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お役所ポンチ絵
国家公務員の業務の大半は資料作成である。
まず挙げられるのはドキュメント。部署内での打合せ、上司への報告資料、会議資料はもちろん、政策集、審議会取りまとめ文書など、ドキュメント作成の機会はてんこ盛りである。
さらに、公務員特有のものとして、法令や国会答弁などもある。これらは文言に関する約束事も多く、法令に至ってはスペース、改行、インデントに至るまで”お作法”が存在する。
従って、ドキュメントの種類によって異なるこれらのルールを守りつつ、施策の内容やアピールしたいことを、最大限効果的に読み手に伝えられるように言葉を紡いでいくことが、国家公務員の至上命題となる。
もちろん、ドキュメントだけでなく、プレゼン資料の作成も業務のうちである。
ただ、公務員の業務として作成するプレゼン資料は、凡そ「プレゼン」を意識したものではないことがほとんどである。もちろん会議等で説明用に使用する場合もあるが、公表資料として「○○制度の概要」と題し作成する場合も多い。
この場合、色々なステークホルダーが、自らの利益のため「あれも入れろ、これも入れろ」と言ってくるのである。そうすると、1枚の資料に情報がてんこ盛りになり、いわゆる「お役所ポンチ絵」が完成する。
「お役所ポンチ絵」が慣習化されているのは、他にも超短時間での締め切りが設定されるような業務が存在することも理由の一つである。そんな短時間ではとても資料を作成することができないため、ある程度どんな場面にも耐えられるような、詰め込みパンパンの資料があると便利というわけだ。
コンサルティングファームでは、提案資料について細かくフィードバックを受け、資料作成スキルが向上するという話も聞くが、役所ではそのような指導をしてくれる人は稀である。ただ、最低限のビジュアルセンスは持っておきたいところだ。
学生時代にも、専攻によって資料作成の機会があるかどうかは大きく異なるだろう。資料作成の機会があまりなくても、国民にとって分かりやすい伝わる資料を作る意識は、持ち続けたいものである。