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10月の夜

京都の烏丸にあるKBSホールというところで行われた音楽フェス「ボロフェスタ2019」というイベントに行ってきた。3日開催のうち2日目と3日目に参加したのだが、その2日目の夜、この会場の近くに下宿している小中学校時代の友人の家に泊まることになっていた。

会うのはすごい久しぶりだった。フェスのついでにということを考えると、宿代わりにしている感も少し否めないが、長年の旧友にそんな後ろめたさは不要であると思った。私としても、友人に会えることは純粋に嬉しかった。

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ライブ終わり、爆音と人混みに揉まれて疲弊した私は、友人に連絡を取りつつ家の方向へと歩いた。小雨がぱらついている、涼しい夜だ。京都の夜、それだけで気分はさながら森見登美彦作品の主人公にでもなったような。煌々と光る携帯の画面を目をすぼめて見る、そして周りの景色を見る。歩いたことの無い土地は自然と歩みが早くなるものだ。

夜も22時頃だったか、暗くてすれ違うまで気づかなかったが、なんとか合流できた。久しぶりに見る顔だけどそうでも無い気もした。旧友に会った時によく感じる、不思議な感覚だ。

美味い飯屋はないかと尋ねた。私は当然、このあたりの知見がない。友人も案を出してくれたが、時間が時間なのでどこも閉店時間になっていた。しかし、私は店がどこであろうと何を食べようと別によかった。結局は誰と食べるか、という話である。近くにあった遅くまで空いている居酒屋チェーンへと向かった。

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その店での1杯目は、私にとっては本日の4杯目だ。ライブ会場で飲んだお酒が今になって回ってくる。そのせいで自然と表情も緩み、友人と昔話をしたり近況報告をしたりと、短かったがそれでいて長い時間を過ごした。この日食べた焼き鳥は、間違いなく2019年一番美味しかった。

その友人は中学校時代、私たちの代の生徒会長を務め、さらに私が所属していた部活の部長でもあった。いうならばこの代のトップと言っても過言ではない人だ。卒業してからは高校と大学は別々になってしまったのだが、小中学生時代という密度の濃い時間を過ごしたせいもあって、私の中では未だに彼は生徒会長というイメージで止まっている。永遠の生徒会長だ。

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そろそろ就職して社会人になる年齢になった私を、友人は信じられないと言っていた。何を言うか、私の方が信じられないぞ、なんならまだ信じていない。私の中の友人のイメージが生徒会長で止まっているように、友人もまた、私がまだ幼いあの頃のままなのだろうか。あと、根無し草みたいだと言われたが、今も昔もフラフラと変わらずに生きている。京都の夜に漂う独特な雰囲気のように、ずっとのらりくらり生きてたいものだ。

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