英語はなぜ難しいか? (音声実践編④)
「英語ペラペラ」「English speaker」を目指し、英語の「sound」を練習する「英語はなぜ難しいか? 音声実践編」。第4弾の今回は、言語学習におけるmusicの重要性を考察する。
本記事は、前々回記事の続編となっている。未読の方は、まずコチラ ↓ を読んでから、本記事に挑戦してほしい。
いつも言っていることだが、「発音」「リズム」は、重要性を理解すること自体が難しい。理解していないということは、その人自身が英語の発音・リズムを身につけていないということであり、つまりEnglish speakerではない。実践と理解が一体になっている分野(他の分野も?)だ。
私の記事の愛読者はご存知の通り、現在日本で英語教育に携わっている人間の大半は、英語を言語として使えていない。指導要領の変更や、大学入試の変化などによって、遅まきながら(遅いんだよ‼️ 文部科学省)「実用英語」の方向に舵を切っているとは言え、英語ができない人間が英語を教えている状況に大きな変化はない。
私自身、英語を言語として習得しないまま塾講師として英語を教えており、その期間は20年間にも及ぶ。本「英語はなぜ難しいか? 音声編」シリーズは、私の懺悔であり、罪滅ぼしでもある。
と、暗い話になってしまったが、大丈夫👌。風向きは変わりつつある。若い世代は、英語学習において、「音声から入る」「言語として使う」というマインドを当たり前のように身につけており(羨ましい😻😻)、実際に英語を言語として使いこなしている。彼らは次世代の英語指導者であり、20年後には日本の英語教育は大きく変わっているだろう。
問題は、その流れから取り残されているオジサン世代だ。若い世代からすれば、「何やってんの?」という話かもしれないが、我々には我々の事情があったのだ😭😭😭。再三述べているように、私の記事は「沈みゆく船から逃げ遅れたネズミ」である、オジサン世代のためにある。かつての私も、そのうちの一匹だったのだから。
前置きが長くなってしまった。ここまで続けてきた、「英語はなぜ難しいか? 音声編」は、要約すれば「言語学習は音から」「英語を言語として使う」という、たった二言で済む話だ。それがいかに(特にオジサン世代には)難しいか、ということが言いたかったのだ。若い読者の方は、その辺りを念頭に置いて、本記事を読んでほしい。
初めに、本記事の要約をしておく。
①なぜmusicが有効か?
英語のリズムを習得することと、ポップミュージックのリズムを習得することが、重なり合っているからである。
前回記事でも紹介した、説明不要の名曲 ↓ を聞いてみよう。
前々回記事で私は、なぜこの歌が難しいか、どうすれば自分も歌えるようになるのかを説明した。
本記事では、その技術(?)が英語のリズム習得とどのように関連するかを説明する。
・「切れ目」が通常と異なる
日常会話において、日本語話者が「切れ目」「ポーズ」を置く場所は文の切れ目である。それ以外の箇所はゆっくりと続けて話すのが一般的だ。
それに対して、ヨーロッパ言語は意味のかたまりごとに区切って話す。言わば、ポーズを置く場所が日本語とは異なっている。
この点、日本語の文章は単語ごとに区切れていない(メチャクチャ特殊な表記法。私の知る限り、日本語・中国語くらい)ため、日本語話者が他言語の文章を読むと、逆に「(目に見えて区切れている)単語の切れ目=音の切れ目」だと錯覚しやすい。
多くの日本人が英語の文章を読む際、単語ごとに区切って読んでしまうのは、このためだ。
例えば、「I am playing the piano.」という英文を読むとする。日本語話者には、5パートに区切れているように(実際そうなのだから)見えるだろう。
それに対して、我々English speakerは、「I'mplaying thepiano」のように認識している。
音のかたまりごとに捉えるという習慣は、英語の音声・リズムを習得するための必須項目であるのみならず、読解の感覚を養うことにもつながるのだ。
「Lemon」には、通常の日本語ではありえない「音の区切り」「ポーズ」が多数登場する。聞こえてくる音のかたまりをそのまま捉える練習に最適だと考える。
