
Virus and sexual reproduction
今日のタイトルは「ウイルスと有性生殖」です。
東京都は9日、都内で確認された新型コロナウイルスの感染者が181人に上ったと報道がありました。今後、自粛要請の効果が出て、万が一にも3桁から4桁にならないことを切に祈るばかりです。
ところで、動物とウイルスはこれまで長い戦いを絶えず繰り広げてきましたが、この戦いに勝つために動物が発達させた最大の武器があります。
それは「遺伝的多様性(genetic diversity)」です。
そもそも大部分の植物と一部の動物は「無性生殖(asexual reproduction)」で、単独でも生殖できますが、人間を含む複雑な種のほとんどは「有性生殖(sexual reproduction)」なので、いわゆるパートナーがいてはじめて生殖がおこなわれます。
実は、この「有性生殖」をおこなっていなければ、ウイルスの感染から生き延びられなかったわけです。
見方を変えれば、もしウイルスの存在がなかったら、人間を含む多くの動物も「無性生殖」のままだった可能性もあります。
「無性生殖」なら、遺伝的に完璧な自分のコピーが作れるので、異性との出会いも必要なくある意味、何ら面倒なことはないわけです。
子孫を残すために異性との愛を育み、長い期間の子育てをするなんてことはなかったかもしれません。
生存を脅かすだけの厄介なウイルスですが、高度な人間を生み出した一面もあったのではないかという仮説を立てています。
「有性生殖」は遺伝構造の異なるふたつの個体が交尾して、どちらの親とも遺伝構造が異なる子が産まれます。これが「多様性」を担保しています。
近親交配(近親婚)によって生まれた子は遺伝的な疾患の発生率が非常に高くなります。近親婚は同じ劣性遺伝子を持っている可能性が高くなるからです。
近親婚は社会的にタブーとされ、民法第734条【近親者間の婚姻の禁止】でも禁止されています。
親と子が遺伝的にあまりにも近すぎると、人間の多様性は弱まって、種全体がウイルスによる伝染病で絶滅しかねないません。
われわれの遺伝構造は錠のようなもので、ウイルスはそれをこじ開ける鍵を常に探しています。その錠がどれも同じようなものであれば、共通の鍵で開けられてしまうので、恰好の攻撃対象となってしまいます。
ウイルスが無くなることはないので、これからも人間との戦いは続きます。
今は新型コロナウイルスですが、個人で感染防止できることは、もう決まっているので、注意深く続けるしかありません。