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【2024年】中年男の中国1人旅🇨🇳


1人旅が好きだ。

明確な予定を入れずにふらっと訪問した土地に身を置き、直感に任せて散策する。見たことがない文化に触れる。

その体験がなによりも楽しい。

今回の年末年始、その1人旅の舞台に選んだのは中国🇨🇳。

近くて遠い国

特に中国に憧れていたとか、昔から中国に行きたかったというわけではない。

もともとは寒い日本から逃避するために、温かい東南アジアの国に行きたかった。

しかし、Expediaをチェックしてみたところ、昨今の円安と年末年始の繁忙期が重なり、当初行きたかった国への航空券代はどこも高騰しており、完全に予算をオーバー。

そんななか、中国行きの航空券は片道2万円弱と目を引く価格で、「まあ中国に行ってみるのも悪くないか」と多少の妥協を含んだ選択をしたのであった。

そこに落とし穴が待っていることを知らずに...

年末でも関空発の中国行きの便は格安だった。

航空券の安さに惹かれて決めた中国行きだが、出発が近づき、ネットで他の旅行者の記事を読んでみると、旅の前に準備しなければいけないことが予想外に多いことを知った。

観光ビザ

まずは観光ビザを準備しなければいけない。

これはネットでポチッと取得できるようなものではなく、宿泊するホテルや行き帰りの航空券などの旅程に関わる情報のコピーを用意して、平日のみ営業している(東京の場合は江東区にある)ビザセンターに足を運ばなければ取得ができない。

そして、申請費が8000円近く掛かる。

関東在住の人は江東区のビザセンターに申請と受け取りで2回も行かなければならない。平日しか営業していないのが不便だ。

グレートファイアウォールの回避

次にグレートファイアウォールの回避。

よく知られているように、中国はグレートファイアウォールと呼ばれる検閲システムを使って、政府にとって都合が悪い情報へのアクセスを遮っている。

アメリカのネットサービスの多くはその対象であり、中国国内からWiFiに接続しても基本的にはこれらのサイトを閲覧できなくなっている。

それを回避する方法は国際ローミングとVPN(Virtual Private Network)の2種類。

旅の途中でYouTubeやYahooニュースなどを見たかったので、事前にこの2つを契約しておくことにした。

スマホからネット利用のために国際ローミング対応のeSIM「Glocal eSIM」を契約、15日間10GBで2,500円。中国で問題なく利用できた。
パソコンからのネット利用のためには「Express VPN」を契約。しかし中国では接続が不安定で使いものにならなかった。

決済

準備の3つ目は決済。

現在の中国ではPayPayのようなQRコード決済が主流となっており、現金やクレジットカードが利用できる機会は少ない。

そのため、中国のQRコード決済サービスのAlipayをスマホにダウンロードし、クレジットカードを紐づけておく必要があった。

Accountで設定することで日本で発行したクレジットカードを紐づけることができる。

世界最強と言われるパスポートを持つ日本のバックパッカーにとっては、海外を旅するとなっても準備することはせいぜい、航空券とホテルの予約、荷造りぐらいだろう。

私もそれに慣れていたため、今回の準備は時間もお金も掛かり、大変面倒に感じた。

日本と中国の人の交流が少なかった1990年頃、中国は「近くて遠い国」と呼ばれていたが、旅行者にとってそれはいまだに変わっていないようである。

1人旅を楽しむ

実際の旅では関空から上海に入り、深夜電車で北京に移動、北京から羽田に帰国するという行程の1週間を楽しんだ。

上海

飛行機の到着が深夜だったため、空港内で仮眠を取ってから街に繰り出した。

年末年始ということもあり、市街は多くの人出で賑わっている。

上海一の繁華街の南京路。

上海で特に好きになったのは街中を流れる黄浦江の周辺の空間。この川沿いを歩いている時間が心地良い。

外灘(ワイタン)から眺める黄浦江
フェリー⛴️で反対側の岸に渡る
川沿いで太極拳をしている人が気持ち良さげ。

黄浦江から離れて街中をブラブラと散策していたら、浅草の仲見世のような場所を見つけた。

中へ進むと小川が流れており、その先に2024年の干支である辰(竜)🐲が現れた。

年始から縁起が良い。

後からここが有名な観光地、豫園(ユィーユエン)であることを知った。
本場の竜はカッコいい〜。

夜行電車で移動

上海から北京への移動は敢えての夜行電車を選んだ。

16:30に上海を出発し、北京には翌朝8:30に到着するスケジュール。

新幹線を利用すれば数時間で到着する距離を15時間近くかけて進む。

朝までたっぷりある時間は本を読んだり、考えごとをしたりして過ごす。

異国の地だからこそ、普段じっくり考えることができないことにも向き合える。

これこそが1人旅の醍醐味だ。

夜行電車は上海駅から出発した。
便名はT110、座席は硬臥という3段ベッド。Trip.comから予約可能で、価格は約7,000円。 
上からの眺め。3段ベッドの上段に身体を預けて、カッタンカッタンと電車が線路の上を移動する音を聞きながら眠りについた。