・歌う速度が一定ではない
日本語の文章は、一定速度で読むのが一般的だ。いわゆる「音読」をさせてみると、多くの生徒がそうなる。それは、良く言えば全ての情報を正しく捉えているということだが、悪く言えば情報の重要度の差を意識していないということでもある。
ある文章において、全ての情報が重要であることなどありえない。必ず重要ポイントがあるはずなのだが、日本語ではそれを「相手の読み取り」に依存してしまう。
それに対して、ヨーロッパ言語では「話し方」で伝えようとする。最も顕著なのが、ある部分を読むスピードである。
「Lemon」に登場する、スピードの上げ下げを聞こえてくるまま真似することによって、話す際のスピードに対する意識が変わってくるハズだ。
・突然音程が上がる
上記の「歌う速度」と似ている。よく「日本語は平坦に話される」と言われるが、音の上がり下がりを意識するだけで、「日本語っぽい」か「ヨーロッパ言語らしい」かが大きく変わってくる。
English speakerとして、いわゆる「日本人英語」を聞いてみると、pronunciationの問題より平坦な話し方に違和感を覚えることが多い。コチラ ↓ も参考にしてほしい。
「Lemon」に登場する、音程の上がり下がりを聞こえてくるまま真似することによって、「英語らしく」話す感覚が鍛えらるハズだ。
・音が伸びる
「い」と「いー」は異なる音である。日本語にも存在する現象であり、特に難しくない。英語を聞く際にも同じことを意識さえしていれば。
・高音から歌い出す章節がある
英語においては、重要表現「Can you〜?」が該当する。出だしの「Ca」の音が高く、日本語話者にとっては言語として認識するのが難しい音だ。特定の音を言語として捉えるか、「奇声」「歌」として捉えるかは、所属する文化や使用言語に大きく依存する。詳しく学びたい方は、コチラ ↓ をどうぞ。
・音を短く切るパートがある
音楽の世界では「staccato」と呼ばれる。英語の話し方とは直接的な関係はないが、1つ1つの音を正確に出す上で重要な技術だ。
意識さえすれば誰でもできることであり、とくに語ることはない。「意識すれば」ね😝。
②実は日本人も英語のリズムにのっている
ここまで読んできて、いかがだっただろうか? 「カラオケなんて嫌い!」という読者には、苦痛だったかもしれない。ここでお詫びする🙇♂️🙇♂️🙇♂️。
「オジサンだからって舐めるなよ! 俺だって歌えるわ‼️」という感想を抱いた貴方には、朗報がある。それは、「Lemon」を歌えるということは、英語のリズムにのれているということだ。
ここまで説明してきたように、この歌には英語のリズムを身につける上で必要な技術が詰まっている。もっと言えば、何もこの歌でなくても、様々なポップミュージックを習得する過程で英語のリズムにのれるようになるのである。
我々オジサン世代がよく耳にしていた歌と現代の歌では、リズムが大きく異なる。コチラ ↓ を聞いてみてほしい。
「Lemon」と聞き比べてみれば、一目(一耳?)瞭然。リズムが単調なのが分かるだろう。
どちらの歌が優れている、というような問題ではない。だが、この歌に耳が慣れていたら「Lemon」についていくのは大変だ、ということは何となく分かるだろう。中学生の時の私は、この歌のリズムにものれなかったけどな😝。
また、現在では無料で大量の音楽が聞けるようになったという事情もある。我々オジサン世代は、お小遣いを握りしめてCD(compact disk)を買いに行ったものだが😅。
諸々含め、現在の若者達は耳が鍛えられていると言えるだろう。若者世代の英語力が上がっている背景の1つ(最大の要因は英語教育の浸透、だとイイなぁ🤣)だと考える。
それは、さておき。
私のように、どうしようもない音痴😱を克服した人間もいれば、最初からカラオケが得意な人(音感が良い人)もいる。どちらかに該当するならば、貴方は既に英語のリズムにのっているのである。
どうだろう? こう言われれば、多くの(全員ではないにせよ)日本人が英語のリズムを習得しているorすぐに習得できる、と思えてきたのではないだろうか?
