターハイ的なもので活躍している。完全なる陽の者です。安達とは同期であることと性別以外は共通点ゼロ。
「おつかれ」と爽やかに声をかけていく黒沢に笑顔まぶし……と思っている陰の者の安達。陽の者の黒沢は、女子社員に絶対に分かり切ったパソコンの操作方法について聞かれている。
「(もし俺に黒沢の要素が一つでもあったら……いや、ないものねだりはやめよう)」
おそらく安達は今までにそういう身近な陽の者をみるたびにこうして考えたことがあるんじゃないかな?と思いました。切ないです。
「(じゃあ、せめてもし誰かに心の底から好きだって思ってもらえていることが分かったら……なんてな、アホらし)」
そんな事を考えながら帰りに弁当を一つ買って帰る安達。ちょっとコケる。常に足元が危うい。

翌日、自分の部屋であるアパートの一室で朝を迎えて「グッバイ、20代の俺。おはよう、30代の俺」と、心の中で挨拶をする。
誕生日を祝うシンプルなLINEが母と友達の柘植からの2通。柘植に「ありがとう、柘植も仕事がんばれ」と返信をして誕生日イベント終了。
三十路になっても20代と同じ毎日が始まる……とおにぎりを買い、お金を渡したその時「来た、ダブルマヨ」という声が頭の中に響く。そしておつりを受け取って店員の手に触れたとたんに「毎日よく飽きないよな」という声も続く。え????
信号待ちをしている時も、近くにいる人たちからどこからともなく声が聞こえてくる。「どうなってんだよ!?!」とパニくる安達。
人混みから走って逃げてしゃがんでいると警察官に声を掛けられる。「朝から酔っ払いか?勘弁してくれよ」という声に驚いてよろけ、通行にぶつかりまくる安達。ぶつかるたびに人の声がするので「どうなってんだよこれ?!」と動揺しまくりです。

会社で精神を落ち着かせようとするも、あの浦部から「おはようさん。30代、楽しんでこうぜ」と肩を掴んで声を掛けられる。「ったく、今日も朝から暗えなぁ」という心の声を添えて。
もしかして……と、そっと浦部の肩に手を添えると、どんどん心の声が流れ込んできます。何も知らない浦部は「どうした?魔法使い(笑)」と冗談のつもりでいいますが、安達はガチです。
「(まさか俺、本当に魔法使いになってる!?!?!?)」

というところでオープニング。
ここのオープニングめちゃくちゃ好き。安達と黒沢の二人の生活の対比具合も面白いし、光の入り方がきれい。陰と陽なんだけど、二人にそれぞれ同じように日の光が差し込む、みたいな様子がこれからの展開を予感させるので好きです。
私個人の印象ですが、テレ東のドラマって映像の質感がちょっと独特というか、ドラマなんだけど映画みたいな、クリア過ぎず、滲み過ぎず、色温度も絶妙なところをコントロールしているような気がして大変好みです。心地いいノイズがある。

誕生日から一週間後の、安達の冴えないモーニングルーティンを見守ります。
「(自分の適応能力にビビる。電子マネーの導入、早起きしてラッシュ回避。これで俺に触れてくるやつなんてほぼいない。この力が妄想でも魔法でも、毎日は変わらない。もし、あの都市伝説が本当なら、童貞を卒業したらこの力もなくなるということになるけど、それも現状不可能に近いわけで……)」
人に触れあわないようにとエレベーターを人に譲っていると、黒沢がやってきて挨拶してくれます。
黒沢「早いんだな、今日」「ああ、まあ」「今行ったばっかか……階段で行く?」「え!?10階だよ、うちのオフィス」「いい運動になるんだけどな~」とキラキラの笑顔。朝から陽のオーラがすごい。
「(まぶし……こういう奴は10代で童貞卒業してんだろうな……きっと、モテ・オブ・モテを極めた人生を謳歌してきてんだろうな……)」と拗らせに諦めを加えていく安達、満員のエレベーターでうっかり黒沢に触ってしまう。
「ツイてるな。まさか朝から会えるなんて。あんまり見ると怪しまれるな……」という黒沢の心の声を聞いた安達は、うわ、こいつ会社に好きな奴いんの?!とほくそ笑む。これは良くない。ちょっと性格が歪みだしてる。
「また寝癖ついてる」寝癖!?どの子だ!?とモテ・オブ・モテの黒沢の好きな子を見つけてやろうとエレベーター内を見回す。
するとエレベーターの扉が開き、押されて倒れそうになる安達と黒沢。「ヤバ!すっげー近い!!朝からこんなにツイてていいのかな。めっちゃドキドキするんだけど!」……ん?「てか心臓の音、安達にバレてないかな?」……ん????
何が起こったのか分からない安達。寝癖がついてる自分の髪を撫でながら「……俺!?」
安達は自分が心が読めるっていうのも全部妄想で、幻聴説が浮上してきたぞと思い始めます。だってまさか、あのモテの権化の黒沢が自分のことを好きなはずがないので……。

