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ヒステリックおばさんの執念


私は営業職(新規営業)なので、ほぼ毎日テレアポをしている。
この仕事には吐き気がするほどうんざりしていて、
あと数ヶ月で転職するのだが、今回はその話ではない。

先日、とんでもない奴に当たってしまったのだ。




数ヶ月前に、とある靴のメーカーにテレアポをした。
取引先ではないので、
いつものように代表電話からかけ、
「〇〇担当の方いらっしゃいますか?」
と聞いた。

自覚があるので最初に言っておくが、
営業電話というのは基本迷惑なので、

席を外しています
外出していて本日は戻りません
営業電話はすべてお断りしています

と、一蹴されることが多い。


しかし、そのときは確か
「どのようなご用件でしょうか?」
と聞かれた気がする。

実はこれも多いパターンだ。

一応、業務に関わるかどうかを聞き、営業電話と分かった瞬間「そのような話であれば結構です。」
と言う。
お決まりのパターン。

私は簡単に用件を伝え、
もう一度「ご担当者様はいらっしゃいますか?」
と聞いた。

すると、
「当社と取引はありますか?」
と返ってきた。

う、まずい展開だ… 

私は察した。

当社と取引はありますか?
というのは、
取引もないのにノコノコ電話かけてきてんじゃねーよ!
という節の枕言葉だからだ。
(もちろんすべてではありません)

私は正直に、
いえ、お取引はございません。
と言うと、

予想通り、怒号が飛んできた。

今でも思い出すと辛くなるので、
何を言われたかは書かないが、
とにかく尖った言葉を連発してきた。

年齢は40歳くらいだろうか。
おばさん。
ヒステリックおばさん。


上司出せ!とか言われると面倒なので、
慎重に会話を続けたのち、
おばさんが
「二度とかけてこないでください!!!!!」
とガチャン!と電話を切り、私はふぅ…と息を吐いた。

いつもなら多少嫌なことを言われても
切り替えるために次の電話をかけるが
今回はなんかもう疲れてしまい、定時までサボることにした。
(その日は在宅勤務だった)

憂鬱な気分のまま携帯をイジイジしていると
ふと、嫌な予感がした。

「まさかだけど、さっきのおばさん、
どっかの口コミサイトに投稿したりしてないよな…?」

私の予感は的中した。

迷惑電話番号を検索できるあらゆるサイトに
私の携帯番号(社用)が晒され、
「詐欺電話」という内容の口コミが書かれていた。

途中で嫌になって検索するのをやめたけど
おそらく5.6個のサイトに書かれていたと思う。

すごい執念である。


しかし、おばさんの攻撃はまだ終わらない。





多くのサイトには、
口コミが 役に立った or  役に立たなかった
という意味でグッドボタン、バットボタンを押せる機能が付いているのだが

おばさんは毎日グッドボタンを押している。

※厳密に言えば、口コミもボタンも誰がやったのかは分からないが、口コミが投稿された日付は私が電話した日であり、検索回数は私を抜いて1日1回しか増えていないので、おばさんの仕業と考えるのが妥当だ。


口コミを見るとあの日を思い出して胃がキリキリするので、あまりエゴサしないようにしているが、
さっき見たら経過日数と同じ数のグッドボタンがしっかりと押されていた。

(グッドボタンは1日1回しか押せないような仕組みになっている。)



………


おばさんは毎日サイトを開いて
私の携帯番号を入力して
グッドボタンを押しているのだろうか?

どんなに疲れた日でも欠かさずグッドするのだろうか?

毎回検索するのは面倒だから
もしかしたらそのサイトをブックマークして
ホーム画面に置いているのかもしれない。

番号を入力するのも面倒だから
ユーザー辞書を使って、
クソとか入れたら私の携帯番号が候補に出るようにしているのかもしれない。




正直、まだあの日の出来事を笑い話にできないし
私の傷はぜんぜん癒えてないけど
おばさんの執念には驚かされる。




おばさんは今日も押す。
きっと元旦も押す。



ねえ、おばさん。
私はもうすぐ退職するからその携帯番号を手放すよ。
次の人に迷惑をかけちゃいけないから、
もうやめようね。

あなたの行動は狂気(凶器)です。

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