北京

北京に到着してまずビックリしたのが寒さだ。上海も東京並みに寒かったが、北京はレベルが違う。

冷気が身体の芯まで届いてくる。

曇りの日は日中でも氷点下で、川は凍っていた。

人生で初めて川の上を歩いた。氷が割れないかドキドキ。

私が北京で1番行ってみたかったは天安門広場だ。

あの天安門事件があった歴史的な場所であり、中国共産党を象徴するスポット。

そこに身を置いて何かを感じてみたかった。

早速、天安門広場の最寄りの地下鉄の駅に向かったのだが、そこで天安門広場をなめていたことに気付かされた。

天安門広場の最寄り駅のセキュリティチェックを待つ列。

まず第一に、身分証(外国人の場合はパスポート)がないと、地下鉄から天安門につながっている出口のセキュリティチェックを通過することさえ不可能。

第二にWeChatというアプリ経由で事前に予約をしていないと広場に入場することができない。

結局、どちらの準備もしていなかったので、日を改めてに出直すことになってしまった。

飛行場並みに広い天安門広場。

翌日、やっと訪問できた天安門広場は今までに行ったどこよりも広く、開放的な空間だった。

まさに権威の中枢。

民主主義の国では国家がこれだけ大きな空間を管理することは難しいだろう。管理する意味もない。

旅人目線では物見遊山的にこの管理体制も1つの体験として楽しめるが、この国に住んでみたいとは全く思えない。

天安門広場を見て満足したので、残りの北京での滞在期間は適当に行きたいところをゆっくりと回った。

軍需工場の跡地にある、芸術家が集まる798芸術区。
北京の東部にある新興のビジネスセンターCBD。
万里の長城(八達嶺)には北京中心部からバスで90分ほどで到着。階段の上り下りが思ったよりもきつい。

旅での気づき

異国を1人旅すると新たな気づきが多くなる。

ここでは印象に残ったことを振り返ってみたい。

中華料理の奥深さ

本番の中華料理に触れてみて、その広さと深さに驚いた。

日本で接する中華料理よりも、種類も量も遥かに多い。

流石の4000年の歴史だ。

現地に滞在して思い出したのだが、日本は歴史的に中国から大きな影響を受けている国である。

日本の街中で見かける中華料理屋もラーメン屋も、本場の中華料理の一部が伝わり、日本で独自に進化したものに過ぎないのだろう。

こんな当たり前のことも日本いると気づけない。

QRコードで完結する生活

中国のQRコード決済の普及はニュースを通して知っていたが、体験してみるとやはり便利だ。

日本でもここ数年でPayPayによってQRコード決済が広まり、キャッシュレスで支払う機会が増えてきている。

しかし、中国はQRコードを利用できる機会が日本を圧倒している。

地下鉄やバスにも対応しており、Suicaのようなカードを買ってチャージする必要はなく、スマホをかざすだけで改札を通過できた。

日本も新札の発行なんかしていないで、キャッシュレス決済を利用できる機会を増やしてほしいものだ。

地下鉄の改札やバスの入り口にはQRコードの読み込み機能が付いている。

電動バイクと電気自動車の普及

街中を走っている電動バイクの多さにも驚いた。

どのバイクからも日本で走っているバイクから聞こえてくるエンジン音がせず、ほぼ無音で走っている。

そして、自動車も日本で見たことがないメーカーのオンパレード。

それらの車のナンバープレートは電気自動車を意味する緑色で塗られている。

一方で、日本車は走っている車全体の1割くらいに過ぎない。

なんだか日本がどんどん置いてけぼりにされているような気になってしまった。

中国のバイクをよく見るとマフラーは付いておらず、スピードメーターもデジタル表示となっている。
電気自動車のナンバープレートは緑色で塗られている。

費用のまとめ

下は今回の旅での支出をまとめたもの。

地下鉄などの中国国内での移動は日本と比較して安かったが、ホテルは外国人が泊まれるところが限られているため東南アジアの国と比較して安くはならなかった。

合計:86,000円

【内訳】
観光ビザ申請費:7,500円
関空から上海への航空券:18,000円
北京から羽田への航空券:28,500円
上海から北京への深夜電車:7,000円
ホテル代(5泊):12,500円
eSIM:2,500円
その他(食費や移動費):10,000円

大きな期待をしていなかった中国への旅だが、いざ行ってみると多くの発見があり刺激を受けることができた。

これからも1人旅を続けていきたい。

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