これが普通なのか?国会対応
国家公務員の仕事に“問取り”というものがある。
国会での審議では、議員が予め質問事項を政府側に伝達するが、その詳細を確認するために議員に話を聞く、という仕事である。
国会で議員が政府側に質問するのは国会調査権の一部なので、それ自体を否定するわけではない。とはいえ、議員から質問されたことに対して答弁するための準備にはそれなりのコストがかかる。
まず、質問事項が伝達されるタイミングが遅すぎる場合がある。朝から国会が開かれるとして、その前日の夕方頃に送られてくることもある。仮に大臣が答弁するとなれば、大臣にも内容を説明しなければならないから、早急に対応しなければならない。当然他の仕事は全てストップし、その対応が最優先となる。夕方から夜にかけて、新規の案件を担当から社長まで諮るというとは、民間企業でもよくあることなのだろうか。
また、質問が曖昧すぎて何を答えたらいいかわからないような質問事項もある。「〜の政策について」「〜事件について」「〜の件数について」などがその一例である。政策の詳細について聞きたいのか、効果について聞きたいのか、議員の意見に対する見解を求められているのか、よくわからないことがしばしばだ。その曖昧さをクリアにするために“問取り”を行うのだが、議員の都合で“問合せ不可”の場合もあり、その時はありうる質問をいくつか想定して準備しておかなければならない。もちろん、準備時間が余計に確保できるわけではない。
“問取り”を行う場合でも、方式(対面かオンラインか。ほとんどは対面)や日時は一方的に指定される。「至急これから」「今日の国会が終わり次第」なんて時間の指定もある。基本的に調整はできない。
行ったとしてもすぐに始まらないこともある。複数省庁に対して質問する場合は順番待ちになるし、前の質問の“問取り”が長引く場合でも時間どおりに議員のもとに赴いて待っておかなければならない。先日の“問取り”では、午前中いっぱい議員事務所で待機した末に、リスケになったこともあった。
国家公務員の働き方改革として国会対応が挙げられることも多いが、各省庁だけでは何ともならない、半ば諦め気味というのが実態だと思う。