占星術読書記録/マンディーン・トランジット
※2022年に旧ブログに載せていた記事の転載です
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今回読んだ書籍の読書記録と感想です。
星読み+(石井ゆかり)
鏡リュウジの占星術の教科書 II:相性と未来を知る編(鏡リュウジ)
マンディーン占星術(松村潔・芳垣宗久・倉本和朋・賢龍雅人)
上記3冊を購入したのは、トランジットにおいて知識不足を感じている部分を補いたかったこと。
そして将来的に(発信するかどうかは別として)マンデンの視点からの星読みも覚えていきたいため、見様見真似ではなく、一度きちんと書籍からマンデンの星読みの基礎だったり、基本的な情報だったりを勉強したかったからでした。
読書メモ・備忘録として、所感や学びになったことをざざっと書いてみたいと思います。
まず、石井ゆかりさんの『星読み+』から。
石井さんの著書は、『山羊座』『石井ゆかりの星占い教室のノート』『12星座』に続く4冊目です。
西洋占星術初心者向き、かつトランジット関連のお話が読める石井さんの本が欲しくて購入したのですが、石井さん独特の語り口・解説が、相変わらず私的に肌馴染みの良さを感じます。
特に参考にしたかったのが、新月・満月、そして日食・月食に関する記述。去年から石井さんの『星ダイアリー』も使っているんですが、『星ダイアリー』に記載されている新月・満月の解説がこちらの書籍で深掘りされていることを知って買った次第です。ちょっと前から新月・満月のブログも書いていますが、「そもそも話」的な部分をもう少し理解したかったので、一旦ちゃんと本で勉強するべきだなと。日食・月食に関しては、今年の冬ごろに開講される賢龍雅人先生の単発講座も受ける予定でいます。
トランジットの仕組み全般に関する解説も大いに参考になりました。今後、自分で星を読んでみるときやブログを書くときに適宜読み返して、復習に使わせて頂きたい一冊です。
また、「アドバイスのためのアドバイス」という章が素晴らしくて。熱量がすごい。12星座別の落ち込んでいるときのアドバイスや対処法が書かれた章なんですが、自分の太陽星座に関する深い納得感はもちろんのこと、他の星座の人たちの落ち込む理由だったり、落ち込んだ時の様子だったり、してほしいこと・周りが気を付けるといいことなどの解説が、「なるほど〜〜〜」の連続でした。
もちろん「太陽星座」に絞ったアドバイスのためのアドバイスなので、実際にはその人のネイタルチャート全体を見ないとなんともいえないこと、全体を見たうえで考えなければならないこともあります。そういう前提はあるにせよ、太陽=基本的なアイデンティティを表す天体であることを考慮すると、「基礎情報」的な切り口からたくさんの示唆を得られた章でした。あと、12サインの性質を理解するうえでもすごく参考になるなと。
最後の「星座どうしの相性」は、いわゆるシナストリーに関する章でしたが、ここもめちゃくちゃ面白かったです。特に「そういう捉え方もできるのか!」と目から鱗だったのが、スクエアの関係ですね。
ざっくり要約すると、スクエアはそもそも「お互いに考え方や価値観が違っている」という前提を分かって接する間柄だからこそ、却ってコミュニケーションがスムーズにいくこともある。つまり、相手に「わかってくれる」という期待を元々しないので、ストレートに対話したり主張したり、却ってというか、結果的に相手のことをよく理解できる間柄になれる。それでいて行動力やスピード感は似ているので、一旦妥協点が見つかると歩調が揃えやすい、と。
相手と自分の価値観や考え方の差異が大きいことを認識せざるを得ないような間柄だからこそ、むしろ相手のことも自分たちの関係性も冷静に見ることができる。それでいてお互いモダリティは同じ=行動様式や行動原理は同類だから、たしかに一緒に目的に向かうこともやろうと思えば可能なのかもしれない…。
と、スクエアというアスペクトの新しい側面を発見した気がしました。
あとこれは余談ですが、私は本職が一応ライターなので、石井さんの文章は物書きのいち端くれとしても本当に勉強になります。「なんでこんな素晴らしい文章が書けるんだろう??」と、毎回感動するんですよね。占星術のことはもちろん、いち「文筆家」としても尊敬しています。エッセイも出されているみたいなので、石井さんの本はもっと読みたい。
続いて、鏡リュウジ先生の『鏡リュウジの占星術の教科書Ⅱ 相性と未来を知る編』。
こちらは『鏡リュウジの占星術の教科書Ⅰ』の続編的な一冊ですよね。『教科書Ⅰ』ももちろん所持しております。
