上山伸幸(2013)「国語科における小集団での話し合いモデルの検討:Neil Mercerの「探索的会話」に関する論を中心に」

 上山伸幸さんの研究では、国語科における小集団の話し合いモデルの一つとして、「探索的会話」に着目し、原典に掲載されている会話例を対象に分析することを通して、「探索的会話」の特徴を明らかにすることをを試みている。

 Mercerにおける会話の3類型の定義は、松尾剛他(2005)により、以下のように訳が与えられている。

・論争的会話:意見の決裂と個人的な意思決定によって特徴づけられる。情報が共有される事や、建設的な批判や提案がなされる事はほとんどない。主張と反論によって構成される。

・累積的会話:会話の参加者は積極的にお互いが言ったことを積み重ねていくが、それは批判的なものではない。参加者は蓄積によって共通の理解を構成しようとして会話を行う。繰り返しと、確認と、精緻化によって特徴づけられる。

・探索的会話:会話の参加者が批判的で、しかし建設的にお互いの考えに関わり合っているときに生じる。立つげにゃ提案は共同で検討を行うために提示される。彼らは反論を述べられる事も、その反論に対して、さらに反論を受けることもあるだろうが、その反論は十分な証拠に基づくものであるし、代替の仮説も提示される。そして、進歩は最終的な全員の参道によって生じる。

松尾剛・富田英司・丸野俊一(2005)

 これらを基にしながら、Mercerらが示した会話例を分析し、「探索的会話」の特徴を捉えるために、①「反論」、②「参加者が批判的で、しかし建設的にお互いの考えに関わり合っているときに生じる」という状態、③推論過程が可視的である、という3つの観点を設定している。

 そして、次のような「探索的会話」の特徴を明らかにしている。

・論争的会話:批判のみで構成される。
・累積的会話:場に出される意見や主張がほとんどそのまま受け入れられる状態。
・探索的会話:①「反論」を通して意見が吟味・検討されている状態。②話し合いの過程で理由が述べられたり、理由が尋ねられたり、意見が受容されたりすることで建設的なかかわりが生じる状態。③理由を述べたり、詳細を確認したりする中で、より確かに他者を理解することができる状態。

上山(2013)

 昨日までに読んできたBarnes.D氏の「探索的会話」とは異なる?Mercer氏の「探索的会話」の定義および特徴に触れられたように感じている。
 しかし、現在の自分の知識では、この研究の意義がつかみきれないのが正直なところ…。もっと学ばねば…ということを痛感した研究だった。

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