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児童館文化よ 永遠なれ

 東京都で教師をして驚いたことの一つに、「児童館文化」とでも言うべきものがあります。千葉県の、私の育った地域にはなかったので、すごく羨ましく思いました。私は、我が子を3人とも児童館文化にたくさん育ててもらいました。

いつでも行って遊べる場所がある

 児童館というものの存在すら知らずに育った私でしたが、児童館は地域の子どもみんなの施設です。同時に、20年前ごろまでは、区立小の児童が学童保育としていく場所は、ほとんど児童館でした。
 その後、各区の放課後事業(親が働いているか否かに関わらず、学校に残って遊べる制度)が始まり、今では民間学童も様々なものができています。

 担任していると、子供たちから、児童館の話を聞く機会が多かったです。児童館に初めて足を踏み入れたのは、子供たちに招待された児童館祭りのような行事でした。子供たちがお店や、案内をしていて、大人が付くところでは食べ物も扱っていました。ときには、中学生もいて、学年にこだわらないコミュニティの存在を含め、びっくりしたのを覚えています。1年生を担任すると、学童の先生と打ち合わせをする機会も増え、施設もよくわかってきました。学童保育室が確保され、漫画や雑誌も各種ある図書室や、運動できる体育館的なスペースがあるのに驚きました。
 先生は、だいたいあだ名で呼ばせていました。学童保育メインの先生と一般メインの先生がいて、とにかく子供と本気で遊んでくれます。特に、私が最初に知り合った児童館の先生たちは、横のつながりも持って本気で勉強している方達で、ちょっと難しい子供の扱いも上手でした。午前中には赤ちゃんとママたちのための時間もやっていらっしゃいました。
 児童館では、時期ごとにイベントがあり、けん玉シーズンやコマシーズンがあったり、定期的なメンコ大会があったりします。コマやけん玉の技が東京の子にはこんなに残っているのかと驚きました。一輪車もあり、練習したい子はどんどん練習させてくれます。イベントには子供スタッフが募集され、先生と一緒に運営を行います。遊びたい子は、ひとまず児童館に行けば、誰とも約束していなくても何かしら楽しく遊べるし、行けば誰かいるという感じでした。
 私は、学童保育に通わせることは、全くかわいそうではないし、むしろ行かせたいと感じました。

我が子はどうだったか

 私は途中で引っ越しをしたので、2つの区で子育てをしています。(勤務した区を含めると、4つの区の児童館や学童保育制度を見てきました。)
 私は、児童館の学童保育に3人とも申し込みました。運よく3人とも1年から4年まで児童館の学童保育に通わせることができました。(学校に併設の方が人気だったこともあります。)児童館の学童保育の良さは、学童保育に入っていない子も来ること・校庭ほどの広さはないが、運動設備があること・漫画が揃っていること(買う気はない母からすると、めっちゃ魅力!)でした。そして、その4年は、我が子にとって、大きくなった今でも彼らを形成してきた大切な時間と場だったと本人たちも私たちも思っています。
 

世界が広がった長男

 おとなしかったのが、学童保育で年上の友達を見て、一気に活発になりました。スポーツに興味が芽生え、コマやけん玉に夢中になって、家でも四六時中練習してどんどん技を覚えていきました。学年や学校の違う子供たちとも仲良くなり、地域を歩いていて手を振る相手が増えていきました。入学当初、学校の事は何一つ覚えていないのに毎日児童館であったことを報告していました。私が育休に入った時は学童クラブに通えなくなりましたが、早く戻りたいと言われたのを覚えています。
 親に干渉されない好きなことに没頭できる時間だったのだと思います。地域の行事にも連れて行ってもらい、児童館同士のドッジボールの対抗戦などにも参加し、世界が広がりました。
 あとは、ゲームなしで楽しい時間を使えたことも大事だったと思っています。


学童で認めてもらえた次男

 長男と違った面としては、学校でほめられるタイプではありませんでしたが、児童館の一人の先生が彼の良いところを認めてうまく引っ張って下さったおかげで、自己肯定感が高まりました。
 静かに座って話を聞くことは苦手でも、お祭りの担当などを任せれば、人一倍頑張れる子だというのを見つけてもらって、彼は今でも自己肯定感を下げずに生きています。
 私自身、教師をしながら、学校でも子供のさまざまな良さを見つけられるようにと心がける理由の一つです。

貴重な経験をした娘

 学童クラブには障害を持ったお子さんの枠もあります。娘が4年生の時に、全盲の1年生が入ってきました。クラブとしても初めてのことで先生方も戸惑いがあったようですが、子供たちは自然に受け入れ、特に最上級生だった娘はその子に一番積極的に関わっていたそうです。その経験が、それまで考えもしなかったことを考えさせ、人を思いやる力を飛躍的に伸ばしました。その子に好かれ頼られることで、娘自身も自己有用感のようなものがあったように思います。

本気で関わっているか

 今、子供の居場所は様々です。児童館だって、良い先生ばかりではなかったでしょう。しかし本気で関わっている人たちがいるかどうかというのはとても大切だと思います。
 最近の居場所では、子供をお客様として扱っていて、安全面、親へのサービス面を重視して、子供とは本気で向き合っていないのかなという印象を受ける施設も多いです。公立の児童館も、運営は委託というところが増えています。小学生の時に何が大事なのか。私は好きなことをたくさんして見つける経験だと思っています。児童館はそんな場でした。
 児童館文化を育てて来られた先生方は、今の状況をどう感じていらっしゃるのでしょうか。






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