学生向けワークショップ
先日、学生向けのワークショップに講師として参加してきた。採用活動の一環で、国家公務員の政策立案プロセスを追体験し、実際の仕事に近い経験をしてもらうのが目的である。
自分も学生時代に参加したことがあるが、その手の採用イベントでは必ずと言っていいほど「若い皆さんの柔軟な発想力に期待しています」と言われたものである。当時は、「知識も経験もある現役職員のほうがよっぽど優れた政策を思いつくはずなのに」と思っていたものだが、逆の立場に立ってみると、本当に学生の発想に期待しているから不思議なものである。
実際、働いてみると、その慎重な仕事の進めっぷりにだんだんと発想範囲が絞られてくるのがわかる。制度改正に必要なプロセスが思い浮かぶと、その道中にあるいくつものプロセスに尻込みし、考え方が保守的になっていくんだろうと思う。
学生の政策提案に対し、恐れ多くも講評という形で色々とコメントさせてもらった。「もっとステークホルダーの広がりを考えたほうがいい」「制度改正をする前に、その制度の趣旨目的に立ち戻る必要がある」などさんざん言い散らかしたのだが、学生の皆さんに何もお土産を渡してあげられないのも申し訳ないという気持ちもかなりあったのであって、心の中では素直に感心していた。自分の意見があるのであれば、もちろん職員からリアクションは返ってくるのだろうが、恐れずぶつけていってほしいなと思う。
ワークショップでは、職員との懇談会もあり、ざっくばらんにコミュニケーションをとる機会となった。個人的には、密かに今の学生の関心分野を聞くことを楽しみにしている。学生に人気のフィールドは実は年々変遷があって、今はどんなトレンドなのかが時勢を表していて面白い。職員がそのような思いなのだから、例えば学生が現役職員の志望動機を聞いて自分と違うなと思っても、時代の流れが変われば志望動機も変わるのだから気にすることはない。
人事とも話す中で印象的だったのは、学生による政策プレゼンの時の質疑応答の内容もよく見ているということである。多くの人に埋もれるから意味がないのかな、なんて思っていたが、説明会の質疑応答の時間もしっかりアピールに生かせるということのようだ。
公務員を志す方に恥じないように、兜を締め直すいい機会になった。