だが、いざ英語を話すとなると、相変わらず貴方の口から出てくるのは「日本人英語」だ😅。
なぜか? それは、カラオケと英語が貴方の中で分断されているからである。前者は「趣味」、後者は「勉強」というように分けてしまうから、せっかくの技術を生かせなくなる。
カラオケ練習の延長上に英語の音声練習を位置づけるところから始めよう。いつも言っている、「マインドセット」である。
③実は日本人も英語の音を出している
「カラオケ練習こそ言語学習」というマインドができたら、さらに広く「音声」を捉えられるようになる。
「英語はなぜ難しいか? 音声練習編」↓ で紹介した英語の「音」を、別の角度から見てみる。
すると、実は日本人もヨーロッパ言語の音を出していることに気づく。以下、具体例を紹介する。カッコ内に、その音を含む言語(他にもあるかもしれない😅。現時点で私が認識している範囲で、ということだ)を挙げておく。English speakerになった後に必ず歩むであろう、多言語習得へのmotivationとしてほしい。
・birthday cakeの上にのっている、ロウソクの炎を消すときに、息を吹きかける時の音。「フー」。(ヨーロッパ言語全般)
・ため息をつく時の「ハー」。自然と無声音になる。(ヨーロッパ言語全般)
・呻く際に出す「ウッ」。通常の日本語における「う」とは異なる音。(ヨーロッパ言語全般)
・歌に登場する「トゥ」「ドゥ」↓ など、子音だけの音。母音をつけると上手く歌えないため、自然と子音だけ出すことになる。(ヨーロッパ言語全般)
・悲鳴をあげる際の「キャー」。本記事でも紹介した「Can you〜」の出だしに該当する。(英語、スウェーデン語)
・「チィ」と舌打ちする際の「ィ」。ロシア語では重要な子音だ。(ロシア語、ポーランド語)
・「ジュルジュル」とヨダレを垂らす際の「ジュ」。舌を左右に動かしながら出すと、出しやすい。(フランス語)
・呼吸が荒くなった時の「ハーァ」。苦しそうに出すと、出しやすい。(アラビア語、オランダ語)
番外編
・いびきをかく時の「ンゴ」。(タイ語、ベトナム語)
思いついた音を、ざっと挙げてみた。他にも多くの音が、貴方の周りに溢れている。言語とそれ以外を分けるのではなく、「音」に注目(注耳?)すれば、貴方の中に既に存在する音に気づくハズだ。
④英語を「使い続ける」マインド
大長編となった「英語はなぜ難しいか? 音声編」も、終わりが近づいてきた(と言いつつ、延々と続くかも😝)。
「音声編」の後には「文法編」を執筆するつもりだが、ここまで私の記事を読んで頂いた愛読者の皆さんには、この機会にお礼申し上げる🤗🤗。
本記事の結びとして、英語を「言語として使う」ために必要な心構えを述べる。ここまで読んできた貴方は、既に英語を使い始めていることと推察するが、思わぬ障害に出くわした経験はないだろうか?
