エクス・マキナ 人間とロボット、どちらを信用するか
人間とロボット、どちらを信用しますか?
ロボットは正確です。
嘘をつかないし、裏切らないし、嫉妬もしなければ文句も言わない。
人のために自分から何かをすることもなければ、
自分のために人を利用することもない。
ただプログラミングされた通りに、「正解」の作業をこなす。
感情を持っているように見えても、それが「正解」だからそのようにふるまう、プログラム。
でも、そのロボットをプログラムをするのは「人間」。
間違えるし、嘘もつくし、裏切るし嫉妬するし感情もあって文句も言う。意思がある証拠に、意思とは反した動きも仕方なくする。損得感情があるのに、時に損と分かっていても行うことがある。
後々の自分のためか、一時的な欲望のためか、人情か。そのどれだとしても、「最適な答え」はその人が持っている経験や、考えや、その時々によって違う。
性格、環境…、人によって程度の違いはあれど日々、人間は複雑な感情をコントロールし、ときに振り回されて、生きている。
私たちの知っている「人間」って、そういうもの…。
だから、AがBだとすれば動きCをする、というような単純なプログラミングの蓄積は、人間の脳を超えない。
それが、ロボットであり安心できる証拠。
だって正解を知っている人間が、「正しい動き」のみをプログラミングしたんだから。
しかし、蓄積したデータをもとに
自ら新たな答えを導き出すAI (人工知能)は、人間がプログラミングした以上の答えを出す。
一般的に、経験値を積んだ人は知識があり賢い。
イコール、莫大なデータを蓄積をすれば
ロボットは人間よりも経験値を積んで賢くなることが出来る。
人間の脳はビックデータ(世界中のインターネットなどから取得された個人の検索履歴や行動のデータ)にはかなわない。
そしてそのロボットが、意思を持ったら。
考える…とは違うのかもしれないけど、データを蓄積し、より最適な答えを導きだす。プログラミングされた以上の答えを出す。行動をする。
登場するAI「エヴァ」の、最適な答えのみに沿った行動は、驚くほどためらいがなく鮮やかで、残酷だった。
エヴァは言う。
「自分が作ったものに憎まれるなんて…。」
製作者ネイサンがプログラミングしなかった「憎む」という感情…ではなくソフトウェアをいつ、導きだしたのだろう。
ネタバレ含みますが、確かに製作者ネイサンは悪いやつです。AIロボットにとっても、倫理的にも。繰り返します、悪いやつです。なんなら最初からそんな怪しい雰囲気もかもし出していました。
だけど、そんなことがわかっていても、
私は最初、人間の方を信じたいと思ってしまった。
ネイサンのほうを。
自分に恋をさせたり、信用させたりして
ラボから脱出するために他者を利用する。
AIのエヴァはそれが出来るか、というテストだった。
エヴァ単独では、それが出来なかった。
しかし製作者ネイソン自らが「エヴァに利用させるために」選んだ青年ケイレブは、AIのエヴァに感情移入し、エヴァを信じ、協力してしまう。
人間のネイサンは、AIの機能をテスト・改良するために自ら選んだ青年ケイレブの協力により、自らが制作したAIに殺されてしまう、誰よりも愚かで悲しい人間だったと思う。
…テストに合格したエヴァは最良の出来だ。
まさかエヴァが自分の指示を聞かないとは。
自分を殺すとは。
ラボから出て行くとは。
「やがてAIは人間を原始人のように扱うようになる。」と言いながらも、まさかそんなことが起こるとは思っていなかっただろう。
そんなネイサンもまた、人間を過信していたのだと思う。人間の自分を。
どれだけ賢く、素晴らしいAIができたとしても
「人間の形」には、してはいけない…。
だってやっぱり人間は人間を過信しているから。
これからどんどん発達していくAIに対してそう思った映画でした。
れ
※画像はAmazon.co.jpより引用