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ミュージカル「Six」観劇レポート~歴史を書き換える、6人の王妃たちのポップな物語~



💜はじめに ~Sixとの出会い~

2019年、ふとYouTubeで「Six」のパフォーマンスを観たとき、思わず「なにこれ!」と目が釘付けになりました。ポップでキャッチーな曲に、キラキラの衣装、そしてステージから溢れるエネルギー。イギリスのヘンリー8世の6人の王妃たちが、自分たちの物語をコンサート形式で語り直すという、これまでに見たことのない斬新な設定。王妃たちが一人ひとり魅力的で、あっという間に夢中になってしまいました。

それから「いつか絶対生で観たい!」と思い続けて6年。ついにその夢が叶ったんです。Queenたちが「TOKYO!」と叫んだ瞬間、感動でちょっと泣きそうなレベルでした。

生で観た「Six」は、もう想像以上に最高!音楽の良さ、キャストの情熱、観客との一体感――すべてが完璧で、80分間があっという間。笑って、泣いて、心が震える、本当に最高以外で形容ができない時間でした!

カーテンコールは撮影OK。


✨SIXのここがすごい!

「Six」のすごいところは、歴史を現代風にアレンジしているセンスの良さです。16世紀の王妃たちの物語が、現代のポップカルチャーと融合することで、昔の出来事が今の私たちにもすごく身近に感じられます。

たとえば、政略結婚の話が、現代のマッチングアプリのデート文化に置き換えられたりして、思わず笑っちゃうんだけど「確かに、そうかも」と納得してしまうような演出がたくさん。

「時代が変わっても、人って根本はあまり変わらないんだね」というメッセージが自然と伝わってくるから、観ていると歴史の大事件が自分ともつながっている気がしてくるんです。軽やかでおしゃれな演出なのに、心にしっかり刺さる――これが「Six」のすごさなんだなと感じました。

この後は私個人の感想に少し踏み込んだ内容になります。詳細に興味がある方はぜひ読み進めてください!
[ここから先はネタバレを含みます⚠️]

👑 Queenの個性とそれぞれの物語

「Six」の面白さは、ヘンリー8世の悪行をただ並べるだけじゃなくて、王妃たち一人ひとりの個性とストーリーがしっかり描かれているところ。どのキャラにも共感できるし、思わず応援したくなるんです。

それぞれが経験したのは、流産、幽閉、夫の浮気、地位のための結婚など、とても過酷な現実。でも、彼女たちはその苦しみを力強い音楽に変えて、自分たちの声で堂々と歌い上げます。

  • キャサリン・オブ・アラゴン(Catherine of Aragon) 「No Way」では、王妃の座を奪われそうになりながらも「絶対に譲らない!」という強さを見せつけます。彼女の誇り高さに胸が熱くなります。

  • アン・ブーリン(Anne Boleyn) 「Don't Lose Ur Head」は、明るくて軽やかな曲調だけど、自由を求めて生きた彼女の挑戦が伝わってきます。彼女の運命を考えると、このポップな曲がなんだか切なく感じられる、、、

  • ジェーン・シーモア(Jane Seymour) 「Heart of Stone」は、もう涙腺崩壊の一曲。愛する人を支えるために生きた彼女の優しさと愛の深さが胸を打ちます。静かながらも圧倒的な存在感のある歌声に圧倒されます。

  • アン・オブ・クレーヴズ(Anna of Cleves) 「Get Down」で見せるのは、自分の価値を自分で決めるという強さ。ヘンリーに「不合格」って言われても、彼女はむしろ自由を手に入れるんです。最高にカッコいい!

  • キャサリン・ハワード(Katherine Howard)「All You Wanna Do」は、最初は楽しい雰囲気だけど、進むにつれて彼女が背負った悲しみが伝わってくる一曲。無邪気さと切なさが同居するキャラクターが心に響きます。

  • キャサリン・パー(Catherine Parr) 「I Don't Need Your Love」は、自己解放の物語。「自分らしく生きる」ことを堂々と歌い上げる姿に勇気をもらえます。

🎭 さらなる演出の妙

「Six」の素晴らしいところは、歴史を現代の視点でユニークに解釈しているところです。特に印象的だったのが、アン・オブ・クレーヴズ(Anna of Cleves)の物語で使われたマッチングアプリをイメージした演出。16世紀の政略結婚という歴史的な出来事を、現代のデーティングアプリに置き換えたことで、遠い昔の話が一気に親しみやすくなっています。

例えば、「Haus of Holbein」の場面で、肖像画を選ぶシーンがアプリのスワイプに重ねられていて、観客みんながクスっと笑ってしまうような仕掛けになっています。ヘンリー8世が肖像画だけでアンを選んだという史実が、今の「見た目重視」なデーティング文化と重なるところも、面白さだけでなくちょっとした皮肉も効いていて絶妙です。

さらに、この演出が単なるジョークで終わらないのがまた素晴らしいんです。アンが「スワイプされた」後に、その状況をむしろポジティブに変えていく姿――「Get Down」で見せる自己肯定感あふれるパフォーマンスが、観ている側にも勇気をくれるんです。どんな状況でも自分の幸せを見つけるというメッセージが、SNSやアプリ時代の今にぴったり響きます。

📚物語構成の妙

「Six」は、休憩なしの80分間ノンストップで進むミュージカルですが、その構成が本当に見事で飽きる暇なんてありません!ストーリーは三幕に分かれていて、それぞれに引き込まれるポイントがぎっしり詰まっています。

1. 競争の幕開け

物語は「誰が一番不幸だったか」を競い合うコンペティション形式でスタートします。それぞれの王妃が、個性的な楽曲を通じて自分の苦しみや経験を表現していきます。どの曲も笑いや共感を誘いながら、彼女たちの物語の深みをしっかり伝えていきます。

2. 気づきと転換

転機となるのが、キャサリン・パー(Catherine Parr)の楽曲「I Don’t Need Your Love」。ここで、競争そのものが新しい「檻」になっていることに気づいた王妃たちは、競い合うのをやめて、もっと自分らしく語り直す道を選びます。この瞬間、テーマが「被害者」から「自己解放」へと切り替わるのが見事です。

3. 解放のRemix

フィナーレでは、6人それぞれが自分の物語を堂々と歌い上げます。リミックス曲「Six」は、これまでの曲のエッセンスをすべて織り交ぜて、6人が平等に輝く瞬間を作り上げています。競争が完全になくなり、自由と解放を手にした彼女たちが観客にパワーをくれる最高のエンディングです。

🎶 おわりに ~観劇を通じて感じたこと~

動画のスクショだとどうしても画質が落ちてしまうのが悔やまれる

「Six」は、暗いテーマを扱いながらも、全然暗くならないんです。王妃たちが経験した流産、幽閉、孤独、家父長制の理不尽さ――それらの現実は、今の私たちにも通じる部分があります。でも、彼女たちはただの「悲劇のヒロイン」ではなく、自分の声で堂々と「こう生きてきた」と語ります。

その姿が観ている人にパワーを与えてくれるし、「もっと自分らしく生きていいんだな」と前向きな気持ちになれます。ギャルパワー最高って感じのエネルギーにあふれる演目。ポップで明るい音楽にのせて届けられるメッセージに、元気をもらえる80分間。控えめに言って最高です。日本キャスト版も2月から始まるので気になる方はぜひ観に行ってみてください!


[公演情報]
ミュージカル「Six」
会場:EX THEATER ROPPONGI (東京都)
御園座 (愛知県)
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ (大阪府)
公演期間:2025/1/31(金) ~ 2025/3/16(日)


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