『教科書Ⅱ』はサブタイトルの通りシナストリーとトランジットの内容が中心ですが、今回はシナストリーの章に関してはあえて読まず、トランジットの解説だけを読むことにしました。2020年からお世話になっている占星術サロン・エレオノーラの村上碧先生によるシナストリー講座の受講を控えていることが、その理由です。
村上先生の通信講座は占星術初心者向け、かつネイタル・トランジット(プログレス・3重円)・シナストリー(コンポジット)と、占星術の基本的な技法を段階的に習得できるメニューでして、私はエレオノーラの講座をすべて受けることにしています。で、最後のシナストリー編の受講は今年の秋冬を目処に始めて、来年の初春に修了したい。
実際にネイタル編・トランジット編の講座を修了して気づいたのですが、「初めて習う」ことに関して特定の先生の受講を決めている以上は(しかもそこそこの期間受ける)、まずはその先生の講座の体系と内容に集中することが第一だ、と個人的には思っています。私の場合、他の書籍などで先にインプットしてしまうと、村上先生の講座を受けるときに自分の中で情報がグッチャグチャになってしまい、却って脳内で混乱を招いていた一幕があったからです。
もちろん、その辺りの学びのバランスを器用に取れる方はいらっしゃると思うんですが、残念ながら私にはそういう器用さがなく…。「まだ習ってない占星術のことは村上先生の元で学んで、基本的な体系や知識をある程度理解してから、書籍を読んだり気になる講座を受けたりして勉強していこう」という学習方針に決めています。
上述の『星読み+』におけるシナストリー解説に関しては、体系的な解説というよりコラム的な趣だったので、村上先生の講座を受ける前に読んでも自分の中の情報整理にそこまで影響はなさそうだと思ったのですが、鏡先生の『教科書Ⅱ』では、詳細な相性アスペクト解説や実例など体系的にシナストリーの知識をまとめてくださっていたので、講座を修了してから拝読して学びを深めようと判断した次第です。気持ち的には、相性アスペクトの一部をチラッと読んだだけで「うわ〜〜〜めちゃくちゃ面白いこと書いてある〜〜〜」とテンション上がったので超読みたいんですが、後のお楽しみとして取っておこうとグッと堪えました。
さて、トランジット編を拝読した所感について。『教科書Ⅱ』では鏡先生流のトランジット解説が知れるだけではなく、リターンの解説が詳しく載っていた点が、私としては特にありがたかったです。
ジュピター・リターンの解説と、土星のサイクル解説(ハーフ・リターン含む)、天王星のリターンとサイクル解説が大変勉強になりました。
ただ、リターン解説の章は私の理解力が悪くて一回読んだだけでは難しく…再度読み返し、勉強用ノートに書いて内容を整理してみて、ようやく理解できた手応えを得られました。ただ、リターンのサイクルに関しては自分の中でスラスラと言えるほど意味が身についている感覚が薄いので、手書きしたノートや『教科書Ⅱ』を読み返しながらブログなどでアウトプットしていくといいのかな、と考えているところです。
トランジットとネイタルの各アスペクトの解説も、非常に参考になります。自分や他の方のホロスコープを見る際などに活用させていただきたいなと感じました。
ほかにも大惑星のトランジットを見る際のポイントやオーブの使い分け方など、個人的に補いたかった知識も随所にあり、どれも実践的である点がありがたい一冊です。
また、私の今後の課題のひとつとして「ソーラーアーク」を理解・習得したいなと。こちらも私の理解力の悪さが問題なんですが、ソーラーアークの原理は先生の解説でなんとなく分かったものの、具体的な見方や読み方、プログレスとの使い分け方が理解しきれず…詳しい解説が学べる単発講座をいずれ探そうと思っています。鏡先生曰く「経験上、極めて有効だと思われる技法」とのことですし、その後の本文を読んでも重要性が高い技法の一種だと認識したため、知識的な補填が必要だなあと感じました。
とはいえ、今年は賢龍雅人先生の日食・月食講座、そしてマンディーン講座を受けることを優先しているため、ソーラーアークに関しては早くても来年かなと思っています。
最後に、個人的に最もインパクトがあった『マンディーン占星術』。
こちらは松村潔先生・芳垣宗久先生・倉本和朋先生・賢龍雅人先生の共著です。
とりわけ倉本先生による「マンディーン占星術の歴史的背景」と、芳垣先生による「マンディーン占星術の読み解き方」「ケーススタディ」が強く印象に残りました。芳垣先生の章は、非常に実践的な内容でありがたかったです。
まず倉本先生の章ですが、マンディーン占星術の背景と歴史という主題が軸にありつつ、包括的・体系的に占星術の歴史がまとめられている点が大変勉強になりました。