そう、英語を使っている・使えている貴方は、圧倒的多数の「英語を使えない日本人」にとっては、目障りな存在である😭、という問題だ。
「周りがEnglish speakerばかりだから、そんな経験はない」「英語を使ったからといって、不愉快な思いをしたことはない」という方も、以降の記事を参考程度に読んでおいてほしい。貴方は経験していなくても、間違いなくこの日本に存在する問題なのである。
これまで、私の記事では「英語ができない」人の心理に焦点を当ててきた。だが、英語の音声練習を続け、「英語ができる」「英語を使えるようになっている」貴方には(当てはまらない人は、練習あるのみ‼️)、さらに上級のマインドが必要になる。
本項では、「英語ができるorできるようになりつつある人間の心理」を、「英語ができる人に対する、英語ができない人間の心理」と比較しつつ、説明する。言語学習は生涯続けるものであり、せっかく身につけた言語能力をサビつかせるのは、あまりにも勿体ない。
English speakerになったはイイが、周囲からの反発の大きさに心が折れてしまい、自ら英語を話さなくなる、ということのないようにしたい。面の皮が厚いことで有名な私でさえ、嵌りかけた罠だ😝。
まず、コチラ ↓ をお読み頂きたい。
これが、英語を言語として使えている人間の、自然な感覚だ。別に、日本語と英語を比べている訳ではない。日本とオーストラリアを比べている訳でもない(いや、さすがに言い過ぎか?😅😅)。英語を使うことを通じて、「幸せに生きる」とはどういうことかを考えているだけである。
私は、「英語はなぜ難しいか? 音声編」を通じて、「英語(というか、あらゆる言語)は、意思疎通の手段」であると繰り返し述べてきた。その応用として、「他言語学習は、幸せになるための手段」であると言わせてもらおう。日々言語学習を続けることによって、私は幸せを感じている😍。
英語を使えるようになった貴方には、徐々にその感覚が理解できるようになっている。貴方は自分が話したいから、英語を話しているだけである。
だが、このような ↓ 横槍が入る。
「英語だけできても意味がない」は全くその通りだが、「英語ができる」人間と、「英語しかできない」人間はイコールではないはずだ。
「英語よりも日本語や日本文化を学ぶことが大事」「英語で話すことよりも文法が大事」などという、謎の二項対立もよく持ち出される。
私は大学受験・中学受験の国語を担当しているし、古文や日本史(世界史程ではないが)も大好きだ。これらの項目と英語学習は、trade-offの関係にはないハズなのだが・・・。
この本の内容は、英語ができない(そのこと自体は何も問題はない)教養人にとっては救いの言葉であり、例えば ↓ のような論調も生まれる。
この他、「英語を話せるようになる必要はない」「英会話をしていると文法が疎かになる」などの論調を耳にしたことがあるだろう。ええ、かつての私も、よく言っていましたとも😰。
現在の貴方ならば理解できるだろう。これらの意見は全て、英語を言語として使えていない人間による負け惜しみである。
ただ、自身が長らく(20年以上!)負け惜しみを言う側だった私からすると、これらの意見もイイ線は言っている。
負け惜しみを言うということは、裏を返せば「自分もそうなりたいけど、なれない」ということだ。その悔しさを自身の上達に向ければ、英語は必ずできるようになる。よく言われることだし、私も強く思うことだが、言語は続ければ誰でも習得できるものなのだから。
貴方がEnglish speakerであるorなりつつあるのならば、このような論調にいちいち目クジラをたてるのではなく、雑音として爽やかにスルーしてほしい。何と言っても、できる側の方が心に余裕があるのだから。
まあ、ほとんどのEnglish speakerは、私に言われるまでもなく、「そんな雑音は無視すればイイ」と思っているだろうし、実際無視しているだろう。
だが、私は自身が長らく雑音を発する側の人間だったため、無視を決め込む訳にもいかない。貴方が私と同じく、英語教育に携わっている人間ならば、生徒よりも英語力で劣る自分を正当化するために、
↑ のようなことを思ったり、言ったりした経験があるだろう。それは仕方ないことだったとは言え、同じ過ちを犯す人間を少しでも減らすことは可能である。私がnoteを書いている理由の1つがそれだ。
多くのEnglish speakerは、↓ と同じ意見ではないだろうか?
個人的に面白いと思ったのが、コチラ ↓ 。
「既得権益」ワロタ🤣。
英語を使えていることで、「金銭的な利益を得ている」とは到底思えないが、得していることは間違いないだろう😄。
長くなったが、まとめるとこういうことだ。
英語を使えるようになれば、周囲から様々な「雑音」が飛んでくるようになるが、かつての自分も同じようなことを言っていたのだから、軽くスルーしようぜ‼️ そして、一生、英語を練習し続けよう!
これでイイだろうか? では、Have a nice day!
In learning another language,
sounds come first.
Letters later.
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