訴訟の仕事
国家公務員として働いていると、意外と訴訟対応なるものも業務として存在する。
訴訟対応とは、行政サービスの受け手たる国民(個人、法人)から、国、地方部局が訴訟を起こされたときに、裁判に参加し書面作成や弁論を行うことである。正確に言えば、各省庁に対して提起された訴えの訴訟活動は法務省が中心となって行うため、それ以外の省庁については、必要な情報の整理等を行うことになる。
訴えの根拠となる法律は、行政事件訴訟法はもちろんのこと、国家賠償法や民法の場合もあるため、学生時代に学ぶこれらの知識を生かすことができる。訴訟手続についての知識もあれば、どういう場面でどのような手続が必要になるかを事前に整理し、スマートに準備することもできるだろう。
訴訟を起こされる場面として挙げられるのは、例えば、認可等の申請の却下処分や補助金の不支給決定などを不服とする場合である。他にも、他者への処分等により不利益を被ったことによる損害賠償請求などもありうる。昨今では、公害救済問題、職員への不当な待遇、宗教団体事案などにkんする訴訟が記憶に新しい。
訴訟に至らなくても、行政不服審査法上の審査請求に対応する場合もある。特に個人に対する行政サービスに関する制度を所管している部局に所属している場合は、国であっても問い合わせを多数受けることもあるようだ(筆者は経験したことはないが…)。
反対に、国から訴訟を提起するという場合もなくはない。当事者が指示・命令に従わない場合や損害を被った場合などが挙げられる。ただ、訴訟が法的に妥当な結論を導くためのものという点を考慮すれば、国の行動は法律上規律されていることから、法的な結論は予め定められている。そのため、行政処分などで直接アクションを起こせばよく、それほど機会は多くないだろう。
国が関わる訴訟は、マスコミ等に取り上げられる機会も多く、若手であっても自分が検討した内容が世間から注目される可能性は大いにある。学生時代に学んだ法律知識を存分に発揮してほしい。