浦部が課長に急遽明日朝までの仕事を任されたのを見て、安達は嫌な予感を察します。いつの間にか触れていた足から、どうやら今日が浦部の結婚記念日でドタキャンしたら怒られるだろうなァと考えていることを読んでしまう。
うっかり人のいい安達は仕事を引き受けて、一人残って残業。心根がいい。全然終わらねえ!と思いながらも仕事をしていると、突然現れる黒沢。抜かりないぞ。
「後輩に買って余ったやつだから」と言うコーヒーを差し出され、警戒心丸出しで受け取って見たら「本当は安達のために買ったんだけど」と聞こえて挙動不審に。
焦るな……これはきっと幻聴……と言い聞かせて礼を言い、仕事に戻ろうとするも黒沢は帰らずに手伝うと申し出てくる。
結局二人になってしまいますが、やっぱ仕事できるやつは言うこともやることも違うな……と思った安達は「黒沢ってなんかすごいよな。だって、仕事めっちゃできるし、周りからも信頼されてるしさ」と素直に褒める。
いきなり褒められた黒沢はニヤニヤしながら「急に褒めてくるなあ……ほら、仕事に集中」と資料を渡してくれます。資料を二人で覗き込んでいるとかすかに聞こえる黒沢の心の声。
「前から思ってたけど、安達いいにおいする。シャンプー、柔軟剤?何使ってんだろ。今度薬局で調べよ」
……えっ、あなた、薬局で調べるの???それは、聞いたら????聞いたら早いよ???と思いつつ、ここで超重要ポイントであろう黒沢の変態性が出てまいりました。いいぞ。
さすがに心の声で匂いに言及されて動揺しまくる安達。近づくとまた「あと、うなじのほくろめっちゃエロい。あ、ヤバい。これってもしかして俺しか気づいてないんじゃないの?うなじにほくろ!ほくろ!」という、とんだ浮かれた変態さんの心の声が聞こえてくる。耐え切れずに立ち上がってトイレに逃げる安達。
もちろんうなじのほくろを確認するわけですが、ほくろがあるなんて自分でも知らなかったので、おや?これはもしかして妄想や幻聴ではないのでは……と結論づけることになります。

「(つまり、こいつの思いはガチ。……ごめん。この状況、完全キャパオーバー……逃げたい……帰って寝たい……そもそも何で俺なわけ?仕事しすぎで頭おかしくなったのか?)」と突然手に入れた魔法に死にそうになってしまう安達。
仕事を終えて二人で会社を出る。魔法で気もそぞろな安達は黒沢の声をスルーしていきなりくしゃみをする。心配した黒沢は自分のマフラーを差し出してくれるんだけど、安達は「自分で使えって。黒沢が風邪ひいたらみんな困るんだし、俺なんか別に」と言って断る。
そこを強引にマフラーを巻きに行く男、黒沢「安達、自己評価低すぎ。いっつも周りの空気読んで一歩後ろに引いてて、朝も人にエレベーター譲ったり、先輩の仕事押し付けられても嫌な顔しないで……ホントはめっちゃ優しくていいやつで、それに仕事は丁寧にきちっとこなす。そういうところが、俺は」
てっきりまた変態の心の声を聞くことになるのかと思いましたが、全然違いました。すごい真面目なことも考える変態でした。本当に申し訳ない。
安達も、頭おかしいとか思ってごめん……俺のことこんなに見ててくれる奴がいるなんて思ってもみなかった、とちょっと泣きそうになる。ピュア。でもなんというか、日常的に人の優しさにめったに触れてこなかった安達の気持ちめっちゃ分かる。

そして終電を逃す安達。ネカフェとかに泊まると言うと、黒沢が「うち泊まっていけば?ちゃんと寝ないとしんどいだろ?」ととんでもないことを言い出します。
黒沢に迷惑が……と安達が言うのを食い気味に「全然迷惑じゃないよ。そうしてくれると俺も安心だし」と被せてくる。
うう~~~ん………うん……???と曖昧な返事を返すと、やや強引にお泊りの展開へ持って行く黒沢。肩を叩かれた安達は、心の声どころか黒沢の心の中で膨らんでいる妄想が鮮明な映像として伝わってくる。突然のイメージビデオで草。そして黒沢は超楽しそう。
~ま、まさか、童貞の前に貞操の危機?!?!?~
ということで1話おわり。

そしてエンディングもセンスがいい。なんか……こういうセンスがいいんだよな……テレ東って……。私の語彙力……。
と、ここで一つ気付いたことは、冒頭で自転車爆速してた男(=安達)は、エンディングの安達の服が同じだったこと。伏線回収が楽しみです。
ちなみにエンディングを歌っているDEEP SQUADは町田啓太さんが所属するLDHのDEEPによる新プロジェクトです。オーディション番組を見ずにいられない人間なのでボーカルオーディション見てました。
今回の「Good Love Your Love」はこの世界観にも合っていていい曲だと思います。

さて、第1話ではこの物語のすごく重要なポイントが沢山詰まっていたなと思います。主人公の安達がどんな人間であるか、そして黒沢がなぜ安達に思いを寄せるのか。ここが見えてこないことには没入できない。
この作中で黒沢が言っていたように、安達は自己肯定感って低いんですけど、その分だけ相手のいいところをたくさん見つけることができて、それを相手に対して素直に伝えられるんですよね。ピュアだから。
それが黒沢が安達のことを好きになった理由。とても分かる。
そして周りを気にして、人の気持ちをずっと考えながら生きてきたから、相手に触れると心の声が聞こえてくる魔法を手に入れたのかな?と思いました。

次の第2話でもう家にお泊りという魔法使いの経験値2に対して難易度300みたいな展開ですが、果たして安達と黒沢はどうなるのでしょうか……。

今更ですが、原作未読の身なのでとんでもないこと言ってたらすみません。ドラマ見終わったら一気に読もうと思います。こういうフットワークが取り柄のオタクなので先に買っとこ!!!!!


楽しんでいただけましたら、サポートして頂けると嬉しいです!書くことへの励みになります。