ノーティックルールと8エンドの試合

世界で検討されている2つの大きなルール変更について、ちょっと自分の考えをまとめてみました。

ノーティックルール

センターラインに触れている石は、センターラインから外してはいけないというルール。たぶん、フリーガードの間(5投目まで)。

どうしてノーティックルールが必要なのか

そもそも、5ロックルールにしたことで、先攻チームが有利になるのを挽回したくて、ティックショット(フリーガードを無効にしない程度にずらすショット・日本ではウィックショット)がメジャーになってきた。

昔は、ウィックと言えば、早いショットでガードをかすらせてずらしていたけど、ドローショット+αぐらいのウエイトでずらすことで、後攻チームはセンターを開け、ダブルコーナーガードにしたり、相手の石をハウスに入れて次に打てるようにしたりして、石の配置を逆転することができるという起死回生ショット。

トップレベルのチームが上達してティックショットの成功率がものすごく上がったので、最初にセンターに置いた石(フロント)を外せないようにして、不利な先攻にも得点の機会を与えようとする考え方なんだとおもう。

最後まで拮抗した試合を・・・

カーリングの場合、ある程度点差が開いてしまうと、ラストエンドに大逆転!とかは起きにくくて、最後は逃げ切るためクリーンな試合展開になりやすい。これじゃゲームの最後のほうがつまらないってことで、一つの案として考えたんでしょう。

でも、最後のエンドでそれまで勝ってきたチームが、クリーンに展開して終わらせるっていうのは、当たり前のような気もします。それを、あえて先攻に有利にするっていうのは、なんか納得いかない。

そもそも、5ロックルールも、負けている後攻に有利に働かせようと決めたルールのはずなので、今度は、負けている先攻にも有利にするルールを加えようということですよね。負けているチームに手厚くすることは、まあ、均衡するっていえばするけど、どうなのかなぁ・・・ゲームバランスが崩れないだろうか。

サッカーや野球だって、ワンサイドゲームになっちゃうときは、どんなことをやってもダメじゃん。これって、野球でいえば、負けてるチームは9回の得点は倍にしますよーって言ってるようなもんじゃない?
サッカーでいえば、負けてるほうのチームが残り5分以内に入れた得点は倍とか。

意図しないミスショットが石を無効にする?

選手権レベルのチームなら、センターガードをカムアラウンドしてドローって、まあ失敗のしようのないショットなのかもしれないけど、ちょっとずれてガードに当たっちゃうとずれて無効になっちゃうっていうのも、どうかなと思います。

ティックショットは、失敗したら無効になることを覚悟してそれでもやるんだけど、普通にドローショット(ガード裏にカムアラウンド)をするのに、ガードに当たってずれると無効になっちゃうというのは、同点後攻ラストエンドなんてシチュエーションでは、後攻にかなり不利かもしれない。
ごくごく一般的な作戦をとるのに、ちょっとミスったらアウトっていうのはどうなんでしょう。(それが一般的でなくなるんでしょうけど)

こんな弊害も

あと、審判の介入が増えて、ゲームの流れが悪くなるのもいまいち。
もともと、ほとんど審判の出番がなかったカーリングに、センターラインに触れてるかどうかを頻繁に確認に来ることになるだろうし。
レーザー光とかカメラとかをセットしておいて、確認したいときはが一瞬で終わるようになるならそれはそれでいいけど。

ノーティックルールには反対

てなわけで、私自身としてはノーティックには反対という意見でした。

ラストエンドまで面白い試合展開を期待するなら、両チームとも戦力が拮抗したチームじゃないとだめですねぇ。あと、メンタルやコンディションも。
世界選手権レベルのチームは、それがそろってると考えるほうが良いのでは?

8エンドルール

現在主な国際大会は10エンドで行われている。
一部の国際大会と、予選などは8エンドで行われている。
全部8エンドでいいのではないかってことですね。

10エンドの試合をした人じゃないとわからないと思う

8エンドの向こう側には、魔物が住んでます。
8エンドまで順調に戦ってきても、9,10エンドで逆転されて負けるなんて経験をすると、なるほど、力のあるチームというのはあきらめないし、最後の最後に決めてくるんだな。と感じることが多かったです。

なぜ8エンドにする?

簡単に言えば「試合時間が長すぎるから」

カーリングの試合は、1エンドだいたい15分。エンド間に1分のデッドタイム。5エンドの終わりに5分の休憩、テクニカルタイムアウトが3分ぐらい(コーチの移動時間を含む)。10エンドやると、15×10+9+5+3分=167分。3時間弱かかります。これだと、見てる人が飽きちゃう。というので、単純に試合を短くするために8エンドとする。

シンキングタイム制になる前の計時だと、あとのエンドに時間を工面するために、テイクショットをしてエンドを進めるなんてことをやっていたので、そうだとしたら10エンドは必要ないんですけど、今の選手権は、それなりに10エンドをフルで戦ってるので、やっぱり8エンドにはしてほしくないです。
カーリングって、やはり天然の氷が相手で、ある意味「まぎれ」が発生してしまう競技なので、地の力があっても点が取れない時があったりするから、我慢して我慢して、最後に逆転勝利ってあるんですよね。8エンドだと、それが少なくなっちゃうのもどうかなと思います。

大きな試合なら10エンドでいいのでは?

つまり、ほぼ現状維持ですね。
10エンドに起きるドラマを見たいなら、やはり10エンドやらないとみられない。中継の都合でそれをなくすのは、結局、競技の面白さを損なうんじゃないだろうかと。8エンドコンシードで終わる試合が増えちゃうかもしれませんが。

ただ、オリンピックは「お祭り」なので短めに8エンドでもいいのかもしれない。ファンを増やすには長すぎちゃダメかも。

野球中継はその昔、テレビ放映時間に収まらなくて、ラジオに引き継がれてたりしましたね。始まりも2エンド・・・じゃなくて2回の攻撃からとかだったりして。
今は、どうやって試合を短くしてるんでしょう?敬遠の宣告ぐらい?
でも、プロ野球中継のために、8回までにしようとかはしてないんですよね。

おまけですが

計時審判をやってるときは、10エンドはつらいです。体が芯まで冷えちゃう。
6エンドコンシードとかのつまんない試合に当たりたいです。

もっと面白い試合にするには

やはり、試合そのものがおもしろくないとだめかもしれません。
不可抗力にしろ、なんにしろ、「あーあ」って思うシーンが多いと、興ざめしてしまいます。
それには、競技者のレベルアップもさることながら、アイスメイクのレベルアップも必要なのではないでしょうか。

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