見出し画像

ビスマスでピアスを作りたい1/2

こんにちは、コロナですね。ひどい挨拶です。みなさん自粛中って何してるんでしょうか。わたしは暇でしょうがない。よし、金を稼げる暇つぶしだ。というわけで最近ピアスを作ってます。
で。普通に売ってる素材使うとどうなるか。どこかで見たようなブツができあがる。つまらない。暇つぶしは面白くないといけません。
一匹のニートはどう考えたか。
「ビスマスの結晶でピアスを作りたい」

ビスマスとは何か。
(Wikipedia「ビスマス-特徴」より抜粋)
淡く赤みがかった銀白色の金属で、柔らかく脆い。多彩な色を示すことがあるが、これは表面の酸化膜で光が干渉することによる構造色であり、ビスマス本来の色ではない。電気伝導性や熱伝導性は高くない。融点は271.3 °Cと低い。

あの摩訶不思議な結晶構造。トリッキーな光沢。ワクワクしちゃう。ヤフオクでいろいろあった末、なんとか110gのインゴットを入手。なぜ最初っから結晶になってるのを買わなかったか?高いからです。そんなのでピアス作ろうもんならワンセット1万円くらいになっちゃう。

さて。ビスマスの密度です。だいたい10g/㎤。つまりたった11㎤のインゴットを溶かして結晶を取らねばならない。ちょっと不安に思ってましたが、届いてみると厚み1cm、大きさはカードの半分くらい。「まぁ…いけないこともないか…?」
いろいろなサイトを見て調べてみた結果、結晶の作り方はだいたいこんなかんじです。

用意するもの
鍋、ピンセットもしくはペンチ、バット、家庭用コンロ
①ビスマスを溶かす。この金属の融点は低いので家庭用のコンロで十分に溶けます。ちなみにアルミ(融点660度)容器だとちょっと加熱しすぎただけで容器も溶けるのでダメ。コンロの掃除大変よ。
②溶かしてしばらくすると表面に膜が張ってきます。湯葉みたいなこれは酸化膜。これを根気よく取ってバットに移す。
③ゆっくりと冷やします。しばらくすると結晶が浮いてくるので取りましょう。

わたしが用意したものはステンレスマフィン型、ペンチ、クッキングペーパー、家庭用コンロ。原料が少ないので鍋なんかに入れると薄く円盤状に広がった金属板ができてしまうのです。ステンレスというのはクロムを含んだ鋼鉄なので耐熱性がいい。あと、バットはうちにない。

実作。強火でビスマスを溶かしていきます。結構あっさり液体に。酸化膜をマフィン型内の一か所にかき寄せます。サイトにはバットに移すと書いてありましたが、まぁまた溶かすしね。(これがのちの失敗の元)これで火を止めると端っこからゆっくり固まっていきます。しかしそれはガッチリ固まっているので取り出せない。それとは別に真ん中に結晶が浮いてくるのを待ちます。ここじゃあ!ペンチで取り出し表面の3センチ上で10秒待機。これは酸化膜の発色をきれいにするためです。ビスマスはゆっくり温度をさげてやらないと鉄やアルミみたいな銀色の酸化膜を作ってしまうのです。美しくなぁい。ペンチにくっついた結晶を金槌でクッキングペーパの上に叩き落とします。最初からけっこうきれいな結晶が取れました。

「あら簡単じゃん」そう思ったのは序盤だけでした。次からなぜか失敗の数々。
①真ん中に結晶ができないまま端っこから全部固まる。
②酸化膜のカスが再加熱しても溶けない。非常にじゃま。
③固形のビスマスをとっても液に浸っていた下部が結晶構造をしていない。
全然きれいな結晶ができないまま再加熱を何度繰り返したでしょう。酸化膜を固めて液の中に押し込んでみたり、核が必要なのかと丸カン(手芸用品。3ミリ径の鉄の輪)を浮かべてみたり。

そして唐突にわたしは気づきました。
「酸化膜(酸化ビスマス)って加熱しても還元(ビスマスに戻る)されないのでは…!?」
そう、高一の夏に化学基礎を捨て、つい最近妹にファンデルワールス力について解説してもらったわたし。しばらくこの事実に気がつかなかったのです。よくアクセサリーになる金はとても変質しにくく、いつまでも金ピカなのです。しかしビスマスはイオン化傾向が高い卑金属なので加熱すると簡単に酸化する。そして金属ビスマスに戻らない。
「だから酸化膜はバットに移すようにって言ってたのね…!」
フォークとスプーンが余っていたのでそれを使ってさっさか酸化膜をバットへ。日本画で金箔銀箔を扱ったことある人はわかると思うのですが、薄い膜はたちまち砂状に。取り出すの手間かかるんだこれが。
その後何度かの試行錯誤を繰り返し、たどり着いた答えがこれ。
「加熱を止めたら酸化膜の小さな塊を核として中心付近に浮かべ、ビスマスの上部全てが固まるギリギリまで冷却して結晶の周りを砕きつつ引き上げる」
こうしてコツを覚えた頃、開始して5時間が経っていましたとさ。すばらしい暇つぶしでした。できた結晶は三つ。疲れ切ったわたしは残りを次の日に持ち越すことにしました。おわり。

いいなと思ったら応援しよう!