変わっていくものよりも、変わらないものを大切にしたい。
卒業旅行の最後に「次いつ会えるかわからないから」と言って、一人で祖父に会いに行った。
もう、3年も前の話。
久しぶりに会った祖父は、座っているのがやっとなほどに足腰が弱っていた。わたしのことが誰なのかわからないほど認知症も進んでいた。
それでも、わたしの顔を見るなり「よう来たね。」なんて話したりするものだから、きっとまだ覚えているのかもしれない。なんて淡い期待を抱いた。
大きいと思っていた背中は小さくなってしまっていて、ちょっぴり哀しさもあったけれど、どこかに連れて行ってくれるたびにぎゅっと握った大きな手のあたたかさはまだ残っていて、少しホッとした。
歳を重ねると変わってしまうことはあるけれど、同時に変わらないものもそこにはあるのか。そんなことを思った。
*
変わってしまったものばかりについ目がいってしまうけれど、その中に変わらないものがあるのだとしたら、そこにも目を向けておきたい。
変わらないものは長い時間をかけてできるその人らしさだ。
久しぶりに会う誰かを変わってしまったと嘆くよりも、変わらないものを知っていればちょっとやそっとのことで勝手に傷つかなくて済むのかもしれない。
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