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20
「たどりついたね、うれしいよ」
目を閉じても思い出せるくらい楽しい二十祭だった。
ずっと聞きたかった曲に大興奮したり、懐かしい曲でゲラゲラ笑ったり。
当時は何も思っていなかった曲の歌詞が、今更心に響いたり。
全部楽しかった二十祭の中でも、私は一番最後の挨拶を聞くのが大好きだった。
客席の端から端までゆっくり視線を動かしながら、一つ一つ丁寧に話してくれる丸山さんの姿を見ることが、そんな丸山さんから紡がれる言葉を聞くことが、何より大切で大事な時間だった。
冒頭の言葉は、丸山さんが挨拶の時に丁寧に紡いだ言葉の一つで。私の二十祭の感想も、この一言に詰まっている、と思った。
ステージ上の丸山さんの表情は、とにかく良く変わる。
かっこいい曲が始まれば、目を細めながら流し目になり、明るい曲が始まれば、はじけんばかりの笑顔や満面の笑み。
可愛い曲が始まれば、少し頬を染めながらかわいい笑顔を見せてくれるし、切ない曲が始まれば、苦しそうな表情を。
そしてMCに入っていじられだすと、それまでの表情が打って変わって、眉毛が一気に下がって情けない顔になる。
そんな中でも、最近、よく見かける丸山さんの表情がある。
笑顔とか泣き顔とか、そういった一言で表すことのできない表情で、夢列車を歌っていた時、LIFE GOES ONを歌っていた時にも見かけた表情。
笑顔なんだけど、満面の笑みとは少し違う。
満ち足りたような、幸せそうな、楽しそうな、すごく良い表情。
自信とか、メンバーへの愛とか、そういった類のものも含まれているような表情で。
きっと、頑張ってきた人にしか、何かを乗り越えた人にしか出せない表情なんだと思う。
二十祭で丸山さんのその表情を見て、丸山さんは、丸山さんの言うように、たどりついたんだ、と思った。
「これからも一緒に歩幅合わせて歩いていこう ゴールが見えるまで」
YOU CAN SEEを初めてライブで歌った2009年とは、歩いていく人数も、目指すゴールも変わったかもしれない。
それでも、5人は「続ける」という選択をし、新たに設定したゴールに向かって、5人の歩幅を合わせながら、着実に一歩一歩、歩みを進めてきた。
それは、私たちファンも同じだったのかもしれない。
好きになった時は信じて疑わなかった未来の話を、何年か前から祈るような気持ちでするようになったりもした。
好きなのに、好きだからこそ、色んな思いに上手に折り合いがつけられなくて、苦しかったりした時期もある。
それでも、二十祭を経て、また、信じて疑わずに純粋な気持ちで未来の話ができるようになった。
ここにたどりつくまでに、丸山さんの優しさと信念でできた明るさにみんなが救われた時期があった。
汗だくでちょっぴり困った顔をしながら一発ギャグをやっている姿とか、いっぱいいっぱいになりながらも、とにかく場を盛り上げようとしてくれる姿とか。
そんな明るさのおかげで、増えた笑顔と減った涙が確実にあった。
5人の努力と、愛と、優しさが築き上げた二十祭。
こんなにも最高な場所にたどりつけたことが、ファンとして誇らしくて、幸せだ。
「これからはずっと一緒に肩を並べて走っていこう ゴールの向こうまで」
初めて歌った時から15年の時を経て、東京ドームでこのフレーズを歌う表情を見て、5人も再出発の時に設定したゴールに、二十祭でたどりついたんだ、と確信できた。
5つの肩を並べて、その先へ進みだしたSUPER EIGHTのこれからがすごく楽しみだ。
丸山さん。
たどりついたね、うれしいです。