古代メソポタミア〜出版当時の2019年に至るまで、そして日本におけるマンディーンの隆盛など、占星術を勉強する者としては押さえておきたい歴史概観が把握でき、占星術に対する興味が一層喚起させられた心地です。
こちらの記述に触れ、私個人としては、占星術の歴史や成り立ちというものを把握するうえで、マンディーン占星術には遅かれ早かれ接することが必要だったのかもしれないと感じました。
脚注の膨大さにも圧倒させられました。こちらも今後の予定ですが、占星術と歴史の関係(あるいは歴史の中における占星術)というテーマで書かれた本も読んでいきたいため、倉本先生の本文並びに脚注は、今後の私自身の勉強のうえでもヒントにさせていただきたいと思っております。
占星術を学び始めて最初の頃の話ですが、「世界史と絶対関係が深いから世界史の参考書買っとこう。高校で習ったことほとんど覚えてないわ」と、参考書を買うだけ買っておいたことも思い出しました。オリラジの中田敦彦がYoutubeで公開している世界史のシリーズ動画を去年見たんですが、そのシリーズが全編通してめちゃくちゃ面白くて。典拠にしたという参考書を買ったんですが、完読しておらず。いずれ鏡リュウジ先生の『世界史と西洋占星術』を買う予定でいるので、その際に適宜参照しつつ読みたいなと思っています。
※2024年3月ごろ、書泉グランデさんの復刻版を購入しました
それから、後書きで芳垣先生も言及なさっていた「山の占星術家』誌("The Mountain Astrologer" Magazine)という占星術雑誌について。
この雑誌は存じ上げなかったのですが、倉本先生の本文中でのご紹介が大変興味深かったです。HPやインスタを見ると、漂っている美意識や美的イメージが個人的には非常に好みです。バックナンバー含めて電子版の購入もできるみたいですね。デジタル版のサブスクもやってる。個人的に調べてみたいテーマなどが出てきたときの情報源のひとつとして頼れそうだなあ、と。
芳垣先生の巻末資料も、大変参考となりました。今後、自分でマンデン的な視点で星を読んでみたい時などは、解読のポイントも合わせて参照させて頂きたいと思っております。
また、国家の動向を読む際のチャート設定(国家の始原図)について。松村先生・倉本先生・芳垣先生の章でも、諸説があって明確には基準が定まっていない旨が書かれている点が印象に残ると同時に、恐らくマンデン占星において重要な指摘なのだろうと認識しました。
歴史的な流れを見ると、そもそも「国家」という概念自体が16世紀以降に徐々に出来上がったものであり、それ以前は国の指導者や権力者などのネイタルチャートを用いていた手法が、だんだんと国家のネイタルチャートを使う方向に変わっていった、とのことです。例えばp.255にて引用されていた『世界のホロスコープの書(ニコラス・キャンピオン著)』内の「国の誕生瞬間」の定義は大変参考になったと同時に、随所でハッとさせられる文章も多かったです(「独立の瞬間とは、国・国家における発展の連なりの絶頂である」など)。
こういった歴史的な流れも鑑みつつ、「なぜ国家の始原図の基準が定まっていないのか」「そのうえで、どこに焦点を置いてチャートを選ぶべきか」「そもそも国のチャートを扱うことに関して、全員が全員、共通認識を持てるたったひとつの真実の視点というのは恐らくない(これは本書を読んだ私個人の解釈です)」という論点を認識したうえで占うのと、そこの論点を全く認識しないままに占うのとでは、占星術を学ぶ者としてゆくゆく不誠実な結果を招きそうな気がしたので、今のうちに知られて良かったと思っています。
それから、芳垣先生による「ケーススタディ」ではベルリンの壁の建設〜崩壊までの実例が記載されていましたが、四季図と日食図、新月図を連動させる形で検証し、読み解くことの重要性については、眼から鱗の言及でした。
やはり星の流れは断続的・断片的なものではなく、何かしらの大きな「流れ」「連続性」というひとつの繋がりの中にあるものなのだろうと、改めて認識した次第です。
ひとつの視点やひとつのもの(チャート)だけを見るのではなく、周辺や前後の流れも合わせて検証することが大事なのだと、勉強になりました。これは何もマンディーン占星に限ったことではなく、個人の運勢を見る場合にも応用できる・必要な視点ではないかと、個人的には考えております。
最後に、倉本先生の章で大変心に残ったと同時に、「これは占星術を学んでいる者として無視してはいけないことなのではないか」と思った言及がありました。
以下に引用させていただきます。
上記ニコラス・キャンピオンとチャールズ・ハーヴェイのエピソードの紹介と、それに対する倉本先生のご見解に、戦争や災害も含めた政治、国の動向などを見るマンディーン占星術を扱う際の、非常に重要な心構えを教えていただいたような心地でした。とても「ハッ」とした記述です。
実際、芳垣先生が「ケーススタディ」として挙げていたベルリンの壁の建設〜崩壊までの解説を読み、率直に「怖い」と思った自分もいました。この恐怖感は、ケーススタディの中で紹介されていた春分図や日食図の解説が「当たっている」と思ったことに起因しています。
いわゆる「当たり外れ」という観点から占星術を扱うことに対しては、ネットや書籍などでも様々な意見が飛び交いやすい話題のひとつだと思います。私自身、当たり外れの観点から占星術を扱うことに関しては少し思うことがありますが、そういう前提があるにしても、このベルリンの壁の実例解説は読んでみて「当たっている」と感じました。だから「怖い」と思ったのです。
マンディーン占星術はその特性上、どうしても大勢の人たちが巻き込まれざるを得ないような社会的な出来事の予測が発生してしまう分野。だからこそ、キャンピオンのいう「人命に関わる惨事を予知する際の、占星術が有する心なさ(Heartlessness)」という概念は、認識しておくべきだと個人的には思いました。この概念を認識しているか否かでマンディーン占星を行うのは、大きな差があるような気がいたします。
倉本先生はまた、19世紀末〜1970年代における占星術ならびにマンディーン占星術の解説において、このような事実も述べられていました。
占星術が時の指導者や権力者に政治的な道具として利用されてきたことに関しては、このページに至るまでの本文で認識したことではありました。ヒトラーやナチスが利用していたという事実、そして「プロバガンダ」として使っていたという事実については、率直にショッキングな心地を覚えます。一歩間違えると、ヒトラーやナチスのような非人道的な所業を行なってきた権力者たちに利用されかねない、少なくともそういった可能性や側面は持つ「もの」なのだということを、私個人としては、今後も認識・留意しておきたいと思った次第です。
芳垣先生があとがきに書かれていたことも、非常に重要な指摘なようにお見受けしました。
私個人の日常における情報収集として、正直に申し上げると、マンディーン占星術的な発信をしている方のコンテンツを見たり、勉強させていただいていたりしています。また、マンディーン的なベクトルの発信をなさっている方を批判・非難する意図も毛頭ありません(そもそも私のような占星術の初学者がおこがましい…)。
が、少なくとも私個人は、もし今後マンディーン的な星読みの記事などを発信することがあったとしても、ある種の「葛藤」は持っていたい・葛藤を全く感じない状態になるのは避けたいな…と。
占星術が、そもそもは歴史的にマンディーンと同義のものとして扱われてきた以上は、何らかの形で発信する・しないは一旦さておき、マンディーン視点での星読みも体得していきたいと私は思っています。けれども、先述したような歴史的事実や「Heartlessness」という観点・指摘を無視したり、全くそこに向き合わずにいることが「善い」ことだとは、私には思えない。いずれマンディーン的な観点で書いた記事やツイートなどを発信することがあったとしても、それは私なりの「葛藤」を経た後だったり、一種の「責任」があることを認識してから出すべきなのではないかと、今の段階では思っています。
それから、これは普段から自分の中でも本当に「気をつけよう気をつけよう」と思っていることなんですが、占星術を学んでいることによって、なんというか間違った万能感に浸ったり、個人的な薄暗い承認欲求を埋める道具として占星術を使ったりしてしまうことには、陥ってはいけないと思っていまして。「私はそんなふうにはなりません」とか「私にはそういう可能性はないです」と自信を持って言えるような人間ではありませんし、もしかしたら既にそういう雰囲気を無意識に滲ませていたり、自覚できていないだけでそういう言動をしてしまったりしている可能性はあると思っています。そういう意味でも、何の葛藤や疑問も持たずに占星術を勉強することに一種の危機感すらあって、それはマンディーン占星術においてもやっぱり同じだ、と改めて感じた次第です。
長くなってしまいましたが、以上で今回の読書記録は〆たいと思います。
上記3冊の購入を検討されている方がいらっしゃいましたら、少しでもご参考になったのであれば幸いです。
お気軽にどうぞ🌷
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